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㉛私の失態

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目が覚めると知らない天井でした。
ここはどこ?

首だけ動かして横を見ると、ラルフ様の寝顔が真近にあってドキッとした。
自分の片腕を枕に片手は私を抱きしめたまま、寝ている。

私・・・どうしたんだったかしら?
しばらく考えていると、ラルフ様が目を覚ました。

「リリー、目が覚めた?」

「ラルフ様・・・私どうしたんだったかしら・・・?」

確かお城に来て家族の皆様と一緒に居たと思ったのだけど・・・
ラルフ様のお酒がお兄様を殺そうとしたと言って疑われたのよ!
ラルフ様がそんな事するはずないのに!
頭にきた私は、それなら私も飲んで見せると言って、確かお酒を飲んだのよね?

首を傾げる私をラルフ様が見てクスクスと笑う。

「頭は痛くない?気分は?大丈夫?」

「うん・・・私、お酒を飲んでどうしたんだったかしら?」

全然記憶が無いことに気が付く。
私なにか変な事をしてないかしら・・・一気に不安になってラルフ様を見ると、優しい笑顔で私を見つめている。

「ラルフ様?」

「リリアーナは意外と勇ましい所があるんだね。」

「え?」

なんの事かしら?勇ましい?

「兄上が飲んで死にそうになったかもしれない酒を飲もうとするなんて、勇気があると言うか、勇ましかったよ?」

にこにこと笑いながら嬉しそうに話す。

「あ、そういえば、ラルフ様が疑われた事に頭にきて・・・」

私、なんか凄いことしたんじゃない?

「うん、まさかあそこでリリアーナが反論してくれると思わなかったから助かったよ。ありがとう。」

そう言って私の頭を撫でてくれる。

「でも、まさかお酒を一気飲みするとは思わなかったから、びっくりしたけどね。」

クスクスと楽しそうに笑いながら話すラルフ様。

「ご、ごめんなさい。私、お酒を飲むのは初めてだったので・・・あの後、私どうしたんでした?」

「俺が抱っこしたら安心して寝てたよ。」

その言葉を聞いて一気に顔が青ざめる。
私、皆さんの前で寝てしまったの??
恥ずかしい!

「私、ラルフ様を助ける所か、とても迷惑を掛けてしまったわ!」

「そんな事ないよ、みんな気にしてないから大丈夫。」

「本当に?」

「うん、兄上の事でみんな気が動転していたからね。」

そう言うラルフ様に、お兄様の事を思い出す。
今まで忘れていたなんて、とても失礼な事よね・・・

「お兄様は?大丈夫だったの?」

「うん、回復してるよ。」

その言葉に胸を撫で下ろす。

「良かった・・・」

あの時は本当に怖かった。このままお兄様が死んでしまうのではないかと思ってしまった。
でも、ラルフ様が助けてくれたのよね?

「リリアーナ、あの時俺が魔法使った事で、面倒なことになりそうだけど、出来るだけシラを通してくれる?」

そうね、ラルフ様は魔法が使えることをずっと隠していたのに、お兄様を助けた事で、ラルフ様が治癒能力を使えるほどの魔力を持っていると分かってしまった。
あの時一緒に居たのはご兄弟だけだけど、お兄様の異変に駆けつけた方も何人か居たし、宮廷魔道士の方も後から駆け付けて、誰が治癒したか聞いたと思うのよね、あの時のラルフ様の行動で、ラルフ様の能力は知れ渡ってしまっのかもしれない。

だとするなら、ラルフ様がいくらめんどくさいと言っても、周りが許してくれなくなるかもしれない。

私は何があってもラルフ様を支えるだけだわ。

「ラルフ様、私に出来る事でしたら何でも協力するわ。」

私が答えると、ラルフ様は「ありがとう」と言いながらぎゅっと抱きしめてキスをした。

「ところで・・・ここはどこ?」

最初の疑問、見覚えのない部屋です。

「ああ、ここは城の中の俺の部屋だよ。念の為結界を張ってるから大丈夫だよ。」

ここはラルフ様のお部屋?
辺りを見回すと、黒い家具に深いブルーのカーテンやラグがとてもカッコイイお部屋だわ。ここにラルフ様は12歳まで居たのね。黒い家具って珍しいけど、これもラルフ様の好みかしら?

そう思いながら、さらにキョロキョロと見ていると、何か変わったものがあちこちに置いてある。

「ラルフ様、あれは何?」

「あれは凧だよ。」

私の事指さした方を見てラルフ様が答える。

「タコ?なんですか?それ?」

「で、こっちがカイトって言うの。」

そう言われたものを見ると、タコと言われたものと似ているけれど、同じ物が沢山付いている。

「何に使うの?」

「これは空に上げて遊ぶものだよ。小さい時に暇だったから作ってみたんだ。」

ラルフ様はそう言いながら「懐かしいな」と呟いていました。

私には初めて見る不思議じゃなものばかりなのだけど・・・





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