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- 第三期・この世界の歴史と未来 -

第129話 弓士&もう一つの新ジョブ

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森人族の長によると、【弓士きゅうし】というのは、狙撃手から稀に派生するレアジョブとの事だ。

他には、【投擲手とうてきしゅ】にランクアップする者もいるらしい。

まず、“狙撃手”は、弓矢/パチンコ(石)/銃を装備できるようだが、レベルが低いうちの命中率は40%で、高レベルになれば80%になるそうだ。

“投擲手”は、投げられる物質であれば何でも装備できるらしい。

俺らの世界における、槍投げ・砲丸投げ・円盤投げ・ハンマー投げ、みたいなものだろう。

そういう意味では、投げられさえすればいいのだから、剣や盾に兜もOKみたいだ。

ただし、どれを投擲しても、命中率は70%である。

さて、“弓士”だが…、このジョブは、弓系統のみしか装備できなくなるそうだ。

その代わり、命中率は100%になるらしい。

まさに、狙った的は外さない[百発百中]の腕前を誇る職種とのことだった。

それ以外の情報としては、弓士も、投擲手も、全ステータスが狙撃手の1.5倍になるらしい。

どうやら、二年生の弓道部エースは、これまでの積み重ねに加え、オーク軍のソーサラーと、バード軍のハーピーとの戦いで、条件を満たしたようだ。

これは、経験値というよりは、熟練度(ジョブポイント)みたいなものらしい。

ただ、この“熟練度”は可視化されないので、詳細は不明である。

あしからず。


「いいのか?」
「アーティファクトを譲ってもらって。」

と訊ねる俺に、エルフの国主が、

「ええ、構いません。」
「なにせ、“爆裂の弭槍はずやり”は、弓士にしか扱えませんので。」
これ・・は、先々代の国主が使っていたアーティファクトらしいのですが…、以降は、誰も装備できずにいました。」
「エルフ族から“弓士”が誕生しなかったので。」
「このままわたくしどもの手元に置き続けたとしても、宝の持ち腐れになり兼ねませんので、どうぞ有効活用してください。」

と、述べた。

俺が、弓道部エースを、

「じゃあ、遠慮なく貰っておけよ。」
「役に立つのであれば、それに越したことはないし、な。」

と促す。

「では、お心遣いに感謝して…。」

と、頭を下げながら、両手で弭槍を受け取った彼女に、

「扱い方を説明しておきましょう。」

と森人族の長が微笑んだ。


二年生の弓道部エース改め“弓士”が、弭槍を構えて、つるを引くと、ホワイト色とオレンジ色が混ざり合った矢が、自動的に出現・・・・・・した。

「あの大きめの岩をってみてください。」

との国主の言葉に従い、弓士が、20Mぐらい離れた位置にある岩を狙う。

ビュオッ!!

と、飛んでいった矢が当たるなり、

ドォオオオンッ!!!!

と爆発して、大岩を粉々にしたのである。

更に、森人族の長によれば、槍の部分で対象物を突いたり切ったりしても、爆破が起きるとの事だった。

ちなみに、この弭槍には、邪神どもによる呪いは掛かっていない。

「こんなにも素晴らしい武器を戴けるだなんて…、本当にありがとうございます。」

と弓士が再び会釈する。

「いいなぁ~。」
「ボクも、そういうの欲しいッス!」

と、一年生の武闘家が羨ましがった。

「あなたは…、ジョブが“武術士”に進化しているみたいですから、世界の何処かに有る、専用のアーティファクトを使用できますよ。」

と教えてくれたエルフの国主に、

「マジっスか?!」
「くぅ~ッ、チョー楽しみッス!!」

と、ボクっ娘が瞳を輝かせる。

彼女も今日こんにちに至るまでのバトルで、ジョブチェンジする程の熟練度を稼いでいたようだ。

ここら辺の違いはというと…、武闘家が装備できるのは、爪系(鉄の爪など)/トンファ―/ヌンチャクだが、武術士になれば、三節棍さんせつこん/細剣/中剣/槍がプラスされるらしい。

また、武術士も、全ステータスが武闘家の1.5倍になるそうだ。

この一連に、

「負けてられませんね~ッ。」

と対抗意識を燃やしたのは、一年生書記の【クレリック】だった―。
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