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3.「ともだちだから」
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第三話「ともだちだから」
「優紀、お待たせ!」
――四月中旬。横浜駅近くにオープンしたチーズドッグ専門店は沢山の人で賑わっていた。
チーズドッグとは、アメリカンドッグの中身をチーズに変えた韓国発祥の食べ物で、衣を纏った薄い生地の中からとろりとチーズが伸びるフォトジェニックな様子から若者達の間で大流行している。
平田沙希は商品を受け取ると、店脇で待っている友人、水瀬優紀の元に駆け寄った。
「おかえり。凄い混んできたね」
「今大人気だからね。向こうの方で食べようか」
二人は店を離れると駅近くの短い橋に移動し欄干に体を預けた。
夕暮れ近くの霞空、街の喧騒と、橋下の水面が揺らぐ音。春先の少しひんやりとした風が二人の頬を撫でる。
この春、高校二年に進級した沙希と優紀は幼馴染。幼稚園の頃からずっと仲良しの大親友。沙希が所属する陸上部が休みの毎週水曜日の放課後の寄り道はすっかり習慣になっていた。
「いただきま――」
「ちょっと待った! 食べる前に写真!」
念願のチーズドッグに齧り付こうとした優紀を、カメラを構えた沙希が慌てて引き止めた。
「……揚げたてが美味しいのに」
「ごめん。一枚だけでいいから!」
両手を合わせて頼み込む沙希。写真中毒の彼女に優紀は呆れた眼差しを向けながらも身を寄せた。
二人とチーズドッグがフレームに収まるように調節すると、沙希は手慣れたように自撮りをする。
「オッケー、ばっちし!」
「じゃあ今度こそ……いただきます!」
沙希の言葉を聞くが早いか、優紀はたっぷりとケチャップがかかったチーズドッグに噛り付く。
さくっとした衣の中から熱々のモッツァレラチーズがとろりと溢れ出し、手を動かせばその分だけ伸びていく。想像以上のチーズの伸びに優紀は戸惑いがちに口を動かした。
一方の沙希はまだチーズドッグの撮影を続けながら、隣で悪戦苦闘している優紀の姿をこっそりと写真に納めた。
「ねぇ、見て優紀。これすっごく可愛く撮れたと思わない?」
「ちょっといつの間に!」
沙希が見せた写真に優紀は思わず息を詰まらせた。
そこに映るのは伸びるチーズに必死に喰らい付いている優紀。あまりにも恥ずかしい姿に彼女は沙希からスマホを奪い取り削除ボタンを連打する。
「酷いなぁ。消すことないじゃん」
「写真写り悪いから隠し撮りやめてっていつもいってるじゃん!」
「せっかく可愛く撮れてたのになあ……もったいない」
「駄目なものは駄目!」
怒れる優紀に沙希は一切悪びれる様子なく、返されたスマホを受け取りSNSアプリを開いた。
「リンスタにあげるの?」
「もちろん」
若者に絶大な人気を誇る画像投稿SNS『リンクスター』通称『リンスタ』
世界中の人々が投稿する写真に『スター』を送り合い、何百何千ものスターを送られた者はフォロワーも増え人気者になれる。沙希もリンスタの人気者を目指してお洒落な写真を撮るために日々精進しているのだ。
【ユーキと寄り道!#チーズドッグ#部活休み#女子会】
写真を選び、コメントとハッシュタグと呼ばれるカテゴライズキーワード入力し、投稿ボタンを押す。それだけで一瞬にして全世界に向けて公開される仕組みだ。
《新しくできたお店だよね! 今度一緒に行こ!》
《もち。皆でいこいこ!》
投稿から数分経たずして沙希の投稿に友人達からスターとコメントが送られてくる。
「優紀もリンスタ更新すればいいのに。楽しいよ?」
「私、沙希みたいに写真上手くないし……見てるだけで十分だよ」
一日に何件も投稿を行うリンスタのヘビーユーザーである沙希と対照的に、優紀は流行事に興味関心が薄い。
沙希の誘いでリンスタを始めた優紀だったが、写真を撮る癖がない彼女の投稿数はほぼゼロに等しかった。
「……っ、さむ」
日が傾き始め、橋に冷たい突風が吹き上げた。僅かに身震いした優紀を沙希は見逃さなかった。
「大丈夫? 冷えてきたからそろそろ帰ろうか」
「え……もう少しくらい平気だよ」
平然そうにしていた優紀だが徐々に咳の回数が増えていく。
それを見た沙希は呆れたように慣れた手つきで彼女の背中を摩った。
「ほら、咳出てきたじゃん。そういってこの間も風邪引いたんだから――」
何かを察した沙希が言葉と同時に手を止めると、優紀の体がぎくりと震えた。
「ちょっと、優紀熱あるでしょ!」
背中から伝わる体温の熱さを不自然に思い、優紀の額に触れた沙希は眉を顰めた。
明らかに熱い。よく見ると優紀の頬は僅かに赤く、表情も気怠げだ。沙希が疑いの眼差しを向けると、優紀は気まずそうに目を逸らした。
「本当に信じらんない。具合悪いのにどうしていわないの」
「せっかく遊びに来たのに……すぐ帰るの勿体ないでしょう?」
幼い頃から病弱な優紀の体調の変化に沙希は誰よりもさとかった。
またバレたかと頬をかきながら誤魔化す優紀に、沙希は大きな溜め息を一つ零し頭を抱えた。
「具合悪いのに無理して遊んだって優紀も辛いだろうし、隠される私も辛いよ。おばさん達だって心配するし、誰も良い思いしないじゃん」
「……うん」
優紀が体調不良を隠すのは一度や二度ではない。いつも無理をして風邪を拗らせる。変なところで頑固な優紀をたしなめるのも沙希の役目だった。
「遊びになんていつでもいけるんだから、もっと自分の体大事にしてよ」
沙希に諭されると、ようやく優紀は反省したように肩をすぼめた。
「今日はもう帰ろ? 元気な時にまた遊びに行こうよ」
「うん……沙希、いつも心配かけてごめんね」
弱々しく謝罪を述べた優紀に沙希は分かればよし、と微笑んで仲良く帰路に着いた。
結局その後、優紀は母親にしこたま怒られ体調は治らず翌日学校を休んだ。沙希は部活が終わり次第、配布されたプリントを届けついでに優紀を見舞いに訪れる――これが二人にとっての日常だった。
今までも、これからも。この関係は変わることなく永遠に続いていくものだと、沙希はなんの疑いもなしに思っていた。
――しかし、それからたった二日後、沙希は己の考えの甘さを実感することになる。
体育の授業中、優紀が突然倒れたのだ。場が騒然とする中、意識を失い顔面蒼白の親友が救急隊に運ばれて行くのを沙希はその場で呆然と立ち尽くし見送ることしかできなかった。
《さっきはビックリさせてごめんね》
優紀からメッセージが届いたのは、その日の夜だった。
《大丈夫なの?》
ベッドで横になっていた沙希は、通知音が鳴った瞬間飛び起き、すぐさま返事を送る。
《数日間検査入院することになったけど、取り敢えずは大丈夫だよ》
《お見舞い行ってもいい?》
《午前中は検査があるけど、お昼過ぎたらいいとおもう》
《わかった。じゃあ明日午後イチで飛んでいくね!》
《飛んでこなくていいよ(笑)》
いつも通りのやりとりが繰り返される。
文面を見る限り優紀が元気そうで、沙希はほっと胸を撫でおろした。
《じゃあ今日はゆっくり休んでね。無理したら絶対ダメだよ!》
《わかってるよ。おやすみ》
パジャマ姿のキャラクターのスタンプを最後に優紀からのメッセージが途切れた。
「…………よかった」
沙希は体の力が抜けたようにベッドに倒れ込むと大きく息を吐く。
優紀が倒れてからずっと気が気ではない時間を過ごしていた。親友の無事を知り気が抜けたようで、沙希はそのまま眠りの中に落ちていった。
「優紀、お待たせ!」
――四月中旬。横浜駅近くにオープンしたチーズドッグ専門店は沢山の人で賑わっていた。
チーズドッグとは、アメリカンドッグの中身をチーズに変えた韓国発祥の食べ物で、衣を纏った薄い生地の中からとろりとチーズが伸びるフォトジェニックな様子から若者達の間で大流行している。
平田沙希は商品を受け取ると、店脇で待っている友人、水瀬優紀の元に駆け寄った。
「おかえり。凄い混んできたね」
「今大人気だからね。向こうの方で食べようか」
二人は店を離れると駅近くの短い橋に移動し欄干に体を預けた。
夕暮れ近くの霞空、街の喧騒と、橋下の水面が揺らぐ音。春先の少しひんやりとした風が二人の頬を撫でる。
この春、高校二年に進級した沙希と優紀は幼馴染。幼稚園の頃からずっと仲良しの大親友。沙希が所属する陸上部が休みの毎週水曜日の放課後の寄り道はすっかり習慣になっていた。
「いただきま――」
「ちょっと待った! 食べる前に写真!」
念願のチーズドッグに齧り付こうとした優紀を、カメラを構えた沙希が慌てて引き止めた。
「……揚げたてが美味しいのに」
「ごめん。一枚だけでいいから!」
両手を合わせて頼み込む沙希。写真中毒の彼女に優紀は呆れた眼差しを向けながらも身を寄せた。
二人とチーズドッグがフレームに収まるように調節すると、沙希は手慣れたように自撮りをする。
「オッケー、ばっちし!」
「じゃあ今度こそ……いただきます!」
沙希の言葉を聞くが早いか、優紀はたっぷりとケチャップがかかったチーズドッグに噛り付く。
さくっとした衣の中から熱々のモッツァレラチーズがとろりと溢れ出し、手を動かせばその分だけ伸びていく。想像以上のチーズの伸びに優紀は戸惑いがちに口を動かした。
一方の沙希はまだチーズドッグの撮影を続けながら、隣で悪戦苦闘している優紀の姿をこっそりと写真に納めた。
「ねぇ、見て優紀。これすっごく可愛く撮れたと思わない?」
「ちょっといつの間に!」
沙希が見せた写真に優紀は思わず息を詰まらせた。
そこに映るのは伸びるチーズに必死に喰らい付いている優紀。あまりにも恥ずかしい姿に彼女は沙希からスマホを奪い取り削除ボタンを連打する。
「酷いなぁ。消すことないじゃん」
「写真写り悪いから隠し撮りやめてっていつもいってるじゃん!」
「せっかく可愛く撮れてたのになあ……もったいない」
「駄目なものは駄目!」
怒れる優紀に沙希は一切悪びれる様子なく、返されたスマホを受け取りSNSアプリを開いた。
「リンスタにあげるの?」
「もちろん」
若者に絶大な人気を誇る画像投稿SNS『リンクスター』通称『リンスタ』
世界中の人々が投稿する写真に『スター』を送り合い、何百何千ものスターを送られた者はフォロワーも増え人気者になれる。沙希もリンスタの人気者を目指してお洒落な写真を撮るために日々精進しているのだ。
【ユーキと寄り道!#チーズドッグ#部活休み#女子会】
写真を選び、コメントとハッシュタグと呼ばれるカテゴライズキーワード入力し、投稿ボタンを押す。それだけで一瞬にして全世界に向けて公開される仕組みだ。
《新しくできたお店だよね! 今度一緒に行こ!》
《もち。皆でいこいこ!》
投稿から数分経たずして沙希の投稿に友人達からスターとコメントが送られてくる。
「優紀もリンスタ更新すればいいのに。楽しいよ?」
「私、沙希みたいに写真上手くないし……見てるだけで十分だよ」
一日に何件も投稿を行うリンスタのヘビーユーザーである沙希と対照的に、優紀は流行事に興味関心が薄い。
沙希の誘いでリンスタを始めた優紀だったが、写真を撮る癖がない彼女の投稿数はほぼゼロに等しかった。
「……っ、さむ」
日が傾き始め、橋に冷たい突風が吹き上げた。僅かに身震いした優紀を沙希は見逃さなかった。
「大丈夫? 冷えてきたからそろそろ帰ろうか」
「え……もう少しくらい平気だよ」
平然そうにしていた優紀だが徐々に咳の回数が増えていく。
それを見た沙希は呆れたように慣れた手つきで彼女の背中を摩った。
「ほら、咳出てきたじゃん。そういってこの間も風邪引いたんだから――」
何かを察した沙希が言葉と同時に手を止めると、優紀の体がぎくりと震えた。
「ちょっと、優紀熱あるでしょ!」
背中から伝わる体温の熱さを不自然に思い、優紀の額に触れた沙希は眉を顰めた。
明らかに熱い。よく見ると優紀の頬は僅かに赤く、表情も気怠げだ。沙希が疑いの眼差しを向けると、優紀は気まずそうに目を逸らした。
「本当に信じらんない。具合悪いのにどうしていわないの」
「せっかく遊びに来たのに……すぐ帰るの勿体ないでしょう?」
幼い頃から病弱な優紀の体調の変化に沙希は誰よりもさとかった。
またバレたかと頬をかきながら誤魔化す優紀に、沙希は大きな溜め息を一つ零し頭を抱えた。
「具合悪いのに無理して遊んだって優紀も辛いだろうし、隠される私も辛いよ。おばさん達だって心配するし、誰も良い思いしないじゃん」
「……うん」
優紀が体調不良を隠すのは一度や二度ではない。いつも無理をして風邪を拗らせる。変なところで頑固な優紀をたしなめるのも沙希の役目だった。
「遊びになんていつでもいけるんだから、もっと自分の体大事にしてよ」
沙希に諭されると、ようやく優紀は反省したように肩をすぼめた。
「今日はもう帰ろ? 元気な時にまた遊びに行こうよ」
「うん……沙希、いつも心配かけてごめんね」
弱々しく謝罪を述べた優紀に沙希は分かればよし、と微笑んで仲良く帰路に着いた。
結局その後、優紀は母親にしこたま怒られ体調は治らず翌日学校を休んだ。沙希は部活が終わり次第、配布されたプリントを届けついでに優紀を見舞いに訪れる――これが二人にとっての日常だった。
今までも、これからも。この関係は変わることなく永遠に続いていくものだと、沙希はなんの疑いもなしに思っていた。
――しかし、それからたった二日後、沙希は己の考えの甘さを実感することになる。
体育の授業中、優紀が突然倒れたのだ。場が騒然とする中、意識を失い顔面蒼白の親友が救急隊に運ばれて行くのを沙希はその場で呆然と立ち尽くし見送ることしかできなかった。
《さっきはビックリさせてごめんね》
優紀からメッセージが届いたのは、その日の夜だった。
《大丈夫なの?》
ベッドで横になっていた沙希は、通知音が鳴った瞬間飛び起き、すぐさま返事を送る。
《数日間検査入院することになったけど、取り敢えずは大丈夫だよ》
《お見舞い行ってもいい?》
《午前中は検査があるけど、お昼過ぎたらいいとおもう》
《わかった。じゃあ明日午後イチで飛んでいくね!》
《飛んでこなくていいよ(笑)》
いつも通りのやりとりが繰り返される。
文面を見る限り優紀が元気そうで、沙希はほっと胸を撫でおろした。
《じゃあ今日はゆっくり休んでね。無理したら絶対ダメだよ!》
《わかってるよ。おやすみ》
パジャマ姿のキャラクターのスタンプを最後に優紀からのメッセージが途切れた。
「…………よかった」
沙希は体の力が抜けたようにベッドに倒れ込むと大きく息を吐く。
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