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- 最終期・全身にて全霊を賭けて -

第330話 休養

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ミノタウロス元帥らが[総大将]を滅したことで、中級神どもが慌てふためきながら退却していく。

それを暫く追撃する俺達だった……。


神々の大多数は討ち取ったものの、二十万数ぐらいには逃げられてしまったようだ。

こちらは2万ほどが亡くなっていた。

先の“下級神たちとの戦い”と合わせると、3万くらいが命を落とした事になる。

今回の遺体もまた、一ヵ所に集め、手分けして腐らないように凍らせていくのであった…。


俺たちは、【瞬間転移】を扱える面子によって、再び[東岸とうがん]に戻ってきている。

現在は正午あたりのため、海辺で飲食している最中だ。

その間に、北のダークロード女魔王/西のケルベロス犬の王/南のキャットロード獅子王より、順次、【念話】での連絡が入った。

三方とも、俺ら[東のグループ]と似たような状況になっているらしい。

全体的に新たな犠牲者が出たのは残念だが、どこも勝利を収めたことに関しては喜ばしい限りである。

……、いや、正直、複雑な気分だ。

こうした俺の心象を余所よそに、“二年の弓道部エース”が、

「あの、ずっと疑問だったのですが…。」
「邪神達は、よく今まで、この環境で生きてこられましたよね。」
「だって、結界を張られていたので、徐々に空気が失われていったに違いありませんから。」
「それと……、この大陸には魔物がんでいないのでしょうか??」
「ここまで全くもって遭遇していませんので。」
「まぁ、モンスター型のであれば、それなりの数を見ましたけど。」

そのように述べたのだった。

「おぉー、確かに不思議っスねぇ。」

こう同意したのは、勿論、“一年のボクっ娘”だ。

「神ともなれば、酸素が無くても問題ないのでは?」

“生徒会長”が喋ったところ、

「ドラ○ンボールで言うところの“フ○ーザ”みたいな感じでしょうね、きっと。」

そう補足した“一年の書記”である。

この説明に〝アァ〟と理解を示す“三年の白人留学生”と“二年の黒人元バスケ部”であった。

「となると…。」
「魔物たちは〝いつしか息絶えた〟という事でしょうか??」
「次第に空気が薄くなってしまって。」

“二年の書記”が首を傾げたら、

「可能性としては高そうね。」

そのように応じた“三年の元ソフトボール部”である。

少し離れた位置で、

わたくしとしては、予想していたよりも神々が少ないことのほうが謎です。」
「封印されていた永い間に、もっと子孫繁栄しているものとばかり考えていましたので。」
「それこそ〝数百億になっていてもおかしくないのでは?〟と……。」

こう意見したのは、“エルフの国主”だ。

〝ふむ〟と納得はしたものの、理由が分からない俺は、

「どう思う??」
「ひょっとして、敵は、隠していたりすんのか?」
「あれ、なんだっけ??」
「伏兵?」
「みたいな??」

近くの“アンデッドソーサラー”に話しを振ってみた。

それに対して、

「うぅ~む。」
「………。」
「これは、あくまで、仮説じゃが…。」
「〝数が増えすぎた流れで、多くの者が境遇に不満を募らせていったら、一斉に反旗を翻すかもしれん〟と危惧したのやもしれんな。」
「かつて自分らが下剋上を起こそうとしたように。」
「要は〝内輪もめを避けたかった〟というところじゃろうて。」
「逆に〝この規模であれば謀反むほんを抑えきれる自信がある〟のではないか?」
「“天地晦冥てんちかいめいしゅ”とやらには。」

このようにリッチが推測する。

「そんだけ親玉はつええって事か?」

俺が新たに尋ねてみたところ、

「ま、そう心構えしておいたがよかろうな。」
「あとは……、これまで倒してきた連中よりも、有能な家臣が幾らか存在しており、まだまだ余裕なのかもしれん。」
「ともあれ。」
「連戦連勝に浮かれ過ぎず、引き締め直さんと、痛い目に合うじゃろう。」
「それこそ取り返しがつかんほどに…。」

そう忠告してくる魔霊だった―。
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