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【228.5話】 ガーゴイルのガゴ ※少し前の話し※
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「これですね、確かにリリアの言う通りですね」
コトロ、ネーコ、ラビがリリアのクリエイトしたガーゴイルを見て感想を述べあう。
ここはバー・ルーダの風のカウンター。時間は午後のひと時。
リリア達四人で集まりおやつをしていたところだ。
リリアはシルキーから指輪を受け取った。シルキーの使い魔から時々手紙を受け取るが、魔力の無いリリアにはその使い魔に命令を与えられない。そこでシルキーがリリアに使い魔をクリエイト出来る指輪を送ってきたのだ。
いささかクラシックなデザインだがオシャレでリリアも気に入って肌身離さずつけている。
使い方、使い道はシンプル、リリアがクリエイトの呪文を唱えると掌より少し大きいサイズのガーゴイルがクリエイトされて、手紙等を預けて命令すればシルキーに届けてくれる。
手紙類、小さなアクセサリ等軽い物しか預けられず片道しか飛ばない。届け物をしたら消滅して再び指輪の魔力に戻る。指輪に八色結晶が埋め込まれていて、クリエイト出来る状態ならブルー、クリエイトして命令を遂行状態ならグリーン、遂行完了ならしばらくイエロー、何かで遂行がされない状態で消滅してしまったらレッドに光りリリアに知らせてくれるようだ。説明には書かれてあったがいままでレッドに光っているのは見たことない。
その話をリリアが皆にすると「見せてよ」という話になり、リリアはクリエイトしてみた。
リリアが呪文を唱えるとリリアの前の空間に小さな光の玉が輝き、すぐさま濃縮されるようにガーゴイルが出現した。
「おぉ!凄いニャン」「綺麗ピョン」
光りの玉を見てネーコとラビが声を上げる。
そして…
「確かに… リリアの言う通り…」
カウンターに降り立ったガーゴイルを見て一同が少し残念そうに言う。
「ね、言った通りでしょ?本当にガーゴイルって感じのガーゴイルでしょ?」リリアが言う。
「ゴツゴツとした岩肌、サルとリスとワニを合わせたような顔ですね」
「ネコの様な耳があるニャン。お世辞にも可愛いとは言えないニャン」
「機能重視ピョン、命令を実行する事が大事ピョン」
クリエイトされたガーゴイルはカウンターの上に立ち命令待ち状態。何とも言えない厳つい顔、リザードマンの様な石の体、コウモリの様な羽、悪魔の尻尾が生えている。何故か尻尾の先は少し割れてなくなっていてちょっと猫背の蟹股気味で待機中。
「言ったでしょ?不細工でしょ?これなら街の大聖堂の屋根にあるガーゴイルの方が男前でしょ?」リリアが言う。
「しかし、ガーゴイルとはもともとこんな物です。命令通り働いてくれたらそれでよいですよ」コトロが言う。
「そうだけど… まぁでもほら… 物語だとこんな場合は可愛い妖精さんとか、ちょっと生意気だけど魔力は凄い悪魔君とかヒヨコが丸っとした感じで何故かそれに羽が生えているドジっ子で愛嬌のある、何の動物かよくわからないけど絵になる使い魔が出てきて旅のお供に花を添えたり、普段は生意気で喧嘩ばっかりしているけどリリアのピンチにはどえらい力を発揮して助けてくれたりするような使い魔を想像するじゃないの、ねぇ」
「ねぇ…と言われましても…」
「リリたん、完全に物語の読みすぎニャン」
「ラビにはリリたんの気持ちわかるピョン、もっと可愛いの期待する気持ちあるピョン」
「… 俺と話してりゃいいじゃないか… 何か不満でもあるのかよ」
バーの隅でダカットが不満そうにしている。
「この手のアイテムは買うとなったら高いですし、無能無魔力のリリアだと動かない場合もあったりします。ちゃんと命令遂行してくれるのですから贅沢は言えませんよ」コトロがガーゴイルをなでながら言う。
「これって高いニャン?いくらくらいするニャン?… えぇ?そんなにするニャン?ネーコじゃ当分買えないニャン」
「だって!もっとネーコもラビもコトロにお給料上げてもらうべきね」リリアがうっふっふと笑う。
「失礼ですね。ウチは他所より良いですよ。三食付きで今は家賃も割安、ギルド費は免除しています。かなり良い条件です」コトロは心外。
「リリアだけ部屋代フルでギルド費用も払わされ夕食もたまに支払い請求されて不公平だよね」
「ウチはまだ借金あって苦しいのですよ。潰れたら元も子もないのです」
「リリたんは稼いでいるピョン、ネーコとラビは他に仕事ないピョン」
現状では致し方ない事だ。
「せめて、もうちょっと自由に命令できたらねぇ… ガゴももう少し活躍できるのにねぇ。え?あぁ、ガゴはガーゴイルだからガゴちゃん。名前をつけてるのよ」リリアが言う。
「使い魔を始めて所有する人は皆そう言うのですよ。人間と同様の知能になったり精神構造が複雑になると自立して行動できたり複雑な命令に対応できたりしますが、それだけアクシデントも増えますよ。単純な作業なら必要にして十分な機能だけのクリーチャーの方が確実に仕事します。妖精なんて所有したら… パートナーとなったら場合によってはリリア程度では小馬鹿にされて見下されどっちが使い魔かわからない状況になりますよ」コトロがずけずけ言う。
「失礼過ぎだよ、なんでイチイチバカにするのよ!」リリアが怒っている。
「リリアは完全物理なのでこれは強力なツールですよ。人知れず井戸に落ちていてもシルキーに向けて連絡を取れますね。手紙が無くても場所を知らせる取り決めを行っておけば緊急に連絡がとれます。これは冒険者にとって大変有利です。感情は持っていないですがガゴちゃんを大切にしてあげてください」コトロが言う。
「OKだよ。もうちょっとモフモフした丸っこい、完全ビジュアル重視でこれっていったい何だろってクリーチャーだったら良かったけどこれはこれで良いわね。まぁしゃべり相手はあの役に立たないホウキで十分だね」
リリアが話している間に時間切れとばかりにガゴは指輪に戻っていった。
「冒険者って皆口が悪いよな」
ダカットがバーの隅で呟いている。
コトロ、ネーコ、ラビがリリアのクリエイトしたガーゴイルを見て感想を述べあう。
ここはバー・ルーダの風のカウンター。時間は午後のひと時。
リリア達四人で集まりおやつをしていたところだ。
リリアはシルキーから指輪を受け取った。シルキーの使い魔から時々手紙を受け取るが、魔力の無いリリアにはその使い魔に命令を与えられない。そこでシルキーがリリアに使い魔をクリエイト出来る指輪を送ってきたのだ。
いささかクラシックなデザインだがオシャレでリリアも気に入って肌身離さずつけている。
使い方、使い道はシンプル、リリアがクリエイトの呪文を唱えると掌より少し大きいサイズのガーゴイルがクリエイトされて、手紙等を預けて命令すればシルキーに届けてくれる。
手紙類、小さなアクセサリ等軽い物しか預けられず片道しか飛ばない。届け物をしたら消滅して再び指輪の魔力に戻る。指輪に八色結晶が埋め込まれていて、クリエイト出来る状態ならブルー、クリエイトして命令を遂行状態ならグリーン、遂行完了ならしばらくイエロー、何かで遂行がされない状態で消滅してしまったらレッドに光りリリアに知らせてくれるようだ。説明には書かれてあったがいままでレッドに光っているのは見たことない。
その話をリリアが皆にすると「見せてよ」という話になり、リリアはクリエイトしてみた。
リリアが呪文を唱えるとリリアの前の空間に小さな光の玉が輝き、すぐさま濃縮されるようにガーゴイルが出現した。
「おぉ!凄いニャン」「綺麗ピョン」
光りの玉を見てネーコとラビが声を上げる。
そして…
「確かに… リリアの言う通り…」
カウンターに降り立ったガーゴイルを見て一同が少し残念そうに言う。
「ね、言った通りでしょ?本当にガーゴイルって感じのガーゴイルでしょ?」リリアが言う。
「ゴツゴツとした岩肌、サルとリスとワニを合わせたような顔ですね」
「ネコの様な耳があるニャン。お世辞にも可愛いとは言えないニャン」
「機能重視ピョン、命令を実行する事が大事ピョン」
クリエイトされたガーゴイルはカウンターの上に立ち命令待ち状態。何とも言えない厳つい顔、リザードマンの様な石の体、コウモリの様な羽、悪魔の尻尾が生えている。何故か尻尾の先は少し割れてなくなっていてちょっと猫背の蟹股気味で待機中。
「言ったでしょ?不細工でしょ?これなら街の大聖堂の屋根にあるガーゴイルの方が男前でしょ?」リリアが言う。
「しかし、ガーゴイルとはもともとこんな物です。命令通り働いてくれたらそれでよいですよ」コトロが言う。
「そうだけど… まぁでもほら… 物語だとこんな場合は可愛い妖精さんとか、ちょっと生意気だけど魔力は凄い悪魔君とかヒヨコが丸っとした感じで何故かそれに羽が生えているドジっ子で愛嬌のある、何の動物かよくわからないけど絵になる使い魔が出てきて旅のお供に花を添えたり、普段は生意気で喧嘩ばっかりしているけどリリアのピンチにはどえらい力を発揮して助けてくれたりするような使い魔を想像するじゃないの、ねぇ」
「ねぇ…と言われましても…」
「リリたん、完全に物語の読みすぎニャン」
「ラビにはリリたんの気持ちわかるピョン、もっと可愛いの期待する気持ちあるピョン」
「… 俺と話してりゃいいじゃないか… 何か不満でもあるのかよ」
バーの隅でダカットが不満そうにしている。
「この手のアイテムは買うとなったら高いですし、無能無魔力のリリアだと動かない場合もあったりします。ちゃんと命令遂行してくれるのですから贅沢は言えませんよ」コトロがガーゴイルをなでながら言う。
「これって高いニャン?いくらくらいするニャン?… えぇ?そんなにするニャン?ネーコじゃ当分買えないニャン」
「だって!もっとネーコもラビもコトロにお給料上げてもらうべきね」リリアがうっふっふと笑う。
「失礼ですね。ウチは他所より良いですよ。三食付きで今は家賃も割安、ギルド費は免除しています。かなり良い条件です」コトロは心外。
「リリアだけ部屋代フルでギルド費用も払わされ夕食もたまに支払い請求されて不公平だよね」
「ウチはまだ借金あって苦しいのですよ。潰れたら元も子もないのです」
「リリたんは稼いでいるピョン、ネーコとラビは他に仕事ないピョン」
現状では致し方ない事だ。
「せめて、もうちょっと自由に命令できたらねぇ… ガゴももう少し活躍できるのにねぇ。え?あぁ、ガゴはガーゴイルだからガゴちゃん。名前をつけてるのよ」リリアが言う。
「使い魔を始めて所有する人は皆そう言うのですよ。人間と同様の知能になったり精神構造が複雑になると自立して行動できたり複雑な命令に対応できたりしますが、それだけアクシデントも増えますよ。単純な作業なら必要にして十分な機能だけのクリーチャーの方が確実に仕事します。妖精なんて所有したら… パートナーとなったら場合によってはリリア程度では小馬鹿にされて見下されどっちが使い魔かわからない状況になりますよ」コトロがずけずけ言う。
「失礼過ぎだよ、なんでイチイチバカにするのよ!」リリアが怒っている。
「リリアは完全物理なのでこれは強力なツールですよ。人知れず井戸に落ちていてもシルキーに向けて連絡を取れますね。手紙が無くても場所を知らせる取り決めを行っておけば緊急に連絡がとれます。これは冒険者にとって大変有利です。感情は持っていないですがガゴちゃんを大切にしてあげてください」コトロが言う。
「OKだよ。もうちょっとモフモフした丸っこい、完全ビジュアル重視でこれっていったい何だろってクリーチャーだったら良かったけどこれはこれで良いわね。まぁしゃべり相手はあの役に立たないホウキで十分だね」
リリアが話している間に時間切れとばかりにガゴは指輪に戻っていった。
「冒険者って皆口が悪いよな」
ダカットがバーの隅で呟いている。
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