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- 最終期・全身にて全霊を賭けて -

第309話 南陸攻防戦・終-後編

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地面に落ちた[氷の塊]が〝スーッ〟と消える。

「ま、本気じゃなかったから、そんなもんだろうな。」

呟いた俺に、駆けて来た[リザードマンの王]が、“槍”を繰り出す。

間髪入れずに突きまくってくるところを、ことごとかわしつつ、

「たいした事ねぇな。」

こう述べた俺は、〝ズイッ〟と距離を詰めた。

その流れで、驚いて動きが止まった[リザードマンロード]の腹部を、右足で〝ドンッ!〟と蹴ったのである。

5Mほど〝ズザザザザーッ〟と後ろに退がった[リザードマンの王]は、

「がはッ!!」

血を吐いて、右膝を屈したのであった。

見れば“鎧”にひびが生じている。

わりぃな。」
「この形態でのパワーコントロールが、まだイマイチよく慣れてなくって。」

〝フッ〟と笑みを浮かべた俺を、鋭く睨むリザードマンロードの周囲で、ポーションを用いた[四将軍]が回復してゆく。

「我々が時間を稼ぎますので、陛下も治癒なさってください。」

そう伝えた[赤色トカゲ]が、

「押して参る!」

ビーバー&カエルと一緒にダッシュした。

ちなみに、カモノハシは、再び“鉛玉”を発射している。

ともあれ。

俺は、

「束になったところで、無意味だということを、教えてやろう。」

このように述べるのと共に、“常闇とこやみつるぎ”を抜いたのである。

そうして、左端のビーバーに、武器を縦へと振るった。

更には、〝返す刀〟で、中央の[赤いトカゲ]に、常闇を横に払う。

右端のカエルは、剣で刺したのである。

ビーバーは左の肩から膝あたりを、赤色トカゲは腹を、カエルは右胸を、それぞれに負傷して倒れたのだった。

俺と目が合ったカモノハシは、〝ビクッ!!〟として、攻撃が自然とストップしたみたいだ。

“HP回復ハイポーション”を摂取したらしいリザードマンロードは、憤怒の形相で、俺へと歩いてくる。

〝すぅ――ッ〟と息を吸った[リザードマンの王]が、

「縦断!」

武器を振り下ろしてきた。

これ・・を、左の籠手こてで〝ガツン!!〟と受けたところ、なおも力で押そうとしてきたのである。

しかし。

〝ピクリ〟ともしない状況に、リザードマンロードは唖然としたのであった。

「……。」

少し考えて、

「お前はこぶしで捩じ伏せるとすっか。」

こう決めた俺は、常闇を鞘に収め、左足を踏み込んで、“右ストレート”をボディにくらわせたのである。

今度は、おもいっきり殴ったので、鎧の一部が砕け散りながら、かなり後方へと吹き飛んだ。

その光景に戦意を喪失したのであろう[四将軍]は、固まっていた。

いささか宙に浮いて、[リザードマンの王]に寄った俺が、

「ここで負けを認めれば、命は保障してやる。」
「だが。」
「まだ続けるつもりなら、お前と最高幹部どもは殺す。」
「好きなほうを選べ。」

こう告げたところ、リザードマンロードが軽く両手を挙げて“降参”の意を示したのである。

それによって、[四将軍]も観念したらしい…。


[植物の王]などに、ふと視線を送ったところ、クレリックたるカピバラの【加護】で、有利に展開していた。

[ヒポポタマスロード]及び“三将軍”の一匹ずつに、二体が対応しているのも、功を奏したようだ。

余談かもしれないが、あちらは“背丈175㎝で【武闘家】のオランウータン・身長160㎝で【剣士】のサンショウウオ・背丈145㎝で【騎士】のアライグマ”といった面子だった。

さて。

「破壊!!」

[カバの女王]による“ハンマー”が、左腕に当って、直径50㎝の範囲が陥没しながらも、いっさい構わずに[シャンブリング・マウンド]が右手を伸ばす・・・

途端に、茎と枝が5つに分かれながら、[ヒポポタマスロード]の首や四肢に絡み付き、そのまま締め上げていく。

「ぐッ、うぅッ。」

苦しむ[カバの女王]に近づいて、

「リザードマンたちは俺への従属を決めたぞ!!」
「お前らは、どうする!?」

このように投げかけたところ、

「……、あなた、がたの、勝利と、いたし、ましょう。」

途切れがちで喋ったのであった―。
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