33 / 278
1st STAGE/ループには回数制限があるようです。
33.現状③
しおりを挟む
「お姉ちゃん、やっつけた!?」
玄関で尋ねてきた妹の琴音に、
「バッチリ!」
私は笑顔で答えます。
靴を脱いで上がったところ、妹の近くに居た咲凛ちゃん&葵月ちゃんが、
「なんか、琴晴ちゃんばかり戦わせて、ごめん。」
「いつも、ありがとね。」
と、代わる代わる述べました。
「いいよ、いいよ、全然。」
「それよりも、着替えて来るね。」
そう答えた私は、階段へと向かいます。
台所では母と叔母さんたちが朝食の支度をしているようで、お味噌汁や卵焼きなどの美味しそうな匂いが漂っていました。
パジャマから私服にチェンジして、広間へと足を運んだところ、父や叔父さんらに重たい空気が流れていました。
「どうしたの?」
出入り口付近に座っていた壱紀くんに、そっと聞いてみます。
壱紀くんは、葵月ちゃんのお兄さんで、身長は168㎝ぐらいです。
高1から高2になる途中の16歳である彼は、中学まで柔道部でした。
辞めた今でも筋トレは欠かしていないようで、割と体格が良いです。
スポーツ刈りでしたっけ? そういう髪型をしております。
「ああ、琴晴ちゃん、おはよう。」
穏やかというか、少し気弱な性格である壱紀くんの挨拶に、
「おはよう。」
「それで?」
と返したところ、
「ああ、うん。」
「うちの父親や、叔父さんたち、それぞれの会社から連絡があって…、どこも社員の3~4割が亡くなってしまったとかで、世の中、危険な状況だから、暫くは自宅待機になったらしいんだ。」
「いつまで続くのかは分からないけど。」
との事でした。
おそらく、同僚が命を落とした悲しみに打ちひしがれていたり、仕事がストップして収入を得られなくなったことに頭を悩ませているのでしょう。
声を掛けづらい雰囲気のなか、私に気付いた聡真くんが、
「あ、おはよう、琴晴ちゃん。」
「出来たよ。」
と、出現させたアイテムを、座卓の上に並べていきます。
その間に、他の人たちが、
「おはよう。」
「外の連中を倒してくれた、という事か。」
「頼りっきりで、すまない。」
「ありがとな。」
といった具合に、口を開いたのです。
〝どうも、どうも〟みたいな感じで、皆に会釈して、長方形のローテーブルに視線を送ったら、体力系と魔力系のポーション/解毒剤/転移の宝玉が、3個ずつ置かれていました。
「ん?」
「数、多くない??」
私が首を傾げたら、
「夜中の2時に、あいつらの所為で目が覚めたから、新たにコピーしておいた。」
と説明しくれたのです。
「おー、やるねぇ。」
ご満悦な私に、
「これさ、一つずつ貰っておいてもいい?」
「明日からも複製していきたいから。」
と、聡真くんが提案します。
「勿論!」
「どんどん増やして、全員に配ろう!」
「いや、いっそ販売して生計に役立てるのもアリ、かな?」
私が今後の展望を考えていたところへ、
「ご飯にするから片付けてー。」
母と叔母さん達が、食事を載せた大きめの黒いトレーを運んできたのでした―。
玄関で尋ねてきた妹の琴音に、
「バッチリ!」
私は笑顔で答えます。
靴を脱いで上がったところ、妹の近くに居た咲凛ちゃん&葵月ちゃんが、
「なんか、琴晴ちゃんばかり戦わせて、ごめん。」
「いつも、ありがとね。」
と、代わる代わる述べました。
「いいよ、いいよ、全然。」
「それよりも、着替えて来るね。」
そう答えた私は、階段へと向かいます。
台所では母と叔母さんたちが朝食の支度をしているようで、お味噌汁や卵焼きなどの美味しそうな匂いが漂っていました。
パジャマから私服にチェンジして、広間へと足を運んだところ、父や叔父さんらに重たい空気が流れていました。
「どうしたの?」
出入り口付近に座っていた壱紀くんに、そっと聞いてみます。
壱紀くんは、葵月ちゃんのお兄さんで、身長は168㎝ぐらいです。
高1から高2になる途中の16歳である彼は、中学まで柔道部でした。
辞めた今でも筋トレは欠かしていないようで、割と体格が良いです。
スポーツ刈りでしたっけ? そういう髪型をしております。
「ああ、琴晴ちゃん、おはよう。」
穏やかというか、少し気弱な性格である壱紀くんの挨拶に、
「おはよう。」
「それで?」
と返したところ、
「ああ、うん。」
「うちの父親や、叔父さんたち、それぞれの会社から連絡があって…、どこも社員の3~4割が亡くなってしまったとかで、世の中、危険な状況だから、暫くは自宅待機になったらしいんだ。」
「いつまで続くのかは分からないけど。」
との事でした。
おそらく、同僚が命を落とした悲しみに打ちひしがれていたり、仕事がストップして収入を得られなくなったことに頭を悩ませているのでしょう。
声を掛けづらい雰囲気のなか、私に気付いた聡真くんが、
「あ、おはよう、琴晴ちゃん。」
「出来たよ。」
と、出現させたアイテムを、座卓の上に並べていきます。
その間に、他の人たちが、
「おはよう。」
「外の連中を倒してくれた、という事か。」
「頼りっきりで、すまない。」
「ありがとな。」
といった具合に、口を開いたのです。
〝どうも、どうも〟みたいな感じで、皆に会釈して、長方形のローテーブルに視線を送ったら、体力系と魔力系のポーション/解毒剤/転移の宝玉が、3個ずつ置かれていました。
「ん?」
「数、多くない??」
私が首を傾げたら、
「夜中の2時に、あいつらの所為で目が覚めたから、新たにコピーしておいた。」
と説明しくれたのです。
「おー、やるねぇ。」
ご満悦な私に、
「これさ、一つずつ貰っておいてもいい?」
「明日からも複製していきたいから。」
と、聡真くんが提案します。
「勿論!」
「どんどん増やして、全員に配ろう!」
「いや、いっそ販売して生計に役立てるのもアリ、かな?」
私が今後の展望を考えていたところへ、
「ご飯にするから片付けてー。」
母と叔母さん達が、食事を載せた大きめの黒いトレーを運んできたのでした―。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる