JK LOOPER

猫ノ謳

文字の大きさ
上 下
8 / 278
1st STAGE/ループには回数制限があるようです。

8.てんやわんやの最神さん家

しおりを挟む
畳敷きの広間にて、父の弟である叔父さんが、

「タイムループとかいうやつだろ?それって。」
「俄かには信じられんが、嘘をいているとも思えないし…。」

「うーん」と唸りながら腕を組んで目を閉じました。

「ま、難しい事はこの際いいんじゃない?」
「話しによれば、一回目の私たちは全滅しちゃったけど、今回は琴晴ことはちゃんのお陰で助かったんだし。」

笑顔で述べたのは、叔母(次女)さんの娘であり、14歳の葵月はづきちゃんです。

春休みが明ければ中3になる彼女は、身長が157㎝くらいで、髪の毛をボブにしています。

割と楽観的な性格である葵月ちゃんには、兄と妹がいるのですが、そこら辺は機会があった際に紹介しましょう。

我が弟の利勇りおが口を尖らせながら、

「にしても、姉ちゃんだけズリィよなぁ~。」
「そのブレスレットで戦えるジョブに変更できたんだろう?」
「俺なんて“大道芸人”だぜ。」
「いや、本職の人たちを否定するつもりはねぇよ。」
「でもさぁ~、これ・・って戦闘に向いてないだろー。」
「速攻で詰むビジョンしか見えねぇ…。」

と、愚痴りました。

これをきっかけに、親戚一同が、

「俺は、確か、“錬金術師”になっていたな。」

「私は、“裁縫師”だったわ。」

「僕は、“復元士”。」

「こっちは、“アイテム士”よ。」

などなど、〝ワイワイガヤガヤ〟盛り上がっていったのです。

そんな状況下で、私の母が、

「あ!」
「お寿司…、どうしましょ?」
「流石に配達は無理よねぇ??」
「世の中が、こんな事になってしまっているんですから…。」

と困った表情になります。

母は沖縄出身だからでしょうか?

それなりにズレています。

決して悪い意味ではありません。

おおらかなタイプの癒し系なので、周りは割と救われるのです。

特に緊張が走る場面とかで〝ほっこり〟させてくれます。

そんな母に、父が、

「んー、電話してみたらどうだろう?」
「琴晴みたいな力を得て、生き延びているかもしれないしな。」

と、提案しました。

今度は、この言葉に、叔父さんや叔母さん達が、

「そうだわ、実家に連絡してみましょう、誰も亡くなってなければ良いんだけど…。」

「明日、仕事なんだけど、会社は大丈夫なのかな?」

「それよりも、この様子じゃ家まで帰れそうにないわね。」

「やっぱり外にも居るんだろうなぁ、さっきみたいな奴らが。」

と慌ただしくなったのです。

私どもの祖母による、

「みぃ~んな、泊っていけばいい。」

との提案に、祖父が、

「そうするのが一番だろうな。」

〝うん うん〟と頷きました。

「でも…、自宅が壊されたり荒らされていたりしないか心配だわぁ。」

と、父の妹である長女さんが少なからず不安げになります。

「じゃあ…。」

〝スック!〟と立ち上がった私は、

「一軒一軒、チェックしてくるよ。」
「連中が好き勝手やっていたら倒すし、結界も張っておく。」

そう告げたのでした―。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな

カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界 魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた 「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね? それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」 小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く 塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう 一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが…… ◇◇◇ 親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります (『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です) ◇◇◇ ようやく一区切りへの目処がついてきました 拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処理中です...