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キタカラキタオトコ 3

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 ルーカスと別れを告げ、その夜一行はマッケランの街にあるホテルに泊まった。翌朝の帰省の道中、馬車の中で2人は隣に座っていた。

「あっという間でしたね‥」
 テオドールの肩に頭を乗せてリリィベルが呟いた。
 その顔はなんとも幸せそうな表情だ。
「あぁ‥だが、有意義な時間も‥‥そうでない時間もあった‥」
 テオドールも幸せそうなに目を瞑り呟いた。

「新しい領主も決まったし‥みな信頼できる者達ばかりだ‥。俺達の支えてくれる臣下達だ‥。そして、活気ある国民達。‥みんなが俺達を祝福してくれた‥。ああして、直に声を聞くだけで嬉しかった‥。リリィ‥俺は幸せだ。」

「はい‥私も皆にテオの婚約者と‥祝福され‥改めて幸せです‥。あなたの隣に立つ事を許された気分です。」

「俺が見つけた運命の相手だ‥祝福されないはずないだろ?
 お前とこうして各地をまわって‥俺の隣にはお前が居ると触れ回ったんだ‥。結婚式は盛大に、国民達が祝福してくれる‥。帰ったらデザイナーと相談しなくてはな。

 お前のウェディングドレスが楽しみで仕方ない‥」

 鼻先をくっつけて、2人は笑いあった。


 もちろんカーテンは閉まってない。

「‥大事な時カーテン閉めませんよね?」
 カールが一言呟いた。
「お前少しは口が減らないのか?帰ったらフィリップと決闘だぞ?」
 サイモンが涼しい顔で言った。

「アレまじでやるの?もう忘れてない?」
 カールが顔を歪めてそう言った。
「さぁ?殿下は根に持つから‥。一度言ったら案外忘れないし‥。さよなら相棒。」

 サイモンはカールにそう告げ、微笑んだ。

「ちょっ‥相棒変わっちゃうんだよ?!」
「仕方ない。さらば相棒。」
「ちょっとは名残惜しんで!!」
「悪い。俺フィリップもかわいいんだ。弟分として。
 フィリップが相棒でも背を預けられるんだ。

 ごめんな相棒?」
「俺の背中は誰が守るの?!やぁだぁよぉ!!!
 愛してるよぉ!!」
「気持ち悪いんだよ!!」

 馬に乗ったまま2人はわちゃわちゃと騒がしくしている。

 馬車の中まで筒抜けていた。
 テオドールは目を細めた。自分の騎士団は騒がしい。


「イーノク。」
 馬車と並行しているイーノクに声を掛けた。
「はい殿下。」
「サイモンの相棒はフィリップで問題ないか?」
「はっ。なんの問題もございません。」
「よし、ではもう変えてしまえ。決闘はなしでな。」
「はい殿下。カールはしばらく口を縫いますか?」
「そうしてくれ。‥うるさい。」
「同感です。殿下」


「ちょっとぉぉ!そこ聞こえてます!!!」
「やかましい。」

 馬車の窓から顔を出してテオドールはカールに怒鳴った。
「でんかぁぁ~」

 カールの情けない声が聞こえてくる。
「ふっ」
 馬車の中でテオドールは吹き出して笑っていた。
 その様子にリリィベルが首を傾げて笑う。

「テオは、カール卿をどうされるおつもりで?」
「あいつか?ふっ、ああやって弄ってると面白いからな」
「では決闘は?」
「一度言った事だ。カールはサイモンに言われて決闘するだろ?フィリップの為の試合だ。フィリップも力を付けてきたからな。カールと対戦させて実力を知り、切磋琢磨させる腹積りだ。」

「まぁ‥ではカール卿は?」
「まだあいつの方が力は上だろう。それにカールとサイモンは同期でずっと一緒だった。あれ以上の相棒はいないだろ。」

「ふふっテオは悪戯好きですね。もし、フィリップ卿が勝ったら?」
「そうだなぁ‥カールが負ける予想はしてないが、カールが負けたらサイモンもフィリップと戦うだろうから、その勝敗が決まったら序列2位の地位と報酬を与える。3人組だ。」
「ふふっ仲良しですものね。」
「それが俺の騎士団だ。うるさいけどな‥」

「テオの人柄に皆惹かれてあんなに伸び伸びの活動されているのですね。」
「ははっ、みな俺が8歳の頃から一緒だった。これからもそれは変わらない‥俺の事を信じ、俺もあいつらを信じている‥。」
「はい‥イーノク卿とアレックス卿にも、テオの話はたくさんお聞きしました。」
「‥‥‥なにをきいた?」
「んふっ、テオには皆敵わなかったと言う話ですよ?素晴らしい剣術で。」

「俺は‥‥そうだな‥‥守りたい人が見つかったときの為に‥必死だった。

 お前のことだよ‥リリィ‥」

 そう言って、リリィベルの額に口付けた。
 ニッコリ笑ってリリィベルは受け止めた。

「帰ったら忙しいが、俺のそばでいつも笑っていてくれ‥
 お前が居れば俺はなんでもできるから‥‥」
「ずっとおそばに居ます‥嫌だと言ってももう離れませんから‥」

「そうしてくれ‥」


 これが幸せ。今の幸せ‥。
 肩を寄せ合い未来を描く。


 3週間ぶりに、城へ帰ってきた。
 馬車が入場したのを見て、迎えたのは皇帝、皇后
 オリヴァーとマーガレットだ。

 テオドールとリリィベルが馬車から降りる。
「テオ!リリィ!」
 マーガレットの明るい声が響く。
 その声に2人は振り向いた。

「お義母様!お義父様!」
 エスコートされていたリリィベルは足早にマーガレットに駆け寄った。

 ぎゅっと抱きしめ合う2人。
「リリィおかえりなさい!とっても寂しかったわ!」
「お義母様!ただいま戻りましたっ!」

 美しい2人が再会を喜んでいる。
 テオドールはオリヴァーに近づき、微笑んだ。
「陛下、ただいま戻りました。」
「おかえりテオドール。後でみっちり話を聞かせてくれ?」
 爽やかな笑顔で迎えてくれたオリヴァーだが、テオドールは背筋が凍った。きっと先日の件で叱られる事はひしひしと伝わっている。

「おかえりテオ!」
「戻りました。陛下」

 マーガレットはテオドールを抱きしめた。
「無事に帰って本当に良かった。視察の話をたくさん聞かせてね?」
「もちろんです。ゆっくりと‥穏やかにね?ね?父上も。
 ね?ね?」

 マーガレットを受け止め、オリヴァーにも伝わるようにそう言った。

「あぁ‥‥そうだな。穏やかに、楽しくな?なー?」
 オリヴァーはリリィベルの肩に手を置いた。
「リリィ、疲れただろう。お疲れ様。」
「いいえお義父様!とても素晴らしい時間でした。
 今夜ゆっくりとお話し出来ますか?」

 久しぶりのリリィベルの笑顔にオリヴァーも微笑んだ。
「あぁもちろん!そうだ。私から一つ報告があるから、
 2人とも着替えたら私の執務室へおいで?」

 その言葉にテオドールは不思議な顔をした。
「陛下から?」
「あぁ、話は後だ。まずはゆっくりして着替えておいで?」

「はい!お義父様。」

 リリィベルとマーガレットは、2人で城の中へ入って行った。

 騎士団達は荷物を運び、その後解散する。
 その間に、オリヴァーはテオドールと向き合った。

「テオ?」
「はぁ。」
「やってくれたな。」
「へぇ。まぁ‥」
「アレほどロスウェルに言われていたのに。」
「申し訳ありません。‥その件も含めて、しっかりご報告します。」
「‥‥‥手は」
「出してません!!!!」

「よし‥‥ならいい。」

 満足気なオリヴァーが先に城へ中へ向かった。
 テオドールは不機嫌そうに口をへの字に曲げた。

「ちっ‥‥俺の努力舐めんなよちくしょぉ‥‥
 こちとらもう限界だっつーの‥‥‥。」

 詰まった襟元を片手で緩めながら、空いた手で髪をガシガシ掻き乱した。



 帰省から2時間後、2人はさっぱりして着替えを済まし皇帝の執務室へやってきた。

 テオドールが扉を開けると、陛下が微笑んで出迎えてくれた。

「2人ともお疲れ様。そこへ座りなさい。」
 オリヴァーは2人をソファーに座らせ、上座のソファーに腰掛けた。

「まずは、無事に帰ってきてくれてホッとしている。まぁ、少々危険な面があったようだがな?」
 そう言ってテオドールをチラリと見た。無言を貫くテオドールにリリィベルがクスッと笑った。

「ロスウェルのおかげで難を乗り切ったが、まぁ。
 それはそれとして、領主の件はすべて解決したな?」

「はい。細かな地は合併し、新しい領主が治めます。
 陛下、カドマン伯爵とグランディール伯爵、ブラックウォール辺境伯からはなんと?」

「あぁ、その事で呼んだ。」
「ん?」

 皇帝が従者に声をかけると、やがて部屋を訪れた。
 容姿端麗の黒髪の男。

 リリィベルがいち早く現れた男に反応した。
「まぁ!グレン!!!」
「あぁ!グレン?」
 立ち上がったリリィベルと声に、テオドールは思い切り眉を吊り上げてリリィベルに続いた。

 リリィベルに向かって微笑む。そのグレンとか言う男。

 2人はテオドールの前で手を取り合った。
「リベル!久しぶりだ!」
「グレン!!本当ね!!」
 リリィベルが、他の男に嬉しそうに微笑んでいる。


「‥‥‥‥」
 テオドールはポカンと口を開けた。

 リベル?

 グレン?


 ぽかんとした様子のテオドールに皇帝はポンポンと肩を叩いた。

「ダニエルの使いでやってきてくれた。
 グレン・ハーニッシュ卿だ。テオ‥‥口を閉じたらどうだ?」

 オリヴァーに頬を突かれて、テオドールはやっと意識が戻ってきた。正直、魔術を使い果たした時より花畑に行きそうな気持ちだ。


 リリィベルと手を取り合うグレンの光景が目の前に広がり
 目がチカチカする。


 あれ、俺疲れてるかな‥‥。


 グレンはようやくテオドールに向き合った。

「皇太子殿下。お初にお目にかかります。
 グレン・ハーニッシュと申します。以後お見知り置きを。」

「あ、あぁ‥。」

 丁寧にお辞儀されて、テオドールは戸惑ったが、辛うじて意識を保っている。

「私はダニエル様に剣術を習い‥‥」


 リベル?


「幼い頃から‥」


 リベル?


「この度爵位と領主の件で‥‥」


 えっ、リベル?



「‥‥殿下?」


「‥左様か、よくぞ遠い北からやってきてくれた。」


 テオドールは爽やかに笑みを浮かべた。グレンも同じく、爽やかに笑った。
「はい。こうしてリベルと久しぶりに会えました。
 殿下の誕生祭から戻らずとても心配しておりました。

 殿下の婚約者になったと聞き、とても驚きました。
 身体の弱いリベルが心配で‥。北部にいた頃は私が護衛としてそばに仕えておりましたので‥。」

「そうか。」
「はい、それでひと足先に私が参りました。」


 なんだか、とっても嫌な感じだ‥‥


 吐き気がする‥‥


「それはご苦労だった。城に滞在中はゆっくりと過ごされよ。」


 作り笑いで言った言葉だった。
 だが、グレンと瞳が合った時、見逃さなかった。

 その灰色の瞳から出るドス黒い視線を。


「えぇ、ありがとうございます‥。

 私は、リリィベル様の為ならどこにだって参りますよ。」


 テオドールはニヤリと笑った。


 そんな中オリヴァーが笑みを浮かべて口を開く。

「テオ、ハーニッシュ卿は、リリィベル暗殺者の捕縛と、公爵家のレナードの捕縛に尽力してくれたそうだ。
 その功績を讃えて男爵位を与えたいんだ。どうだ?」

「それは‥いい考えですね。リリィの為にそんなに尽くしてくれたのですから当然ですね。」
 そう言って、皇太子の微笑みを見せたのだった。
 グレンは先程の視線を隠して、穏やかに笑みを浮かべている。

「これからもリリィベル様の為に誠心誠意お仕えしたい所存です。」

 グレンはリリィベルを見て微笑んだ。

 テオドールはそのグレンのリリィベルを見る目に何度も不快感が湧いていた。そして鋭く目を細めたのだった。

「なるほど。それは‥心強いな‥。」
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