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【210話】 主人公補正 vs ステーキ野郎
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“今!”
リリアは矢を放った
一矢一閃
と、言いたいところだがやはりローゼンの弓の様にはいかないようだ。
目に狙いを付けていたが目は射抜けなかった。
目は射抜けなかったが、鼻っぱしらに矢は突き刺さった。
これはこれで痛そう…
「ぐぅぅぅぅ」
ミノタウロスは即座に矢を抜くと自己回復した。低く唸りながらリリアを睨みつけている。
冒険者と兵士も集まりつつある。
「リ、リリア… やっぱり無理なのよ… 私が浅はかだった… 私の力ならなんとか父を呼び出せて対面を果たせると… もう、十分… そのクサビで私の心臓を… 私が死ねばミノタウロスも消滅する…」
シルキーもかなり消耗している。
「ダメだよ!リリアには無理だよ!ってかあいつはあたしが何とかするから今は全力で戦って!」リリアは励ます。
が、実際に半端ない強さで確実に犠牲が増えている。
「うぴょ!ひえ!」
リリアの足元に一瞬魔法陣が輝き火柱が上がる。ファイアータワーの連続攻撃だ。リリアも必死に逃げ回る。
“時間が無い… シルキーもだいぶ参っている。例えミノタウロスを倒しても召喚主として罪に問われれば牢屋行き、死刑の可能性だってある… これ以上は…”
リリアは銀のクサビを取り出した。
「シルキー、これをやつの心臓に突き刺せば終わるんでしょ?やるわよ!リリアが何とかしてみせる!」リリアがシルキーを振り返る。
革から取り出した銀のクサビは青白いオーラを纏い始めた。魔力が発動されている。
オーラがクサビ周辺をらせん状に流れ自らもリリアの手の中で蒼く輝く。
“すごい… リリアちゃんってば本当に勇者みたい”
リリアは手の中で輝くクサビを見つめる。何だか主人公補正がかかったようだ。何だって出来る気がしてくる。単純勇者リリア。
「皆!聞いて!リリアがあいつの心臓をつらぬいてやる。だから皆であいつを総攻撃して!」リリアが周囲に呼びかける。
「リリアか?この騒ぎは一体なんだ?」「街中に何故ミノタウロスがいるんだ?」「どうなっているんだ!」周囲からは疑問の声が上がる。
「説明は後!いや、説明はしないかも!謎も人生のスパイスよ!それよりあたしが飛び込んだらとにかく攻撃!神聖魔法の経験者は優遇よ!」
リリアは弓を収納してクサビをしっかりと握りしめた。
指示を出す間にもミノタウロスからの攻撃で何度か火傷を負い、何度か転倒する。
その度にシルキーとどこから治癒魔法がかかってくる。
「おまえどうする気だ!」「攻撃ってどうするんだよ!」「リリア、危ないわよ」
冒険者達も街中の猛牛相手に困惑している。
「痛ぁい… 髪の毛が傷む… とにかく説明は後、皆攻撃、考ええるより感じろ、よ!このままじゃこっちがBBQになっちゃう、とにかくやるから!」
リリアは素早く体制を立て直すとクサビを手にミノタウロスに走りこむ。
「無茶だ!お、おい、皆!とにかく攻撃だ!」
後ろで誰かの声がする。
リリアが見るとミノタウロスが夜の路上に仁王立ちに立ちはだかるのが見えた。唸りを上げ、フォークを振るいまるでリリアとの最終決戦を覚悟したようだ。
“こっちは弓と素早さがご自慢よ!… あ、後、意外にルーダリア王国の公認勇者の中では珍しく女性勇者でルックス良いビジュアル系で巨乳スタイル抜群ちゃんでもあるのよね”
リリアは走り込む。
ミノタウロスからのファイアーボールをかわし、ショックウェーブを避け、ファイアーウォールは避けようがないので突っ切った。
“以外に平気”と思ってみるとリリアの周りには緑に輝くプロテクションがかかっている。
“この感じはシルキーね”
ミノタウロスの周辺も閃光が走り、次々と魔法攻撃が刺さっているようだ。周囲の冒険者達からの攻撃。
“皆ありがとう”
牛にダメージがどれほど入っているかわからないがリリアへの正確な攻撃は阻めている。リリアはとにかく突入する。
“よし、このままあいつの心臓を!…”
牛まで残り数歩の距離だ、周囲の魔法攻撃を振り払う牛が目の前にいる。
“でっかい!!”
リリアは一瞬改めて思った。懐近くまで飛び込んでみると見上げるような大きさだ。リリアでも精一杯ジャンプして背伸びをしながらクサビを振り下ろさないと心臓は貫けないだろう。チャンスはオンリーワン。
“リリアは父さんの子よ、勇者の血が流れているの。シルキーを救うためにも街の人のためにも牛は肉片になるべき、ステーキにおなり。父さん武器を手にする勇気を、母さん武器を手にする娘にお許しを…”
リリアはチラっとクサビに目をやった。
青白いオーラが闇に筋を引く…
“勇者に相応しい魔法器の光、リリアなら出来る!シルキーのためにも”
リリアは主人公補正を感じ取っている。
見上げるミノタウロスは周囲から攻撃を受けていたがリリアに向かってフォークを振り上げた。
真っ赤に光る魔物の目…
乱れる獣の体毛…
ミノタウロスの体制が一瞬乱れた…
“もらった!”リリアは確信した
「このステーキ野郎ーーー、とっととあの世に引っ込めーーー!」
リリアはクサビを両手に振りかざし飛び上がった
「もびょぅ!!」
リリアは矢を放った
一矢一閃
と、言いたいところだがやはりローゼンの弓の様にはいかないようだ。
目に狙いを付けていたが目は射抜けなかった。
目は射抜けなかったが、鼻っぱしらに矢は突き刺さった。
これはこれで痛そう…
「ぐぅぅぅぅ」
ミノタウロスは即座に矢を抜くと自己回復した。低く唸りながらリリアを睨みつけている。
冒険者と兵士も集まりつつある。
「リ、リリア… やっぱり無理なのよ… 私が浅はかだった… 私の力ならなんとか父を呼び出せて対面を果たせると… もう、十分… そのクサビで私の心臓を… 私が死ねばミノタウロスも消滅する…」
シルキーもかなり消耗している。
「ダメだよ!リリアには無理だよ!ってかあいつはあたしが何とかするから今は全力で戦って!」リリアは励ます。
が、実際に半端ない強さで確実に犠牲が増えている。
「うぴょ!ひえ!」
リリアの足元に一瞬魔法陣が輝き火柱が上がる。ファイアータワーの連続攻撃だ。リリアも必死に逃げ回る。
“時間が無い… シルキーもだいぶ参っている。例えミノタウロスを倒しても召喚主として罪に問われれば牢屋行き、死刑の可能性だってある… これ以上は…”
リリアは銀のクサビを取り出した。
「シルキー、これをやつの心臓に突き刺せば終わるんでしょ?やるわよ!リリアが何とかしてみせる!」リリアがシルキーを振り返る。
革から取り出した銀のクサビは青白いオーラを纏い始めた。魔力が発動されている。
オーラがクサビ周辺をらせん状に流れ自らもリリアの手の中で蒼く輝く。
“すごい… リリアちゃんってば本当に勇者みたい”
リリアは手の中で輝くクサビを見つめる。何だか主人公補正がかかったようだ。何だって出来る気がしてくる。単純勇者リリア。
「皆!聞いて!リリアがあいつの心臓をつらぬいてやる。だから皆であいつを総攻撃して!」リリアが周囲に呼びかける。
「リリアか?この騒ぎは一体なんだ?」「街中に何故ミノタウロスがいるんだ?」「どうなっているんだ!」周囲からは疑問の声が上がる。
「説明は後!いや、説明はしないかも!謎も人生のスパイスよ!それよりあたしが飛び込んだらとにかく攻撃!神聖魔法の経験者は優遇よ!」
リリアは弓を収納してクサビをしっかりと握りしめた。
指示を出す間にもミノタウロスからの攻撃で何度か火傷を負い、何度か転倒する。
その度にシルキーとどこから治癒魔法がかかってくる。
「おまえどうする気だ!」「攻撃ってどうするんだよ!」「リリア、危ないわよ」
冒険者達も街中の猛牛相手に困惑している。
「痛ぁい… 髪の毛が傷む… とにかく説明は後、皆攻撃、考ええるより感じろ、よ!このままじゃこっちがBBQになっちゃう、とにかくやるから!」
リリアは素早く体制を立て直すとクサビを手にミノタウロスに走りこむ。
「無茶だ!お、おい、皆!とにかく攻撃だ!」
後ろで誰かの声がする。
リリアが見るとミノタウロスが夜の路上に仁王立ちに立ちはだかるのが見えた。唸りを上げ、フォークを振るいまるでリリアとの最終決戦を覚悟したようだ。
“こっちは弓と素早さがご自慢よ!… あ、後、意外にルーダリア王国の公認勇者の中では珍しく女性勇者でルックス良いビジュアル系で巨乳スタイル抜群ちゃんでもあるのよね”
リリアは走り込む。
ミノタウロスからのファイアーボールをかわし、ショックウェーブを避け、ファイアーウォールは避けようがないので突っ切った。
“以外に平気”と思ってみるとリリアの周りには緑に輝くプロテクションがかかっている。
“この感じはシルキーね”
ミノタウロスの周辺も閃光が走り、次々と魔法攻撃が刺さっているようだ。周囲の冒険者達からの攻撃。
“皆ありがとう”
牛にダメージがどれほど入っているかわからないがリリアへの正確な攻撃は阻めている。リリアはとにかく突入する。
“よし、このままあいつの心臓を!…”
牛まで残り数歩の距離だ、周囲の魔法攻撃を振り払う牛が目の前にいる。
“でっかい!!”
リリアは一瞬改めて思った。懐近くまで飛び込んでみると見上げるような大きさだ。リリアでも精一杯ジャンプして背伸びをしながらクサビを振り下ろさないと心臓は貫けないだろう。チャンスはオンリーワン。
“リリアは父さんの子よ、勇者の血が流れているの。シルキーを救うためにも街の人のためにも牛は肉片になるべき、ステーキにおなり。父さん武器を手にする勇気を、母さん武器を手にする娘にお許しを…”
リリアはチラっとクサビに目をやった。
青白いオーラが闇に筋を引く…
“勇者に相応しい魔法器の光、リリアなら出来る!シルキーのためにも”
リリアは主人公補正を感じ取っている。
見上げるミノタウロスは周囲から攻撃を受けていたがリリアに向かってフォークを振り上げた。
真っ赤に光る魔物の目…
乱れる獣の体毛…
ミノタウロスの体制が一瞬乱れた…
“もらった!”リリアは確信した
「このステーキ野郎ーーー、とっととあの世に引っ込めーーー!」
リリアはクサビを両手に振りかざし飛び上がった
「もびょぅ!!」
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