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2人の世界に

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 皇太子は、皇帝の執務室からある部屋へと足を運んだ。
 そこは、リリィベルが妃教育を受けている部屋だ。

 扉の前にはイーノクとアレックスが立っている。皇太子は2人にウィンクして見せた。
 そうすると、2人はくすりと笑った。

 扉の隙間からこっそりとその姿を見る。
 さっきも中庭で休憩中に会ったが、顔を浮かぶと足が進んでしまうのだ。

 リリィベルはテオドールの存在には気付かなかったが、いち早く教育係の者が気づいた。
 けれどテオドールは、口に人差し指を当てて声に出さぬように促したのだった。

 その姿に教育係は笑みを浮かべてリリィベルを見た。

 こっそりと足音も扉の音も立たせずに、テオドールは部屋に入り込んだ。

 そして・・・・。

「テオドール・アレキサンドライトの婚約者の名は?」
 リリィベルの後ろから質問したのだった。

 ハッとしたリリィベルが振り向いた。
「てっ・・・テオ様・・・・。」

 ニヤリと笑ったテオドールは、リリィベルに顔を寄せる。

「早く答えないか。知らねぇのか?」

 そう聞かれて、リリィベルは頬を赤くした。
「・・・リリィ・・ベル・・・ブラックウォールで・・・御座います。」
「あぁ・・・正解だ。」
 柔らかく微笑むテオドールに、リリィベルは胸が高鳴っていた。

「賢い婚約者には、褒美をやらないとな?何がいい?」
「ご褒美・・・ですか?」

「あぁ、可愛い婚約者に、何か贈りたいのだが・・・・なにが良いと思う?」
「えっ・・・でも、まだ・・・・」
 リリィベルは教育係とテオドールをキョロキョロと見て焦っていた。

「あぁ、しばらく婚約者を連れ出したいのが、見逃してくれるか?
 聞けば、私の婚約者はとても優秀で、予定より早く授業が進んでいるようだが?」

「はい、皇太子殿下。問題御座いません。」

「ならば、心配ないな。行くぞリリィ!」
 テオドールはリリィベルの手を取り、椅子から立ち上がらせると、そのまま抱き上げたのだった。

「わぁぁっ・・・・テオ様っ・・・それはお止めにっ・・・・。」
「はっ・・・もう遅いっ。抱き上げたら離せないんだ!」

 そう言って走り出し、早々と部屋を出てしまった。
 廊下をお姫様抱っこで皇太子が走りゆく。
「殿下!!!どちらへっ!!」
「あぁ!護衛はいいぞ!俺と一緒だからな!!帰ったらまた頼むから騎士団で待機だ!」

 その嬉しそうな皇太子に2人は笑って頭を下げた。

 すれ違うメイドや従者たちが2人を見てクスリと笑う。
「うぅぅっ・・・・。」
 リリィベルは顔を赤くして両手で顔を隠したのだった。
 それを見てまたテオドールも満面の笑みを浮かべる。

 しかし、遠く離れた所で、出くわしたくない人がいる事に気づき、テオドールはそっと
 リリィベルを下ろしたのだった。

「・・・・・・?」
 リリィベルは不思議そうにテオドールを見上げたが、目線の先を見て表情を曇らせた。


 皇太后が、ライリーを連れてこちらにゆっくりと向かってくる。
 テオドールはただ、真剣な表情で見ていた。

「皇太子、先程のは私の見間違いであったか?」
「何のことでしょう?」
「娘を抱きかかえて、走っていたではないか。何度言われれば改めるのだ?」
「・・・・・・。」
「あっさり謹慎を皇帝に泣きつき解かれたはずなのに、ちっとも反省の色が見えないようだな。」

 その言葉に皇太子は笑みを浮かべた。
「いいえ、皇太后陛下。私たちは十分に反省致しました。」
「なに?では先程のあれば?」
「私たちは、パーティーでの振舞いを反省したのです。愛が溢れしまい過ぎたばかりに、
 人前で身体を寄せてばかりいた事で御座います。」
「では・・・今のは?教訓は得られなかったか?」

「ここは私たちの城、誰にも迷惑はかけておりませんし、リリィベルが足を痛めぬよう
 抱きかかえていただけで御座います。私は婚約者がとても大切ですので。」
 自信に満ちた顔でそう言った。

「ふんっ・・・よくそんな事を言えるものだな。」
「事実ですので・・・。ですが、皇太后陛下がご心配なさるような真似は、
 次の建国祭では晒さぬよう、私たちは教訓を得ました。愛し合う際には誰にも見せぬように致します。」

「・・・・・・・」
 皇太后が表情を硬くし、扇子を強く握りしめる。

「おや?皇太后陛下、そんなにお顔を赤くされてどうなさったのです?
 陛下のお身体が心配で御座います。あまりお怒りにならぬ方が宜しいですよ?」

「そなたが心配で、私はこうして気を揉んでいるのです。」
 刺々しく皇太后は言った。

 皇太子はその言葉に目を丸くさせて口を開く。

「私も16、来年の夏には、妃を持つ身で御座います。皇太后陛下をご安心させますよ。
 早くに世継ぎを設けて、次の世代を確固たるものに致します。
 そうですねぇ・・・最初の子は王子がいいでしょう。その次は王女・・・。
 私は何人でも構いませんが、このようにか細い妃なので、あまり体に負担をかける訳にはいけませんよね。
 なので、どうかご心配なさらないで下さい。父が皇太子だった時代にあった争いごと等、
 私の御世には起こりませんので、心安らかにお過ごしください。」

「っ・・・皇太子っ・・・・」
「ご心配いりません。政の際には、今後は気を付けますので。
 あぁ、それからライリー嬢。」

 テオドールはそばにいるライリーにも声をかけたのだった。
 ライリーはハッと皇太子を見た。
「・・・・・はい・・・殿下・・・・。」

 テオドールはリリィベルの肩を抱き寄せ口を開いた。
「この間、声を荒げてしまった事を謝罪する。申し訳なかった。
 部外者(・・・)であるそなたに、いくら気が立っていたとは皇太子としてあるまじき行為。
 愚かにも当たってしまった事、遅れてしまったが、謝罪する。
 そなたもこの国の未来を心配してくれていたのだろう。

 だが、私には婚約者がいる故、皇太子として今後は情けない姿を見せぬようにしよう。
 そなたの心配も無用だ。一貴族として、帝国を支える存在で居続けてくれることをお願いしたい。

 では、私たちはこれで失礼する。」


 言いたいことをいい、テオドールはリリィベルを連れてその場を離れた。

 皇太后は、怒りでさらに顔を赤くしていた。
 ライリーは、呆然とその場に立っていた。

「話にならないわね・・・あんな愚かな子ではなかったはずなのに・・・・。」
 皇太后の顔は激しい怒りで歪んでいた。
「・・・・・・・」
 ライリーは皇太子に言われた言葉が胸に突き刺さっていた。


 部外者・・・・・?


 私は一貴族ではなく・・・・女として、侯爵令嬢として、あなたを支える存在になるのよ・・・・。




 リリィベルの手を引き、足早にテオドールは廊下を歩いた。
「テオ様っ・・・」
「なんだ?」
「皇太后陛下に・・・良かったのですか?」
「俺はなにか間違った事を言ったか?あの日2人でパーティーの事は反省した。問題はない。」
「でも・・・・・。」

 リリィベルは手を引かれながら心配そうな顔をしていた。

「大丈夫だ。」


 悲して、残酷な人だということは、すでに分かっている。

 皇帝の執務室で数々の悪行を知った・・・。


 祖母だという思いは、捨ててしまう・・・。

 父上はあんなに優しい方なのが、信じられない・・・。


「リリィ?」
「はい?」

「今日は外に出てみないか?城に来てからずっと出てないだろ?」
「えっ?外ですか・・・?」
「あぁ、どうだ?王都に来たかったんだろ?俺のせいでずっと城の中だ。
 俺と一緒に外へ出よう?」

 悪戯に笑うテオドールに、リリィベルは少しずつ嬉しさがこみあげてきた。

 テオ様と一緒なら・・・怖くない・・・・。

「はいっ行きたいです!」
「よし、決まりだ!いったん部屋に戻って着替えるぞ?」

 そう言って2人は皇太子宮まで急いだ。


 リリィを城下の娘風になるように、支度をさせている間、
 テオドールは平凡なシャツと動きやすい平民騎士のようなラフな格好をきめ込んだ。

 テオドールはブレスレットの宝石を3回叩いた。
「はぁーい。」
「よぉ、ハリー。」
「なんすか?」
「これから城下に出るから、俺とリリィだと分からないようにしてくれないか?」
「まぁー・・・いいっすけど。」
 ボリボリと頭を掻いて、ハリーは緩く答えた。

「なぁ・・・。俺とリリィが門を出たら、俺たちの髪色を黒髪に出来るか?」
「それだけでいいんすか?まぁ二人とも髪色派手ですもんね。」
「いや、お前に言われたくねぇんだけど・・・。」

 魔術師達はみなそろって水色の珍しい髪色だ。

「黒髪にしただけで、変わりそうですけど分からないようにしておきます。」
「あぁ。そうしてくれ・・・。」

 テオドールはスッと手を差し出した。
 ハリーは何も言わずに指の腹を差し、その血を賜る。ハリーの手の甲に魔術印が現れる。

「んじゃ、門から出た時に、変わりますから。」
「おう、サンキュー」
「え?なんて?」

 皆がサンキューを知らない。

 テオドールは自身の執務室に行った。
「おいフランク」
「あっ殿下!待ってました!」
「あん?」
「今お戻りに?執務が。」
「あーーーー今日はダメだ!あとで帰ってきてからするから。」
「えぇっ!うそでしょ!?」
「嘘じゃない。」

 そしてフランクはテオドールの姿を見て、ため息をついた。
「わぁー・・・本当だ・・・着替えてるっ・・・。」
 悔し気に呟き、肩を落とした。

「へっ・・・お前も休んでいいから。な?許せよ。」
 そう言って執務室を後にした。


「はぁ・・・・・ま、いっか・・・・。」

 フランクは溜まった書類を見ながら笑みを浮かべた。

 ずっといろんな事があったし、きっとリリィベル様と出掛けるのだろう・・・。

 それに・・・・。

「・・・・あの指輪・・・・つけてるんだよな・・・。」

 リリィベルに出会う前に、その指輪に触れひどく怒られた。
 けれど、いつの間にか、その指輪を付けていた。

 リリィベルも同じデザインの指輪をつけている。

 あの時、不思議だと思った事が何故か、しっくり来ていた。

 いつ、リリィベルに同じデザインの指輪を用意したのか分からないが・・・・。

 お揃いの指輪を付けて、2人は幸せそうだった。

 最近テオドールが、執務の途中に指輪を撫でる癖が出来た。
 そして笑みを浮かべている。その姿を見るたびに、こちらまで嬉しくなった。

「ま・・・いっか・・・・。殿下が楽しそうだ。」
 フランクは笑って皇太子の机を整理し始めた。



「リリィ!支度は出来たか?」
 声と同時にリリィベルの部屋を開ける。
「あぁ殿下ぁ!レディーの部屋を勝手に開けてはなりませんよ!」
 ベリーが困った顔をして言う。

「すまん、あ、なんだ出来てるじゃないか。」
 テオドールはそれでも部屋に入ってくる。

「テオ様!似合いますか?」
 リリィベルは笑顔でくるりと回って見せた。

 城下に居るような身なりなのに、美しさが隠しきれない。
 テオドールは満足気に笑った。

「リリィ、お前は何を着ても綺麗だな。」

 その言葉にリリィベルは頬を染めて笑った。

「テオ様!」

 リリィベルがテオドールに抱き着いた。

「うぉ!ははっ・・・なんだ?不安そうにしてた割には嬉しそうだな?」

 

「ふふっ・・・テオ様の誕生祭もそうでしたが、王都は行きたかったのです!
 テオ様と行けて嬉しいっ・・・・。」
 とびきりの笑顔でそういうリリィベルに、テオドールは愛しさが溢れてくる。

「よしっ・・・じゃぁ行くぞっ。あ、ベリー?陛下に俺がリリィと外出したと言っておいてくれ。」
「えっ?陛下は知らないのですか?」
「ははっ、思いついたから、言ってない!!頼んだぞ!」


 そして、2人は手を繋いで部屋を出て行った。


 ややこっそりと人気のない廊下を選び歩く。

「ふふっ・・・なんだか、テオ様が初めて我が家に来た日を思い出します。」

「あー・・・お前を攫った時だな。」

「あの時も、テオ様が急にいらして連れ出してくれました。

 今日は・・・どこへ攫ってくれるのですか?」

 テオドールの手を握ったリリィベルに、テオドールは柔らかく笑みを浮かべる。

「もちろん、2人の世界だ。もう日が暮れても家には帰してやらねぇぞ?」
「ふふっ・・・私の家は、もうここだと思っています。図々しいですか?」


「まさか・・。お前の帰る巣になって、俺は両手を広げて待つだけだ。

 鎖で繋いでいるのにな。それに、時々自ら捕まえに行くんだ。どうだ?重いか?」

 その言葉にリリィベルは幸せそうに笑って、テオドールの腕に自身の腕を絡めた。


「・・・いいえ・・・・私は何度も、あなたの腕の中に帰ります。」
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