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【103.5話】 突入のリリア ※ちょっと前の話し※
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リリアは立て籠もり犯相手に突入を試みようとしていた。
リリアモデルの鎧を着て散歩中だったリリア。
商店兼家の立ち並ぶ街の一画にちょっとした人だかりが出来ている。
「コーヒーの試飲かチーズの試食かな?」リリアは人だかりに突入した。
ところが、人々の話しだと試食どころか金融商のドローガの事務所に、立て籠もり犯が親子を人質に家に立て籠もっているというのだ。
「また、ドローガさんところが… リリア何とかしてやってくれよ」
野次馬の中からリリアを見つけた商人のブラキャットが頼んできた。
「また?… 前にもこんな事件あったの?初耳ねぇ… 理不尽な事でもしたんじゃないの?」リリアが答える。
「のん気な!… 結構大変なんだよ、何とかしてやってくれよ」ブラキャットはオロオロしている。
「何とかったって… 個人宅なら冒険者じゃなくて衛兵の仕事になるじゃない。あたしが入ったら住居侵入になっちゃうはずよ」
「衛兵?… いや、リリアは勇者だろ。入れるよ。物語の勇者もよく勝手に民家に入って色んな物持ち去っても咎められないだろう」
「…… 確かに… いや、あれは物語でしょ?… いいのかなぁ? 国民の命と財産を守る仕事だからいいのか… 立て籠もりは一人でしょ?要求は?」リリアはその気になってきた。ヘボ勇者の血が騒ぐ。
「一人だよ、要求なんか知らないよ。とにかく助けてやってくれ」ブラキャットが言う。
「なるほど… わかったわ、リリアはこう見えてもこの前軍の学校で突撃術をマスターしてきたのよ、やってみるわ!」
ローゼンさんに頼まれて形だけ卒業した下士官学校だ。形だけということで座学は居眠り、夜は寮でお菓子と大貧民三昧だったが体動かすの大好きリリアは実技を真面目に受けたのよ。スナイピング学で潜入と部隊学で突入制圧を学んだわ、今こそ税金を払った国民にお返しする時よ!
まぁ、制圧はオーク達に役立たずと笑われていたけど、それは内緒。一般人よりは出来るはず。
「皆、下がって!危ないから下がって!」
群衆に呼びかけて野次馬を下がらせるリリア。
“街中で群衆整理、ちょっとかっこいいかも!勇者っぽいかも!”
「なんだおめぇ!」「女!何様だ!」「偉そうに、引っ込んでろ!」野次が飛んで来る。
“何だなんだ、おまえらのために言ってやってんだ!”
「勇者リリアよ!全員下がりなさい!あたし、ルーダリア国王から公認された勇者だけど国から給料出てないのよ。だけど税金を払っているあなた達の安全を確保する義務があるの。無料奉仕で危険な立て籠もり犯と対峙するの!さぁ、皆下がって下がって!」
「なんだおめぇ!」「女!何様だ!」「偉そうに、引っ込んでろ!」野次は変わらない…
犯人制圧はどうか知らんが、野次馬は制圧失敗…
“無料奉仕させられるこっちの気も知らないで、勝手にしやがれ!ケガして泣いても知らないぞ!”
騒ぎを聞きつけて数名の巡回兵がやってきた。
「話は聞きました、ここの主人と知り合いですか?」巡回兵がリリアに聞く。
「知り合いっていうか… 顔見知りよ… あたしに任せて、何とかするから」リリアは目に力を込めていう。野次馬共めリリアをバカにしやがって、ここで巡回兵に追い払われたら面目丸潰れだ。絶対自分でやってやるぞ!
「失礼ですがあなたは?」質問されるリリア。誰もリリアが何者か知らない。
「あたし、勇者リリア… 失礼ねぇ、自称じゃないわよ。国王から公認された国の勇者よ! 冒険者のギルド証?… ほら、見たら?でもそこには国の勇者かどうかはかかれてないわよ… もう!!冒険者番号控えて後で調べたらいいでしょ!! あたしもう突入するから!… 確認がとれるまではダメ?… 何よ、国は勇者を無給で働かせて邪魔ばっかりじゃない!」
建物内でも事件だろうが、建物外でも事件になりかけている…
「まぁ、知り合いなら問題無いんじゃないか?」巡回兵の一人が言い出した。
「… それもそうか… なら君に任せるよ」
「勇者リリアがやるわよ、勇者だもの、個人宅に入っても大丈夫な勇者だもの。群衆整理をお願いね」リリアは強気。絶対に街中で功績をあげてみせるぞ!
兵士達が整理しだすと群衆は下がり出した。リリアの時と全然態度が違う…
野次馬の中に突入して一人ひとり制圧してやりたいリリアだが我慢…
今に見てろよ!こっちは軍隊仕込みの突入だ!
事務所の前に立つ。商店ではないので扉と窓がついているのみ。1階が事務所、2階が住居のようだ。
中の様子を窺うがカーテンがかかり全然中が見えない。耳を澄ますとわずかに怒鳴り声、子供の泣き声か聞こえる。早期解決をしないと。
ドアの前で武器を構えて一呼吸、ドアを蹴破って突入開始だ。
深呼吸をするとニスの匂いがした。
「せいや!」“ドン”と勢いよく扉を蹴るリリア。
「ぎみゃ!」ドアに押し返され、拍子で玄関ステップから転げ落ちて頭と腰を強打!
すげぇ痛いぞ!すげぇ恥ずかしいぞ!
“痛い!頭と腰を打って足首も捻った… どれも痛いが一番は群衆の目が痛過ぎる”
慌てず騒がず冷静に立ち上がる。
“いたぁぃ!足首がズキズキする”仕方がないので努めて自然にポーションを一口すする。こんな時に限って無駄に高級なポーションしか持っていない。
「さすが金融店のドアね!硬いわ!でもこれでだいぶ壊れているはずよ!」
大きく説明調の独り言リリア。
「えい!えい!この!やろ!」何度蹴っ飛ばしても体当たりしても全然壊れそうにない。
“まさか開いてる?”
さりげなくノブに手をかけて押し引きしてみたがやはりカギはかかっているらしい。
「リリア、ドローガさんは大抵ちゃんと鍵してるよ」ブラキャットが余計なことを言う。っというか何をしたかバレバレ。
「…… ドアの建付けは完璧ね!なるべく手荒な事はしたくなかったけど窓からいくしかないわね」
大きな独り言。
「どこの建設ギルドが立てたのかしら!いい仕事しているわね!」
自分のせいではないのだ相手を褒めて持ち上げる。
ガラスなら確実。破って颯爽と飛び込んでやるわ。敏捷性には自信あるのよ。
「せぃの… っは!」
助走とともに窓に飛び込む。“バッシャーン!”ガラスが砕けた!
「きゅ!!」
リリアはまたもや変な声をだして路上にひっくり返った。
ガラスは破れたが、格子と枠に阻まれた。
「ぃぃぃ… ぎぃぃ…」
ガラスを破って受け身を取ることだけイメージしていたリリアは大ダメージ!
突き指、肩も捻った、ガラスで出血している。格子にぶち当たり額が割れて流血してくる。
野次馬が痛い目みて泣く前にリリアが泣きだしそうな思い。
「あの、大丈夫ですか?変わりましょうか?」心配して声をかける巡回兵。
群衆は完全にしらけ切っている。
リリアは立ち上がると血をしたたせながら、声に力を込めて言う。
「大丈夫!あたしやるの!こんなの想定内よ!」
ポーションを飲もうとしたら、群衆の誰かが気を利かせたのか治癒魔法がかかった。
ありがたいが、今のリリアには傷口に塩を塗られる思い。
リリアは改めて窓に近づくと窓のカギを外してオズオズと窓をよじ登る。
脳震盪気味リリア。
1話使ってようやく突入のリリア…
リリアモデルの鎧を着て散歩中だったリリア。
商店兼家の立ち並ぶ街の一画にちょっとした人だかりが出来ている。
「コーヒーの試飲かチーズの試食かな?」リリアは人だかりに突入した。
ところが、人々の話しだと試食どころか金融商のドローガの事務所に、立て籠もり犯が親子を人質に家に立て籠もっているというのだ。
「また、ドローガさんところが… リリア何とかしてやってくれよ」
野次馬の中からリリアを見つけた商人のブラキャットが頼んできた。
「また?… 前にもこんな事件あったの?初耳ねぇ… 理不尽な事でもしたんじゃないの?」リリアが答える。
「のん気な!… 結構大変なんだよ、何とかしてやってくれよ」ブラキャットはオロオロしている。
「何とかったって… 個人宅なら冒険者じゃなくて衛兵の仕事になるじゃない。あたしが入ったら住居侵入になっちゃうはずよ」
「衛兵?… いや、リリアは勇者だろ。入れるよ。物語の勇者もよく勝手に民家に入って色んな物持ち去っても咎められないだろう」
「…… 確かに… いや、あれは物語でしょ?… いいのかなぁ? 国民の命と財産を守る仕事だからいいのか… 立て籠もりは一人でしょ?要求は?」リリアはその気になってきた。ヘボ勇者の血が騒ぐ。
「一人だよ、要求なんか知らないよ。とにかく助けてやってくれ」ブラキャットが言う。
「なるほど… わかったわ、リリアはこう見えてもこの前軍の学校で突撃術をマスターしてきたのよ、やってみるわ!」
ローゼンさんに頼まれて形だけ卒業した下士官学校だ。形だけということで座学は居眠り、夜は寮でお菓子と大貧民三昧だったが体動かすの大好きリリアは実技を真面目に受けたのよ。スナイピング学で潜入と部隊学で突入制圧を学んだわ、今こそ税金を払った国民にお返しする時よ!
まぁ、制圧はオーク達に役立たずと笑われていたけど、それは内緒。一般人よりは出来るはず。
「皆、下がって!危ないから下がって!」
群衆に呼びかけて野次馬を下がらせるリリア。
“街中で群衆整理、ちょっとかっこいいかも!勇者っぽいかも!”
「なんだおめぇ!」「女!何様だ!」「偉そうに、引っ込んでろ!」野次が飛んで来る。
“何だなんだ、おまえらのために言ってやってんだ!”
「勇者リリアよ!全員下がりなさい!あたし、ルーダリア国王から公認された勇者だけど国から給料出てないのよ。だけど税金を払っているあなた達の安全を確保する義務があるの。無料奉仕で危険な立て籠もり犯と対峙するの!さぁ、皆下がって下がって!」
「なんだおめぇ!」「女!何様だ!」「偉そうに、引っ込んでろ!」野次は変わらない…
犯人制圧はどうか知らんが、野次馬は制圧失敗…
“無料奉仕させられるこっちの気も知らないで、勝手にしやがれ!ケガして泣いても知らないぞ!”
騒ぎを聞きつけて数名の巡回兵がやってきた。
「話は聞きました、ここの主人と知り合いですか?」巡回兵がリリアに聞く。
「知り合いっていうか… 顔見知りよ… あたしに任せて、何とかするから」リリアは目に力を込めていう。野次馬共めリリアをバカにしやがって、ここで巡回兵に追い払われたら面目丸潰れだ。絶対自分でやってやるぞ!
「失礼ですがあなたは?」質問されるリリア。誰もリリアが何者か知らない。
「あたし、勇者リリア… 失礼ねぇ、自称じゃないわよ。国王から公認された国の勇者よ! 冒険者のギルド証?… ほら、見たら?でもそこには国の勇者かどうかはかかれてないわよ… もう!!冒険者番号控えて後で調べたらいいでしょ!! あたしもう突入するから!… 確認がとれるまではダメ?… 何よ、国は勇者を無給で働かせて邪魔ばっかりじゃない!」
建物内でも事件だろうが、建物外でも事件になりかけている…
「まぁ、知り合いなら問題無いんじゃないか?」巡回兵の一人が言い出した。
「… それもそうか… なら君に任せるよ」
「勇者リリアがやるわよ、勇者だもの、個人宅に入っても大丈夫な勇者だもの。群衆整理をお願いね」リリアは強気。絶対に街中で功績をあげてみせるぞ!
兵士達が整理しだすと群衆は下がり出した。リリアの時と全然態度が違う…
野次馬の中に突入して一人ひとり制圧してやりたいリリアだが我慢…
今に見てろよ!こっちは軍隊仕込みの突入だ!
事務所の前に立つ。商店ではないので扉と窓がついているのみ。1階が事務所、2階が住居のようだ。
中の様子を窺うがカーテンがかかり全然中が見えない。耳を澄ますとわずかに怒鳴り声、子供の泣き声か聞こえる。早期解決をしないと。
ドアの前で武器を構えて一呼吸、ドアを蹴破って突入開始だ。
深呼吸をするとニスの匂いがした。
「せいや!」“ドン”と勢いよく扉を蹴るリリア。
「ぎみゃ!」ドアに押し返され、拍子で玄関ステップから転げ落ちて頭と腰を強打!
すげぇ痛いぞ!すげぇ恥ずかしいぞ!
“痛い!頭と腰を打って足首も捻った… どれも痛いが一番は群衆の目が痛過ぎる”
慌てず騒がず冷静に立ち上がる。
“いたぁぃ!足首がズキズキする”仕方がないので努めて自然にポーションを一口すする。こんな時に限って無駄に高級なポーションしか持っていない。
「さすが金融店のドアね!硬いわ!でもこれでだいぶ壊れているはずよ!」
大きく説明調の独り言リリア。
「えい!えい!この!やろ!」何度蹴っ飛ばしても体当たりしても全然壊れそうにない。
“まさか開いてる?”
さりげなくノブに手をかけて押し引きしてみたがやはりカギはかかっているらしい。
「リリア、ドローガさんは大抵ちゃんと鍵してるよ」ブラキャットが余計なことを言う。っというか何をしたかバレバレ。
「…… ドアの建付けは完璧ね!なるべく手荒な事はしたくなかったけど窓からいくしかないわね」
大きな独り言。
「どこの建設ギルドが立てたのかしら!いい仕事しているわね!」
自分のせいではないのだ相手を褒めて持ち上げる。
ガラスなら確実。破って颯爽と飛び込んでやるわ。敏捷性には自信あるのよ。
「せぃの… っは!」
助走とともに窓に飛び込む。“バッシャーン!”ガラスが砕けた!
「きゅ!!」
リリアはまたもや変な声をだして路上にひっくり返った。
ガラスは破れたが、格子と枠に阻まれた。
「ぃぃぃ… ぎぃぃ…」
ガラスを破って受け身を取ることだけイメージしていたリリアは大ダメージ!
突き指、肩も捻った、ガラスで出血している。格子にぶち当たり額が割れて流血してくる。
野次馬が痛い目みて泣く前にリリアが泣きだしそうな思い。
「あの、大丈夫ですか?変わりましょうか?」心配して声をかける巡回兵。
群衆は完全にしらけ切っている。
リリアは立ち上がると血をしたたせながら、声に力を込めて言う。
「大丈夫!あたしやるの!こんなの想定内よ!」
ポーションを飲もうとしたら、群衆の誰かが気を利かせたのか治癒魔法がかかった。
ありがたいが、今のリリアには傷口に塩を塗られる思い。
リリアは改めて窓に近づくと窓のカギを外してオズオズと窓をよじ登る。
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1話使ってようやく突入のリリア…
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