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【52.5話】 昼食のラビぴょん
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リリアとラビはルーダ港の屋台の並ぶ商業区を歩いていく。
リリアはラビの手を引き、スタスタと賑わいの中をすり抜けるように歩く。
ディルの金玉を蹴り上げて建物を出た直後は相当怒りが顔に出ていたリリアだが、今ラビがリリアを見ると、もう全然気にもしていない様子。
この時期は街でも村でも収穫祭の準備が進められる。ルーダ港でも収穫祭まで1週間になり、秋から冬にかけて涼しくなるシーズン。ルーダリアの地方は冬と言え、雨でも降ってジッとしていない限りは半袖で過ごせる。
収穫祭前とあって、普段よりだいぶん人も多くなっている。恐らく、それを見越しての試合スケジュールなのだろう。
さて、ラビ達は娼館街の一画で昼食中。普段、契約試合のミーティングの後はリアルゴールドの偉い人と食事するのだが、今日はリリアが大暴れして飛び出してきてしまい、
「二人だけなら面白い場所があるのよ」と、さっさと歩くのでついてくると娼館街にも食事処があり、その一角で食事中。
「ここ、通りも見えるし、賑わってるし、安いし、美味しいし、ルーダ港で時間つぶしなら最高の場所よ」と、リリアはシーフードパスタを食べながら、ニコニコと通りを眺めている。周りの客は娼婦、娼夫、お客、その他の理解しがた恰好をしている客で繁盛している。治安の悪さに目をつぶれば、活気が溢れ経済的な場所な上に確かに、意味不明な面白さがある。ラビは海の幸と山の幸の盛り合わせサラダを食べながら、機嫌を直してニコニコしているリリアを眺めている。
「あ、あそこ、娼婦が客引きでもめてるでしょ?… あの男あんな事して… ほらほら用心棒が飛んできた、あぁ、あの人ボッコボコだなぁ… あの娘、二人同時に客取るのよねぇ、凄い体力。あたしも体力は自信あるのよ、リリアなら5人同時くらい平気、したことないけど… あっはっは、ピョン今の見た?お店からつまみ出されて階段からひっくり返ったわよ」
ちょっと下世話な趣味だが、楽しそうにしているリリアを見ているとラビも何だか楽しくなってくる。
恐らくラビよりリリアは5、6歳年下だろう。無茶が過ぎるところがあるが、明るく生き生きとして、全身全霊で生活するリリアを見ていると理由もなく応援したくなる。
「リリアがこんな所に来るから驚いた?ピョンとあたし、寝るのかと思った?」リリアが笑っている。
「大丈夫ピョン。ラビも最初ここに来た時は、よくここでご飯してたピョン」ラビが答える。
「ラビ、娼婦してたの?稼いだ?一日何人と寝るの?」
「違うピョン、ラビは最初仕事が無かったから、昼は港湾の倉庫で在庫確認と夜はそこの裏にある娼館で掃除婦してたピョン」ラビは苦笑い。
「ふぅん… ラビも苦労してるのねぇ。あたしならここで働くなら娼婦かなぁ… 稼げて、男と寝れる… 一度で二度美味しい」
「そんな簡単に稼がせて足を洗わせてはくれないピョン。リリたんの体力でも大変ピョン」ラビがサラダを食べきりながら言う。
「…… 闘技場で下着になるよりマシよ。何が国の勇者よ、ねぇ?」リリアは呆れている。
「確かに、娼婦以上に体張ってるピョン… ねぇリリたん…」
ラビが言いかけたが、リリアは自分のパスタを食べきるとサッと席を立って、ラビに声をかけた。
「ラビ、ハチミツ野菜ジュースを飲みながら、リリアのポスター見学巡りしようよ。最近、リリアのポスターの落書きを見て回るの楽しみなの。結構傑作があるのよ」
リリアが立ち上がってラビを促す。
「…… リリたん…」ラビは小さく呟いたが、すぐ笑顔になって答えた。
「目に画鋲が刺さって、乳首とか落書きしてあるやつピョン? 見に行くピョン。笑えるピョン」
ラビも席を立つ。
見た目より真面目で、仲間思いのところがあるリリアをラビは大好きだ。
ラビにはリリアが勇者向きな性格とはあまり思えない、能力的にも…
仕事を引き受けるたびに「皆に神のご加護を!」と挨拶しながら、バー・ルーダの風を出ていくリリアが二度と帰って来ないのではかと心配しながら見送る。
ラビが唯一憂鬱な瞬間。しかし、リリアは自分の生還に微塵の疑いも無いようだ。下手にアドバイスしない方がよいのかも…
「リリたん、最近ご馳走になってばかりピョン、ラビが野菜ジュースご馳走ピョン」
「そ!じゃ、苦いの苦手なリリアはハチミツダブルよ」リリアは笑顔で振り返る。
「通は、素の野菜ミックスぴょん」ラビが答える。
破廉恥な姿の娼婦が香水を漂わせて通りすがって行った。
「明日は勝って、戦績二勝一敗ピョン」
「リリアの勝ち負けなんて誰も気にしてないよきっと」
「ラビはリリたんの勝ちに賭けるピョン」
リリアはラビの手を引き、スタスタと賑わいの中をすり抜けるように歩く。
ディルの金玉を蹴り上げて建物を出た直後は相当怒りが顔に出ていたリリアだが、今ラビがリリアを見ると、もう全然気にもしていない様子。
この時期は街でも村でも収穫祭の準備が進められる。ルーダ港でも収穫祭まで1週間になり、秋から冬にかけて涼しくなるシーズン。ルーダリアの地方は冬と言え、雨でも降ってジッとしていない限りは半袖で過ごせる。
収穫祭前とあって、普段よりだいぶん人も多くなっている。恐らく、それを見越しての試合スケジュールなのだろう。
さて、ラビ達は娼館街の一画で昼食中。普段、契約試合のミーティングの後はリアルゴールドの偉い人と食事するのだが、今日はリリアが大暴れして飛び出してきてしまい、
「二人だけなら面白い場所があるのよ」と、さっさと歩くのでついてくると娼館街にも食事処があり、その一角で食事中。
「ここ、通りも見えるし、賑わってるし、安いし、美味しいし、ルーダ港で時間つぶしなら最高の場所よ」と、リリアはシーフードパスタを食べながら、ニコニコと通りを眺めている。周りの客は娼婦、娼夫、お客、その他の理解しがた恰好をしている客で繁盛している。治安の悪さに目をつぶれば、活気が溢れ経済的な場所な上に確かに、意味不明な面白さがある。ラビは海の幸と山の幸の盛り合わせサラダを食べながら、機嫌を直してニコニコしているリリアを眺めている。
「あ、あそこ、娼婦が客引きでもめてるでしょ?… あの男あんな事して… ほらほら用心棒が飛んできた、あぁ、あの人ボッコボコだなぁ… あの娘、二人同時に客取るのよねぇ、凄い体力。あたしも体力は自信あるのよ、リリアなら5人同時くらい平気、したことないけど… あっはっは、ピョン今の見た?お店からつまみ出されて階段からひっくり返ったわよ」
ちょっと下世話な趣味だが、楽しそうにしているリリアを見ているとラビも何だか楽しくなってくる。
恐らくラビよりリリアは5、6歳年下だろう。無茶が過ぎるところがあるが、明るく生き生きとして、全身全霊で生活するリリアを見ていると理由もなく応援したくなる。
「リリアがこんな所に来るから驚いた?ピョンとあたし、寝るのかと思った?」リリアが笑っている。
「大丈夫ピョン。ラビも最初ここに来た時は、よくここでご飯してたピョン」ラビが答える。
「ラビ、娼婦してたの?稼いだ?一日何人と寝るの?」
「違うピョン、ラビは最初仕事が無かったから、昼は港湾の倉庫で在庫確認と夜はそこの裏にある娼館で掃除婦してたピョン」ラビは苦笑い。
「ふぅん… ラビも苦労してるのねぇ。あたしならここで働くなら娼婦かなぁ… 稼げて、男と寝れる… 一度で二度美味しい」
「そんな簡単に稼がせて足を洗わせてはくれないピョン。リリたんの体力でも大変ピョン」ラビがサラダを食べきりながら言う。
「…… 闘技場で下着になるよりマシよ。何が国の勇者よ、ねぇ?」リリアは呆れている。
「確かに、娼婦以上に体張ってるピョン… ねぇリリたん…」
ラビが言いかけたが、リリアは自分のパスタを食べきるとサッと席を立って、ラビに声をかけた。
「ラビ、ハチミツ野菜ジュースを飲みながら、リリアのポスター見学巡りしようよ。最近、リリアのポスターの落書きを見て回るの楽しみなの。結構傑作があるのよ」
リリアが立ち上がってラビを促す。
「…… リリたん…」ラビは小さく呟いたが、すぐ笑顔になって答えた。
「目に画鋲が刺さって、乳首とか落書きしてあるやつピョン? 見に行くピョン。笑えるピョン」
ラビも席を立つ。
見た目より真面目で、仲間思いのところがあるリリアをラビは大好きだ。
ラビにはリリアが勇者向きな性格とはあまり思えない、能力的にも…
仕事を引き受けるたびに「皆に神のご加護を!」と挨拶しながら、バー・ルーダの風を出ていくリリアが二度と帰って来ないのではかと心配しながら見送る。
ラビが唯一憂鬱な瞬間。しかし、リリアは自分の生還に微塵の疑いも無いようだ。下手にアドバイスしない方がよいのかも…
「リリたん、最近ご馳走になってばかりピョン、ラビが野菜ジュースご馳走ピョン」
「そ!じゃ、苦いの苦手なリリアはハチミツダブルよ」リリアは笑顔で振り返る。
「通は、素の野菜ミックスぴょん」ラビが答える。
破廉恥な姿の娼婦が香水を漂わせて通りすがって行った。
「明日は勝って、戦績二勝一敗ピョン」
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