JK LOOPER

猫ノ謳

文字の大きさ
上 下
160 / 271
2nd STAGE/ループには別の種類があるみたいです。

160.目処

しおりを挟む
「そういえば…、貴女がた三人は、蘇生術士さんを復活させるため、海外に渡航できないかリサーチしていく予定でしたね。」

【神官】たるカズヒコさんの発言によって、

「ほんまですか?」

黒髪ボブのナガハマさんが、私に確認してきました。

「ええ。」
「……、可能性は低いかもしれませんが、出来るだけの事はやってみようと思います。」

このように述べたら、

「そもそも当てはあるのかい??」

勇者さんに訊かれたので、

「いいえ。」

首を横に振った私は、

「現時点では何も。」

そう答えたのです。

「飛行機かフェリーを利用できればいいんだけど…。」

壱紀かずきくんが呟いたところ、

「無理だろうね。」
「空港は閉鎖されているし……、海とかにもエネミーが出現する所為で船もまた運航していないみたいだから。」

【機工士】のユウジさんが説明しました。

「そうなんですか?」

私の質問に、

「ああ。」
「他には、湖にも現れやがる。」
「“半魚人”などの水陸両用と、天使や鴉天狗に“セイレーン”とかいう空を飛べる連中がな。」
「結果、全国各地のフェリーも休業中だ。」

【侍】たるジュンヤさんが教えてくださったのです。

「それじゃあ“八方塞がり”ですね。」
「どうしましょ??」

頭の片隅では〝おそらく厳しいだろう〟と理解してはいたものの、心の何処かで〝なんとかなるんじゃないか〟と希望を抱いていた私は、半ば愕然としました。

皆さんも妙案が浮かばないらしく、黙りこくっております。

このような状況にて、私のスマホが鳴ったのです。

画面を見てみたら、母からの着信が表示されていました。

「すみません。」
「ちょっと席を外します。」

断りを入れた私は、〝スタスタ〟とロビーの片隅へ向かいつつ、

「もしもし?」

電話に出たのです。

『あ、琴晴ことはちゃん??』
『今、いいかしら?』

「うん。」
「何かあったの??」

『お手紙が届いてるんだけど、どうしようかしら?』
『一度こっちに帰ってきてみる??』

「!!」
「もしかして、いつも・・・の?」

『多分…。』

「代わりに読んでもらえないかな??」

『いいわよ。』
『ちょっと待ってね。』
『…………。』
『もしもし?』
『読むわよ。』

「うん、よろしく。」

『えぇーっと……、〝九州は宮崎を目指すが良い〟〝それでは健闘を祈る〟って、書いてあるけど??』

「宮崎…。」

『ねぇ、琴晴ちゃん。』

「ん?」

『一時間ぐらい前に、穂乃歌ほのかちゃん達4人が挨拶に来たわよ。』
『〝お陰で生き返りました〟って。』
『その時に話しは聞いたけど……、“蘇生術士”とかいう人の問題を解決しないといけないんでしょ??』
『大丈夫なの? 3人だけで。』

「うーん…。」
「まぁ、やってみるよ。」

『……、そう。』
『じゃあ、応援するわ。』
『ところで…、琴音ことねちゃんは元気??』

「私よりも。」

『はははははッ!』
『なんだか想像がつくわね。』

「あの……、いろんな人を持たせているから、そろそろいいかな?」

『そうなの??』
『分かった…。』
『カズくんとも仲良くやっていきなさいよ。』
『それと……、とにかく気を付けてね。』

「うん。」
「ありがと。」
「そのうち帰るから、またね。」

『はーい。』

やりとりを終えて電話を切った私は、皆さんの元に足を運びながら〝どうしたものかしらん?〟と悩んでおります。

妹&従兄妹は手紙の存在・・・・・を知っているので構いませんが、それ以外の人々への伝え方が難しい今日この頃です。

私の心配を余所よそに、

「お、戻ってきたな。」
「朗報があるぞ♪」

〝ニッ〟と口許を緩めるアケミさんでした―。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

婚約破棄されたので暗殺される前に国を出ます。

なつめ猫
ファンタジー
公爵家令嬢のアリーシャは、我儘で傲慢な妹のアンネに婚約者であるカイル王太子を寝取られ学院卒業パーティの席で婚約破棄されてしまう。 そして失意の内に王都を去ったアリーシャは行方不明になってしまう。 そんなアリーシャをラッセル王国は、総力を挙げて捜索するが何の成果も得られずに頓挫してしまうのであった。 彼女――、アリーシャには王国の重鎮しか知らない才能があった。 それは、世界でも稀な大魔導士と、世界で唯一の聖女としての力が備わっていた事であった。

公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

処理中です...