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1.ゴリマッチョオネエな魔法使いの素敵なお仕事

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「仮にも兵隊さんだしぃ、いざってときにか弱いアタシじゃ負けちゃうからぁ。――あんたには、しばらくお人形さんになってもらうわ。アタシの命令に絶対服従するように、薬と快楽によって洗脳してあげる。心配しないで。体に傷をつけたり、命を取ったりはしないから」

 微笑むルンルンは、そうしていると噂どおりの大魔法使いのようである。尊大で邪悪だ。

「あぐ……っ!」

 花壇から次々伸びてくる植物が、スチューを陵辱する。
 小さなつぼみが数多ついた枝はくにゃりと曲がり、スチューの豊満な乳房に絡みついた。つぼみのひとつひとつがスチューの柔らかな胸を弱く噛み、特に頂点の乳首からは離れず、ねちねち刺激し続ける。
 股間に渡った茎は一文字に伸び、陰核から菊座までを同時に擦り上げた。その前後の動きが、つぼみの蜜とそしてスチューの垂れ流す愛液によって、徐々に滑らかになっていく。
 気色が悪いし、そもそもこんな暴挙、許してしまってはいけないのに――。しかしつぼみが吐き出したあの液体は、人の理性や倫理観を溶かしてしまうのだろうか。蜜まみれのぬるぬるした植物に肌を這われ、甘く食まれる感触はひどく気持ち良く、スチューは徐々に快感に酔いつつあった。

「あっ、あ……っ! や……っ! やめろ……っ!」
「うふっ、定番だけど、やっぱり触手攻めはエロいわね~。服だけ溶かす便利なお薬と一緒に商品化して、金持ちの変態に売りつけてみようかしら」

 なんとか抗おうとするスチューの体からは、力が抜けていく。芋虫のように地面に転がり、悶える彼女の体を、花々は啄むように貪った。

「あっ、ああ……! やあ……っ! 吸うなぁ……っ!」
「がさつなオトコオンナだと思ってたけど、やっぱり女は女ね。なかなか色っぽいじゃない……」

 スチューのいたぶられる様を鑑賞中のルンルンは、どこか恍惚としている。

「け、研究って……! まさか、婦女子にけしからんことをする、こんな外道なものを作っていたのか!? け、軽蔑するぞ! ルンルン!」
「ちっげーわ! これはあくまでも副産物よ! アタシはね、美容液を開発してんの! ボタニカルな、安全でお安くて、富める者も貧しき者も、美を求める全ての人たちに喜んでもらえるものをね!」

 この魔法使いの思想は、崇高なものかもしれないが……。そのためにわけの分からぬ植物に犯されているスチューにとっては、たまったものではない。

「さあ、トドメよ!」

 ルンルンが命じるままに、植物はスチューの足首に巻きつくと、それぞれ左右に引っ張った。地面に座り込み、足をM字に開かれたスチューは、性器が丸見えの屈辱的な格好を取らされた。

「やっ、やあ……っ! やめろ! やめろおっ!」

 上半身と足を縛られた不自由な姿で、スチューは身を捩った。その抵抗をあざ笑うように、花壇の植物は伸び、つぼみがスチューの陰核にぱくりとかじりついた。更に別のつぼみが、膣口へ忍び込む。快感に喘ぎながらもぴたりと閉じ、しかしわずかに体液に濡れたスチューの性器は、泣いているかのようだった。

「まったく、この国の奴ら、なに考えてるのかしら。可愛く生きる、そして愛されるためだけに生まれてきた女の子を、軍隊なんて汗臭く危険な仕事に就けるなんて。最低だわ!」

 魔法使いが勝手に憤慨しているが、しかしそれは事実と異なるのだ。反論したいが、今のスチューにそんな余裕はない。
 つぼみはクリトリスに吸いつきながら、ぶるぶると緩く振動した。

「やっ、やだ! 動くなぁ……っ! 入ってくるな! 気持ち悪い! やあああっ!」

 濡れたひだをかき分け、スチューの奥へ奥へと進んだもう一つのつぼみが、遂に開花する。

「あっ、やだっ、やだああああ!」

 つぼみは花開くと同時に、大量の蜜液を吐き出した。最も深くにある壁に蜜を吹きつけられた瞬間、スチューの頭の中は真っ白になった。身動きできないはずなのに、飛ぶような感覚にとらわれる。

「あっ、ああああああっ!」

 全身を震わせながら法悦の声を上げたのち、スチューはぱたりと横向けに倒れた。スチューが動かなくなったのを見届けると、彼女に散々群がっていた植物たちはスルスルと退散するように引き、元どおり花壇に収まった。

「いいイキっぷりだったわ。気持ち良かったでしょ? いい子にしてたら、またあげるわね」
「……………………」

 伏したままのスチューは、瞳が虚ろだった。一言も発することができないようだ。

「――堕ちたわね。聞こえてないかもしれないけど、恥じなくていいのよ。アタシの術にかからなかった人間は、これまで一人もいなかったんだから」

 ルンルンは満足げに微笑んだ。

「さて、まずはお風呂ね。アタシのお気に入りの、バスソルトを使わせてあげる。あとは……。そうね、せっかくだから着せ替えを楽しもうかしら。そんな野暮ったい軍服なんかより、あんたにはもっと似合う服がいっぱいあるわよ! メイクもね! 存分に、女の子を楽しんでもらうんだから!」

 新しいおもちゃを手に入れた子供のように、ルンルンはご機嫌だった。スチューが術に堕ちたことを確信したのか、彼女に背中を向ける。――それが、この魔法使いに初めて生じた、油断だった。
 スチューの体が動く。カラスの羽よりも黒い彼女の瞳には、鋭さが戻っていた。溶かされず残っていたブーツの、内に仕込んでおいた短刀を握り、大地を蹴る。跳ねるように一歩、二歩――。

「……!」

 異変に気づいたルンルンが、振り返る。しかしもう遅い。スチューは魔法使いの太い喉へ、刃をつきつけた。


「――どうして? 完璧な術だったはずよ」

 ルンルンの顔に浮かんだ色は怯えではなく、驚きのそれだった。

「ジブンは、魔法なんて高度な技には疎いから、詳しいことは分からない。が、ジブンの精神力が、あなたの魔力を上回ったことは確かなようだ」
「確かに、アタシの負けのようね……。そうよね、思えばあんた、侵入者を排除するための『虫除けのまじない』を、無傷で突破したんだっけね。ただの小娘じゃない。神経魔術への耐性があるんだわ」

 結果に納得したのか、己の敗北を認めたルンルンは、歯向かう素振りを見せなかった。

「それから――決めつけないでくれ! ジブンは、無理矢理、兵士にされたわけではない!」

 落ち着いていたスチューは一転、声を荒げた。

「ジブンは心から望んで、王国軍に入れてもらったんだ! 得意なことを活かして、国のために尽くしたい。みんなを守りたい。その想いに、男女の区別なんてない! ――あなたのように己を貫いている人こそ、分かってくれるはずじゃないのか!?」
「でも、だってあんた、男装までして……。無理してるんじゃないの?」

 ちらっとルンルンは、未だ剥き出しのスチューの胸に目をやった。

「べ、別に男のふりをしているわけでは……! ジブンは昔から、あまり女らしくなかったし……。胸のアレは、近所の店にサイズの合う下着がなくて、とりあえず隠しとこうと……」
「ハァ!? 紹介するわよ! バカでかいブラ扱ってる店! デザインもオシャレだし、通販もあるし!」
「うう、ありがとう……。助かる……」

 誤解はすっかり解けたようだ。ルンルンは憑き物が落ちたように、爽やかに笑った。

「そうね……。男とか女とか関係なく、好きなように好きなだけ……。アタシだって時に戦い、そうやって生きてきたのに……。どうして忘れちゃったのかしら。――ごめんなさい」

 魔法使いの謝罪を聞いて、スチューはふっと息を吐いた。が、突きつけた刃は、ルンルンの喉元に留めたままだ。

「我が身を汚した罪、あなたの命によって償ってもらう。だがジブンと一緒に王宮へ行ってくれるならば、今回のことは忘れよう」
「分かったわ」

 随分、素直に従うものだ。
 なにか企んでいるのか? 疑念を抱いたスチューは、念を押した。

「あなたの、もっとも尊いと思うものに、誓えるか?」
「もちろん。美と、そして愛に、誓うわ」

 ルンルンの宣誓に嘘はないようだ。スチューはようやく短刀を下ろすと、体を腕で覆った。今更だが、あちこち裸で、恥ずかしい。

「と、とりあえず、服を貸してくれない――」

 またもや言い終わる前に、今度は真っ正面から抱き締められた。そして、口を塞がれる。なにやら乱暴されているのかと思ったが、これはキスだ。
 嵐のように、激しい――。
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