JK LOOPER

猫ノ謳

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3rd STAGE/海を越えねばならぬのです。

211.高千穂神社奪還戦②

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天使たちが宙に浮いているなか、ボスキャラだけが着地しました。

そうして、

「さぁ、どうするか、聞かせよ。」

我々を見下ろしてきたのです。

多勢に無勢のため勝てそうになく、弱腰になった私が、

(ここは、従うフリして、逃げたほうがいいかも?)

このように思ったところ、

「断る!!」

陽斗はるとくんと、

「言いなりにはならない!」

壱紀かずきくんが、あっさり拒否しました(汗)

「ならば、死ね。」

[9M級のボス]が冷酷に告げるなり、エンジェル達が武器を手にしたのです。

すかさず、

「せんこう!!」
「おんけい!」

琴音ことねがスキルを用います。

天使たちは目がくらんだようですが、なかでも4割ぐらいが一斉に指から【光線】を飛ばしてきました。

その殆どは外れたものの、【身かわし】が間に合わなかった陽斗くんも含めて、全員が負傷し、膝を屈してしまったのです。

苦しそうにしながら後ろを振り返った琴音が、“左のてのひら”を出して、

ゆ。」

月媛ひかりちゃんを回復してあげます。

最年少さんを優先するとは、できた妹です♪

こう感心するなか、壱紀くん&陽斗くんが出現させた[体力回復ポーション]を摂取していきます。

私も二人にならい、琴音は自身に【治癒魔法】を施しました。

皆が立ち上がっていく流れで、

地走ちばしり!!」

壱紀くんが[バトルアックス戦斧]の刃を用いて、地面を段々に隆起させたのです。

それ・・がボスキャラの“左すね当て”にひびを生じさせたのを皮切りに、

「こおりーッ!!」

月媛ちゃんが【氷撃】を、

「ライト・ビーム!」

我が妹は【灯火あかりの光線】を、ほぼ同時に放ちました。

これらが、私が発砲した弾丸と一緒に、[神下九部衆しんかきゅうぶしゅう]とやらの両足にヒットします。

また、既に距離を詰めていた陽斗くんは、

刺突しとつ!!」

右の脛を防具ごと貫いたのです。

「ぐぅ~ッ。」

[総大将]は少なからず痛がったものの、

「成程。」
「威勢がいいだけあって、それなりに強いな。」

冷静に述べて、鞘から抜いた“大剣”を振り被りました。

あくまで私の印象ではありますが、“柄の長さ1.5M×剣身4M×元幅50㎝”といったところです。

そんな“ソード”を、

「むんッ!」

おもいっきり叩き付けてきます。

しかしながら、ボスも視力を奪われているらしく、誰にも直撃しませんでした。

とはいえ。

〝ズドォオンッ!!〟という地響きが鳴るなかで、小石が飛び散り、砂が舞いました。

この所為で、私も瞳を閉じてしまったのです。

驚きのあまりに委縮してしまいながらも、まぶたを開けてみたら、[総大将]が左手で【光線】を扱ったところでした。

直径1Mはありそうな【ビーム】が、〝ズバォウッ!〟と琴音にヒットします。

装備品の半分ほどが砕けたり破れたりしていくなか、

「がはッ!!」

血を吐いた妹は、うつ伏せに崩れたのです。

「琴音!」

私が焦って駆けだそうとしたら、エンジェルソルジャー達までもが【ビーム】を放ってきたのでした。

それらが再び我々にダメージを負わせ、横転させます。

ふと視界に入った月媛ちゃんが、痙攣した後に、〝ピタッ〟と止まりました。

(まさか!?)

嫌な予感がして、四つん這いで近づいてみたところ、息をしている気配がなかったのです。

〝ペタン〟と正座した私が、

「カズくん。」
「ヒカリちゃんが…。」

脱力するのと共に伝えたら、

「……、嘘だろ。」

ほふく前進しつつ、

「月媛。」
「月媛ぃーッ!!」

壱紀くんが愕然とします。

この最中さなかに、

「コトハ姉ちゃん!」

慌てた様子で陽斗くんが声をかけてきたのです。

その方角に顔を向けたところ、琴音の側で、陽斗くんが膝立ちしていました。

私と目が合うなり、陽斗くんが首を左右に振ります。

妹が亡くなった事を察した私は、

「う、うう…、うわぁあああ――ッ!!!!」

ボスキャラに対して、怒り任せで“ピストルグレネードランチャー”のトリガーを引いたのです。

これが右脛に当たり、

「ぐぬッ!!」

呻いた敵が、

「……、ふむ。」
ほふれたのは二人だけか。」
「まぁ、よい。」
「これより、お前たちもソヤツらの所に届けてやるから、悲観するな。」

そのように喋りました。

おそらく、ステータスが正常化したのでしょう。

「このッ!」

ダッシュした陽斗くんが、

「刺と」

能力を発するよりも速く、

「ふんッ。」

総大将が剣を払います。

喉元が斬れてしまったらしい陽斗くんは、血を噴射しながら、左へと倒れたのです。

こういった光景に、私の思考回路はストップしかけていました。

言葉も出ない私を、

「次は、“銃使い”をラクにしてやろう。」

ボスが左手で“ロックオン”します。

【光線】が迫るなか、私の眼前に〝ふらふら〟と歩いてきた壱紀くんが、

「あとは、よろしく。」

そう呟いて、身代わりになったのです。

仰向けとなる壱紀くんに、私が放心していたところ、

「順番が変わってしまったが、ま、問題はない。」
「お前も、すぐに、冥界へと送ってやる故。」

ボスキャラが宣告してきました。

一人だけ生き残った私には、為す術などありません。

〝ピストルで自ら命を絶って時を戻す〟という方法が脳裏にぎりましたが、これは和歌山県の或る島を舞台にタイムループする男子高校生のパクリになりかねないので、めておくことにしました。

そもそも、ああいうたぐいの度胸は、私には皆無です。

いささか頭が働くようにはなったものの、私の戦意は喪失したままとなっています。

れ。」

総大将の命令にて、子分らの6割くらいが、指から【ビーム】を飛ばしてきました。

ただ睨み付けるしかできない私は、これらによって“蜂の巣”にされてしまったのです―。
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