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㉖侍女の心の声(ミーナ)

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私はグレイシス侯爵様のお屋敷でご令嬢であるレイラお嬢様にお仕えする侍女です。

私のお仕えするレイラお嬢様は、それはもう、素敵なお嬢様で、容姿はもちろん性格もとてもお可愛らしくて、素直でお優しいお嬢様です。
レイラお嬢様は幼い頃からヘンリー王子様の婚約者で、それはお仕えする私にとっても誇りなのですが、私には複雑な思いもあるのです。

昨日はレイラお嬢様が盗賊に襲われたらしく、衣服も髪もボロボロ、お顔も憔悴されたご様子で、馬車では無く、馬でお帰りになりました。
私はそのご様子に、レイラお嬢様になんと申し上げていいのか分からず、オロオロとするばかりでしたが、お嬢様付き執事のミカエル様がレイラお嬢様を慰めるお役目をされていました。

このお嬢様付き執事のミカエル様というのが、女性なら皆一目惚れしてしまいそうな容姿の持ち主で、お名前の通り、本当に大天使ミカエル様のようなお方です。ミカエル様は、私がこちらで働かせていただくことになる以前からグレイシス家に仕えていらっしゃって、レイラお嬢様からの信頼も大変厚い方です。

そのミカエル様がレイラお嬢様の傍にいる様は、まるでおとぎ話の王子様とお姫様のような光景で、度々レイラお嬢様をお姫様抱っこされていたり、私もお傍で使える身として、何度も、お二人が近くお話されている様を見る度に胸がキュンとさせられます。

実は内緒なのですが、私、レイラお嬢様とミカエル様は相思相愛ではないかと思うのです。
けれど、ミカエル様は使用人という立場を弁えていらっしゃるようで、決してその想いを打ち明けられることは無いのでしょう。

私がレイラお嬢様のお傷に軽く手当をして、髪を乾かし終わると、レイラお嬢様はミカエル様とお茶を楽しまれました。
私はその間に退室させて頂いたのですが、和やかな雰囲気に、レイラお嬢様の傷が早く癒えれば・・・と思いました。

翌日の朝、レイラお嬢様のお支度にお部屋に入ると、何故かミカエル様がレイラお嬢様のベッドに腰掛けられていて、静かにするよう、口元に人差し指を当てられました。
ミカエル様、その仕草、色っぽくて素敵です!
私もキュンキュンしてしまいます!

私はレイラお嬢様がお目覚めになるまで、邪魔にならないよう、隅に控えていましたが、何故、ミカエル様はレイラお嬢様の寝ているベッドに腰掛けていらっしゃるのかしら?しかも、ミカエル様はベッドの柱にもたれてくつろいでいらっしゃるご様子。
でも、その光景は絵物語のようで、大変絵になるお二人だわ。
そう思って、見てはいけないと思いつつも見ると、寝ているレイラお嬢様とミカエル様、手を繋いでいらっしゃる!?

キャーっ、ついにお二人は結ばれたのでしょうか?
この、王子様が眠るお姫様を見つめるような光景、目に焼き付けておかなくては!
等と下賎な妄想で興奮致しました!

ミカエル様、私はミカエル様を応援致します!
身分違いの恋がなんですか!
王子様がなんですか!
略奪愛、頑張って下さい!ミカエル様!

等と、勝手にミカエル様を応援したりしているのです。
メイド仲間に話して共有したい所ですが、私もプロの使用人。
決してご主人様の秘密は漏らしません!
でも、ミカエル様の人差し指をくちびるに当てる仕草、あれは私に向けられた仕草なのです!鼻血でそうですが、そこだけ話して自慢してもいいかしら。
きっと皆からキャーキャー言われて羨ましがられる事でしょう。

ああ、私レイラお嬢様付きの侍女で、これほど良かったと思うことはありません。









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