勇者の血を継ぐ者

【56話】 プチトマトのフェリア

リリアは数日教会でボランティアをしていた。自分のミスで救える命救えなかったようで、落ち込んでしまったのだ。
実はルーダの風に戻ろうかと思ったリリアだったが、コトロ達が制すのを振り払って出て来た手前帰り辛い。
葬儀を手伝った後は数日教会の修道児達とお手伝いをして、また出発したところ。


リリアはパウロ・コートの街に来ていた。ギルド・シルバーソードの建物を訪れる。
「ねぇ、オフェリアにリリアが来たって伝えて欲しいの。オフェリアは二人いる？剣士の方よ…　両方剣使い？…　踏み込みのフィフィか、プチトマトフェリアか？…　じゃ、踏み込みのフィフィよ…　だってそっちの方が強そうじゃない。　そういう決め方じゃ困る？…　こっちは真面目よ！面倒だから両方に取り次ぎなさいよ！　フィフィは遠征中？　じゃ、聞くまでもないじゃない、プチトマトに取り次ぎなさいよ…　夕方戻って来て夜の酒場に顔出すはず？…　じゃそれでいいじゃない、なんでわざわざ二択にしたの！　とりあえずプチトマトの顔をみたらリリアが酒場にいるからって伝えて。　………闘技場で裸？　皆風呂やベッドで裸でしょ、裸くらいで騒いでみっともない…　触手で悶絶絶頂？　悪堕ち女？…　バカにしてんのか！シルバーソードは客に喧嘩売るのか！受けて立つぞ、どいつもこいつもかかって来やがれ！おぅ！」
言付けだけで大騒ぎのリリア…

とりあえず宿に戻ってバー・ルーダの風に手紙を書く。
必ず2週間に一回は手紙を書く約束だ。

祝福されし、コトロ、ネーコ、ラビ　様

リリアはパウロ・コートのギルド、シルバーソードのオフェリアと国境を越えて帝国に行きます。オフェリアはあたしと同じ、勇者の血筋。旅がてらソルディア家の勇者に会う決心。
後、あっちこっち見てみたいの。勇者だしもっと人助けもしたいの。
約束通り年末には帰るわ。
探さないでください。

皆様の行く先が光に満ちたものでありますよう
あなたのリリア

教会で習った出だしと締めくくりの定形文と、何故かラブレター用の〆文句が混じっている。“探さないでください”家出か！！
まぁ、リリアの手紙はこんな感じ。


その夜、うっかり寝過ごして遅く酒場に行くと、プチトマが待っていた。
正解の方のオフェリア。
リリア曰く
「どうせシルド家の血筋なら強そうじゃない方だと思ったのよね」
ついでに、「リリアって、あの闘技場で全裸になったあいつか？」とギルメン総出で迎えられ、リリアがバーに行くと大歓声だった。
酒場はリリアを中心に朝まで大騒ぎ！リリアは大人気！

オフェリア曰く
「初仕事がプチトマト畑の畑守で、夜中の巡回中に畑の中にある肥溜めに落ちたから」だそうだ。
「リリアなんか今のところランカシム砦の娼婦よ」と、リリアが笑う。