481 / 516
【232.5話】 リリアは勇者の夢をみる
しおりを挟む
ミミック捕獲作戦発動から四日目の夜
リリア達はパウロ・コートの街から北西の位置で野宿をしている。
リリアはトラナックバースでミミックを二匹ほど捕獲に成功。
リリアが落っこちた大部屋の隅にいたミミック二匹を捕まえた。
捕獲するのは難しいが、幸いミミックは激しく動き回るような魔物ではない、多少の困難はあったものの、ガスコインと共同で取り押さえた。
迂闊に攻撃しなければやり過ごせる魔物でもある、ただし危険なのは動き出したら時々精神系の呪文を発動することだ。
滅多に先制攻撃をしかけてこない魔物だが、一度攻撃モードに入ると舌、あるいは変化させた触手のようなもので絡めとり、噛みつくといか、食らいつくというか、とにかく餌食にされる。相手が強いとみると恐怖の呪歌で逃走させる。
しかし一番気をつけねばならないのは幻影の呪文、誘いの呪歌等、精神的に無抵抗にしてしまい、いつの間にか食べられている事だ。
冒険者が元気で、ミミックと知りながら倒す時はあまり問題はないが、大きな怪我していたり、洞窟や回廊内で不安や恐怖でストレスを感じている時は暗示にかかりやすくなっているときがある。
呪文には要注意の相手。
「お!ミミックがいた!痛い思いをした甲斐があったね。とりあえず念のため精神強化のポーションを飲んでいくわよ」リリアが自分とガスコインの分のポーションを取り出す。
で、
「痛い!いたたたた! 噛みつかれた!」
「面倒だ!ぶち殺そう」
「あぁ!せっかく見つけたらから倒しちゃだめぇ!いたあぁぁいぃぃ!」
こんな感じで下手に接近して生け捕ろうとするリリアと苛立つガスコインでなんとか捕まえて来た。
ロープでグルグル巻きに縛り、サンキャット達も呼んできて地上まで引き上げ作業。
「魔物を引っ張り上げる? チョーうけるんですけどぉ、絶対やらないんですけどぉ」
アケミは全然手伝う気無し。
リリアが叱ろうとしたらコロットが「俺の連れに文句が」とか言い出すので往復ビンタを3発程かまし「ならあんたが二人分働きなさいよ」と強制労働にかり出した。
まぁ、とにかく初日はミミック二匹を捕獲。
その後、ミミックはトラナックバースでは発見できず、頂上の社を見学して撤収。
二日目から今日まで場所を変えながらミミック探しの旅をしてきた。
四日目の今日、ようやく廃村の家屋にいるミミックをゲット!
ちょっと小さめだが三匹揃えられた。とりあえず目標達成。
今日は遅くなったのでキャンプで一晩過ごすことを決定。
「今夜はリリアちゃんのお手製鶏煮込みだよ!この前行ったお店で美味しいの食べたんだよね、ちゃんと観察してきたから真似て作ってみるよ、ガスとサンキャット達はテントとキャンプファイアーよろしくね」リリアはやり遂げた感をだして張り切っている。
「観察してきた?なんだか心配だ」
「三匹捕まえたけど、かなり小物だぞ、大丈夫か?」
ちょっと心配の声も上がっているがとにかく楽しい食事時間となる。
火を囲んで皆で食事とお酒、理想は宿屋での休息だがこれはこれでそれなりに楽しい。
「煮込み悪くないけど… 味は全然似なかったねぇ…結構観察して盗んできたつもりだったけどね」リリアは独り言を言っている。
「味は見て盗めないだろ」ダカットは苦笑い。
そのうちリリアは「ちょっと水汲みしてくるね」と席を立った。
「♬~」
お酒も入りほろ酔い気分のリリア、鼻歌交じりに水筒を取りに馬車に戻った。
背後から皆の楽し気な話し声が聞こえる。
リリアは檻にかけてある幌を少し持ち上げて中のミミックの様子を見てみた。
暗い中でミミックはロープに縛り上げられてジッとしている。
「… 本当に動きがないなぁ… まぁ、腹ペコで死ぬことはないだろうけど…」リリアは呟く。
リリアはちょこちょこ様子を伺い覗くが、他の活発な魔物と違って外部からの刺激がないとほとんど動きがない、少し心配になる時がある。餓死でもしていたらまた獲りに行かなければならない。
“コン!”
リリアは石をミミックに投げてみた。
「………」
動きがない、ただのミミックのようだ
“ガンッ!”
ちょっと大きめ石を思いっきり投げてみた。
動きがない、ただのミミックのようだ
「ちょっと生存確認だけしておくか…」
リリアは呟くと荷台上がって檻のカギを外した…
「リリアちゃん、遅いな」ヒマネコは会話が途切れたのをきっかけに何気なく口にした。
「水汲みって言ってましたけど、川に落ちたとか?」サンキャットが応じる。
「まさか、落ちて流されるような川じゃねぇよ。ついでに便所だろ、変にウロチョロ探しに行かない方が良い時もあるぞ」ガス。
「… あ… リリアちゃんの声だね、何か歌ってる?」
「川に落ちたのではなさそうだ、よかった」
「随分と何か騒いでいるな」
ちょっと一同静かに聞き耳をたてる。リリアが何かおしゃべりしているようだ。歌声の様な旋律も聞こえる
「………リリアと…呪歌? しまった!!これはいかん!」
ガスコインが叫んで立ち上がる。
その場の全員それに続いて立ち上がった、皆声する方へ…
「わぁお!すっごい!金塊よ!これ全部でいくらあるかな!コトロ、ネーコ、ラビ!皆これでお城買い取ろうよ!皆で豪華な寝室、一人一部屋、メイド付きよ!毎日庭を眺めて三食昼寝付き!こっちは勇者のブラックアーマー!リリアのネーム入りのドラゴンバスター! すっごいレアアイテム!お宝!お宝よ!」
一同が馬車に戻るとリリアは檻のかなでミミック達にガジガジとかじられ血を流しながら大喜びしていた。
「バカが!おまえ何やってんだ!」
ガスコインが血相を変えて檻に飛び込んだ
リリア達はパウロ・コートの街から北西の位置で野宿をしている。
リリアはトラナックバースでミミックを二匹ほど捕獲に成功。
リリアが落っこちた大部屋の隅にいたミミック二匹を捕まえた。
捕獲するのは難しいが、幸いミミックは激しく動き回るような魔物ではない、多少の困難はあったものの、ガスコインと共同で取り押さえた。
迂闊に攻撃しなければやり過ごせる魔物でもある、ただし危険なのは動き出したら時々精神系の呪文を発動することだ。
滅多に先制攻撃をしかけてこない魔物だが、一度攻撃モードに入ると舌、あるいは変化させた触手のようなもので絡めとり、噛みつくといか、食らいつくというか、とにかく餌食にされる。相手が強いとみると恐怖の呪歌で逃走させる。
しかし一番気をつけねばならないのは幻影の呪文、誘いの呪歌等、精神的に無抵抗にしてしまい、いつの間にか食べられている事だ。
冒険者が元気で、ミミックと知りながら倒す時はあまり問題はないが、大きな怪我していたり、洞窟や回廊内で不安や恐怖でストレスを感じている時は暗示にかかりやすくなっているときがある。
呪文には要注意の相手。
「お!ミミックがいた!痛い思いをした甲斐があったね。とりあえず念のため精神強化のポーションを飲んでいくわよ」リリアが自分とガスコインの分のポーションを取り出す。
で、
「痛い!いたたたた! 噛みつかれた!」
「面倒だ!ぶち殺そう」
「あぁ!せっかく見つけたらから倒しちゃだめぇ!いたあぁぁいぃぃ!」
こんな感じで下手に接近して生け捕ろうとするリリアと苛立つガスコインでなんとか捕まえて来た。
ロープでグルグル巻きに縛り、サンキャット達も呼んできて地上まで引き上げ作業。
「魔物を引っ張り上げる? チョーうけるんですけどぉ、絶対やらないんですけどぉ」
アケミは全然手伝う気無し。
リリアが叱ろうとしたらコロットが「俺の連れに文句が」とか言い出すので往復ビンタを3発程かまし「ならあんたが二人分働きなさいよ」と強制労働にかり出した。
まぁ、とにかく初日はミミック二匹を捕獲。
その後、ミミックはトラナックバースでは発見できず、頂上の社を見学して撤収。
二日目から今日まで場所を変えながらミミック探しの旅をしてきた。
四日目の今日、ようやく廃村の家屋にいるミミックをゲット!
ちょっと小さめだが三匹揃えられた。とりあえず目標達成。
今日は遅くなったのでキャンプで一晩過ごすことを決定。
「今夜はリリアちゃんのお手製鶏煮込みだよ!この前行ったお店で美味しいの食べたんだよね、ちゃんと観察してきたから真似て作ってみるよ、ガスとサンキャット達はテントとキャンプファイアーよろしくね」リリアはやり遂げた感をだして張り切っている。
「観察してきた?なんだか心配だ」
「三匹捕まえたけど、かなり小物だぞ、大丈夫か?」
ちょっと心配の声も上がっているがとにかく楽しい食事時間となる。
火を囲んで皆で食事とお酒、理想は宿屋での休息だがこれはこれでそれなりに楽しい。
「煮込み悪くないけど… 味は全然似なかったねぇ…結構観察して盗んできたつもりだったけどね」リリアは独り言を言っている。
「味は見て盗めないだろ」ダカットは苦笑い。
そのうちリリアは「ちょっと水汲みしてくるね」と席を立った。
「♬~」
お酒も入りほろ酔い気分のリリア、鼻歌交じりに水筒を取りに馬車に戻った。
背後から皆の楽し気な話し声が聞こえる。
リリアは檻にかけてある幌を少し持ち上げて中のミミックの様子を見てみた。
暗い中でミミックはロープに縛り上げられてジッとしている。
「… 本当に動きがないなぁ… まぁ、腹ペコで死ぬことはないだろうけど…」リリアは呟く。
リリアはちょこちょこ様子を伺い覗くが、他の活発な魔物と違って外部からの刺激がないとほとんど動きがない、少し心配になる時がある。餓死でもしていたらまた獲りに行かなければならない。
“コン!”
リリアは石をミミックに投げてみた。
「………」
動きがない、ただのミミックのようだ
“ガンッ!”
ちょっと大きめ石を思いっきり投げてみた。
動きがない、ただのミミックのようだ
「ちょっと生存確認だけしておくか…」
リリアは呟くと荷台上がって檻のカギを外した…
「リリアちゃん、遅いな」ヒマネコは会話が途切れたのをきっかけに何気なく口にした。
「水汲みって言ってましたけど、川に落ちたとか?」サンキャットが応じる。
「まさか、落ちて流されるような川じゃねぇよ。ついでに便所だろ、変にウロチョロ探しに行かない方が良い時もあるぞ」ガス。
「… あ… リリアちゃんの声だね、何か歌ってる?」
「川に落ちたのではなさそうだ、よかった」
「随分と何か騒いでいるな」
ちょっと一同静かに聞き耳をたてる。リリアが何かおしゃべりしているようだ。歌声の様な旋律も聞こえる
「………リリアと…呪歌? しまった!!これはいかん!」
ガスコインが叫んで立ち上がる。
その場の全員それに続いて立ち上がった、皆声する方へ…
「わぁお!すっごい!金塊よ!これ全部でいくらあるかな!コトロ、ネーコ、ラビ!皆これでお城買い取ろうよ!皆で豪華な寝室、一人一部屋、メイド付きよ!毎日庭を眺めて三食昼寝付き!こっちは勇者のブラックアーマー!リリアのネーム入りのドラゴンバスター! すっごいレアアイテム!お宝!お宝よ!」
一同が馬車に戻るとリリアは檻のかなでミミック達にガジガジとかじられ血を流しながら大喜びしていた。
「バカが!おまえ何やってんだ!」
ガスコインが血相を変えて檻に飛び込んだ
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
職業・「観客」ゥ!?
花山オリヴィエ
ファンタジー
主人公「イツキ」はマンガやアニメ、小説などみることが大好き。ある日、舞台を見ている最中の事故で異世界へ。そこはファンタジーの世界で、与えられた職業は戦士でも魔法使いでもなく「観客」ゥ!? 実際に生きていくのは大変で…… でも気のいい仲間と共に生活すると、幻想の動物や魔物、剣と魔法の世界で、見るものは新しく、食べるものは美味極まりない! そして見ているだけですべてが完結って本当ですか!?
注意)本作では主人公のチートスキルによる無双は登場しません。
第1部完了。
物語はまだ続きます。
鋭意執筆中で御座います。
◆皆様からのご支援を頂き感謝しております。◆
いいね や エール機能は非常に有難く、モチベーションの向上につながります。
誤字脱字や指摘に関しては近況ボード等でご指摘いただけますと幸いです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる