309 / 350
- 最終期・全身にて全霊を賭けて -
第309話 南陸攻防戦・終-後編
しおりを挟む
地面に落ちた[氷の塊]が〝スーッ〟と消える。
「ま、本気じゃなかったから、そんなもんだろうな。」
呟いた俺に、駆けて来た[リザードマンの王]が、“槍”を繰り出す。
間髪入れずに突きまくってくるところを、悉く躱しつつ、
「たいした事ねぇな。」
こう述べた俺は、〝ズイッ〟と距離を詰めた。
その流れで、驚いて動きが止まった[リザードマンロード]の腹部を、右足で〝ドンッ!〟と蹴ったのである。
5Mほど〝ズザザザザーッ〟と後ろに退がった[リザードマンの王]は、
「がはッ!!」
血を吐いて、右膝を屈したのであった。
見れば“鎧”に罅が生じている。
「悪ぃな。」
「この形態でのパワーコントロールが、まだイマイチよく慣れてなくって。」
〝フッ〟と笑みを浮かべた俺を、鋭く睨むリザードマンロードの周囲で、ポーションを用いた[四将軍]が回復してゆく。
「我々が時間を稼ぎますので、陛下も治癒なさってください。」
そう伝えた[赤色トカゲ]が、
「押して参る!」
ビーバー&カエルと一緒にダッシュした。
ちなみに、カモノハシは、再び“鉛玉”を発射している。
ともあれ。
俺は、
「束になったところで、無意味だということを、教えてやろう。」
このように述べるのと共に、“常闇の剣”を抜いたのである。
そうして、左端のビーバーに、武器を縦へと振るった。
更には、〝返す刀〟で、中央の[赤いトカゲ]に、常闇を横に払う。
右端の蛙は、剣で刺したのである。
ビーバーは左の肩から膝あたりを、赤色トカゲは腹を、カエルは右胸を、それぞれに負傷して倒れたのだった。
俺と目が合ったカモノハシは、〝ビクッ!!〟として、攻撃が自然とストップしたみたいだ。
“HP回復ハイポーション”を摂取したらしいリザードマンロードは、憤怒の形相で、俺へと歩いてくる。
〝すぅ――ッ〟と息を吸った[リザードマンの王]が、
「縦断!」
武器を振り下ろしてきた。
これを、左の籠手で〝ガツン!!〟と受けたところ、なおも力で押そうとしてきたのである。
しかし。
〝ピクリ〟ともしない状況に、リザードマンロードは唖然としたのであった。
「……。」
少し考えて、
「お前は拳で捩じ伏せるとすっか。」
こう決めた俺は、常闇を鞘に収め、左足を踏み込んで、“右ストレート”をボディにくらわせたのである。
今度は、おもいっきり殴ったので、鎧の一部が砕け散りながら、かなり後方へと吹き飛んだ。
その光景に戦意を喪失したのであろう[四将軍]は、固まっていた。
いささか宙に浮いて、[リザードマンの王]に寄った俺が、
「ここで負けを認めれば、命は保障してやる。」
「だが。」
「まだ続けるつもりなら、お前と最高幹部どもは殺す。」
「好きなほうを選べ。」
こう告げたところ、リザードマンロードが軽く両手を挙げて“降参”の意を示したのである。
それによって、[四将軍]も観念したらしい…。
[植物の王]などに、ふと視線を送ったところ、クレリックたるカピバラの【加護】で、有利に展開していた。
[ヒポポタマスロード]及び“三将軍”の一匹ずつに、二体が対応しているのも、功を奏したようだ。
余談かもしれないが、あちらは“背丈175㎝で【武闘家】のオランウータン・身長160㎝で【剣士】のサンショウウオ・背丈145㎝で【騎士】のアライグマ”といった面子だった。
さて。
「破壊!!」
[カバの女王]による“ハンマー”が、左腕に当って、直径50㎝の範囲が陥没しながらも、いっさい構わずに[シャンブリング・マウンド]が右手を伸ばす。
途端に、茎と枝が5つに分かれながら、[ヒポポタマスロード]の首や四肢に絡み付き、そのまま締め上げていく。
「ぐッ、うぅッ。」
苦しむ[カバの女王]に近づいて、
「リザードマンたちは俺への従属を決めたぞ!!」
「お前らは、どうする!?」
このように投げかけたところ、
「……、あなた、がたの、勝利と、いたし、ましょう。」
途切れがちで喋ったのであった―。
「ま、本気じゃなかったから、そんなもんだろうな。」
呟いた俺に、駆けて来た[リザードマンの王]が、“槍”を繰り出す。
間髪入れずに突きまくってくるところを、悉く躱しつつ、
「たいした事ねぇな。」
こう述べた俺は、〝ズイッ〟と距離を詰めた。
その流れで、驚いて動きが止まった[リザードマンロード]の腹部を、右足で〝ドンッ!〟と蹴ったのである。
5Mほど〝ズザザザザーッ〟と後ろに退がった[リザードマンの王]は、
「がはッ!!」
血を吐いて、右膝を屈したのであった。
見れば“鎧”に罅が生じている。
「悪ぃな。」
「この形態でのパワーコントロールが、まだイマイチよく慣れてなくって。」
〝フッ〟と笑みを浮かべた俺を、鋭く睨むリザードマンロードの周囲で、ポーションを用いた[四将軍]が回復してゆく。
「我々が時間を稼ぎますので、陛下も治癒なさってください。」
そう伝えた[赤色トカゲ]が、
「押して参る!」
ビーバー&カエルと一緒にダッシュした。
ちなみに、カモノハシは、再び“鉛玉”を発射している。
ともあれ。
俺は、
「束になったところで、無意味だということを、教えてやろう。」
このように述べるのと共に、“常闇の剣”を抜いたのである。
そうして、左端のビーバーに、武器を縦へと振るった。
更には、〝返す刀〟で、中央の[赤いトカゲ]に、常闇を横に払う。
右端の蛙は、剣で刺したのである。
ビーバーは左の肩から膝あたりを、赤色トカゲは腹を、カエルは右胸を、それぞれに負傷して倒れたのだった。
俺と目が合ったカモノハシは、〝ビクッ!!〟として、攻撃が自然とストップしたみたいだ。
“HP回復ハイポーション”を摂取したらしいリザードマンロードは、憤怒の形相で、俺へと歩いてくる。
〝すぅ――ッ〟と息を吸った[リザードマンの王]が、
「縦断!」
武器を振り下ろしてきた。
これを、左の籠手で〝ガツン!!〟と受けたところ、なおも力で押そうとしてきたのである。
しかし。
〝ピクリ〟ともしない状況に、リザードマンロードは唖然としたのであった。
「……。」
少し考えて、
「お前は拳で捩じ伏せるとすっか。」
こう決めた俺は、常闇を鞘に収め、左足を踏み込んで、“右ストレート”をボディにくらわせたのである。
今度は、おもいっきり殴ったので、鎧の一部が砕け散りながら、かなり後方へと吹き飛んだ。
その光景に戦意を喪失したのであろう[四将軍]は、固まっていた。
いささか宙に浮いて、[リザードマンの王]に寄った俺が、
「ここで負けを認めれば、命は保障してやる。」
「だが。」
「まだ続けるつもりなら、お前と最高幹部どもは殺す。」
「好きなほうを選べ。」
こう告げたところ、リザードマンロードが軽く両手を挙げて“降参”の意を示したのである。
それによって、[四将軍]も観念したらしい…。
[植物の王]などに、ふと視線を送ったところ、クレリックたるカピバラの【加護】で、有利に展開していた。
[ヒポポタマスロード]及び“三将軍”の一匹ずつに、二体が対応しているのも、功を奏したようだ。
余談かもしれないが、あちらは“背丈175㎝で【武闘家】のオランウータン・身長160㎝で【剣士】のサンショウウオ・背丈145㎝で【騎士】のアライグマ”といった面子だった。
さて。
「破壊!!」
[カバの女王]による“ハンマー”が、左腕に当って、直径50㎝の範囲が陥没しながらも、いっさい構わずに[シャンブリング・マウンド]が右手を伸ばす。
途端に、茎と枝が5つに分かれながら、[ヒポポタマスロード]の首や四肢に絡み付き、そのまま締め上げていく。
「ぐッ、うぅッ。」
苦しむ[カバの女王]に近づいて、
「リザードマンたちは俺への従属を決めたぞ!!」
「お前らは、どうする!?」
このように投げかけたところ、
「……、あなた、がたの、勝利と、いたし、ましょう。」
途切れがちで喋ったのであった―。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。
みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ!
そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。
「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」
そう言って俺は彼女達と別れた。
しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
修行マニアの高校生 異世界で最強になったのでスローライフを志す
佐原
ファンタジー
毎日修行を勤しむ高校生西郷努は柔道、ボクシング、レスリング、剣道、など日本の武術以外にも海外の武術を極め、世界王者を陰ながらぶっ倒した。その後、しばらくの間目標がなくなるが、努は「次は神でも倒すか」と志すが、どうやって神に会うか考えた末に死ねば良いと考え、自殺し見事転生するこができた。その世界ではステータスや魔法などが存在するゲームのような世界で、努は次に魔法を極めた末に最高神をぶっ倒し、やることがなくなったので「だらだらしながら定住先を見つけよう」ついでに伴侶も見つかるといいなとか思いながらスローライフを目指す。
誤字脱字や話のおかしな点について何か有れば教えて下さい。また感想待ってます。返信できるかわかりませんが、極力返します。
また今まで感想を却下してしまった皆さんすいません。
僕は豆腐メンタルなのでマイナスのことの感想は控えて頂きたいです。
不定期投稿になります、週に一回は投稿したいと思います。お待たせして申し訳ございません。
他作品はストックもかなり有りますので、そちらで回したいと思います
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる