13 / 350
- 第一期・異世界召喚 -
第13話 鉄槌
しおりを挟む
定刻になった。
北門の外には、大将軍率いる25万人の兵と、勇者一行402名に、王城で性活している約2000体のモンスターが揃い踏みしている。
ちなみに、中将軍と小将軍は留守番だ。
賢者が、
「私を中心に円陣を組んでください。」
と言ったので、そのようにした。
賢者が両手で持った杖の先を地面に着けて、両眼を閉じ、意識を集中していくと、全員がスッポリと収まるほど大きくて白い魔法陣が現れた。
カッと目を見開いた賢者が、
「瞬間転移!」
と、唱えた次の瞬間、景色が一変したので、皆が、
「おおーッ。」
と感嘆した。
それを他所に、賢者が、
「あまりにも至近距離だと敵にバレて直ぐに戦闘になるかと思いましたので、少し離れた場所に移動させていただきました。」
そう述べたので、
「構わん。」
と返した。
「私はもう歳ですので、戦に参加するのは厳しゅうございます。それと、例の“ライフル”を作成したいので、これで失礼しても構いませんでしょうか?」
との事だったので、
「ああ、良いだろう。」
「また明日にでも連絡する。」
と、承諾した。
すると賢者は自分の足元にだけ魔法陣を展開させて、
「それではこれにて。」
と頭を下げ、俺たちの前から〝シュンッ!〟と消えた。
「さて…。」
背中に翼を出現させて宙に浮いた俺が周りを見渡してみたところ、要塞までは西へ200M程の距離がありそうだった。
「俺は先に行く!お前たちは大将軍の号令に従え!!」
と下知して、要塞へと飛行する。
後方からの、
「全軍! 速やかに隊列を整えよッ!!」
との大将軍の指示を聞きながら、スピードアップしていく。
グングンと距離が縮まり、その全貌が見えてきた。
10万人が生活できる程に広い要塞都市は丘の上に存在している。
いびつな円形状の丘を石レンガで補強しており、この丘自体は7~8Mの高さがあるようだ。
そんな丘の上には、高さ12~13Mで三層になっている砦が東西南北の端に1つずつ、都市の中心には2階建ての屋敷が、これらの砦と屋敷の狭間に沢山の平屋が見受けられる。
要塞を包囲している200万の敵軍は、魔法や矢で攻撃している者たち、外壁に掛けた梯子を登ろうとしている連中、門を破壊しようとしている奴ら、突進するタイミングを窺って待機している群衆、といった具合に4つのチームに分かれていた。
要塞を守る兵たちも、魔法や矢などで応戦している。
この要塞都市のほぼ中心あたりの上空でストップした俺は、両の掌を掲げた。
地面から50Mぐらいの位置(空)に、要塞都市の倍はある大きさの黄色い魔法陣が出現する。
敵も味方も関係なくこれに気付いた者たちが、
「なんだあれは?」
「ここまで巨大な魔法陣は見たことがない。」
「あそこに何かいるぞ!」
「魔物? いや、人か!?」
と、騒ぎ出した。
俺は、それらを聞き流しながら、厳かに、
「神の如き鉄槌を受けよ。」
と言葉を発して、勢いよく両手を振り下ろした。
同時に、無数の雷が、要塞都市を避けつつ、敵軍に落ちていく。
視界を奪われる激しい稲光に伴い、
ズバババババババババババババアアァァンッ!!!!
と、耳を劈く凄まじい音が響き渡った。
1000ポイントのMPを使用した攻撃に、敵軍の半数が真っ黒こげになる。
誰とも判別つかない遺体が、2~3秒後には灰塵と化し、風に吹かれ逝く。
生き残った人々は事態を呑み込めずにいたが、その場から軍馬たちが逃げ出した事によって我に返り、
「うわぁあああッああッ!!!!」
と絶叫しながら方々に散っていく。
なかには、何度も足がもつれて転がる連中や、腰を抜かして立ち上がれず這うようにして去っていく奴らもいた。
悲しいかな、そこに突撃してきた大将軍たちに狩られていく者も少なくない。
『皆、深追いはするな。』
『それから、魔物たちは敵を捕食して良いものとする。』
この【伝言】に、モンスター達が喜び勇む。
余談だが、普段は、城の料理人たちが、彼らに動物の生肉や生野菜を提供してくれている。
遠ざかる喧騒を認めながら、俺は要塞都市へと下降していった―。
北門の外には、大将軍率いる25万人の兵と、勇者一行402名に、王城で性活している約2000体のモンスターが揃い踏みしている。
ちなみに、中将軍と小将軍は留守番だ。
賢者が、
「私を中心に円陣を組んでください。」
と言ったので、そのようにした。
賢者が両手で持った杖の先を地面に着けて、両眼を閉じ、意識を集中していくと、全員がスッポリと収まるほど大きくて白い魔法陣が現れた。
カッと目を見開いた賢者が、
「瞬間転移!」
と、唱えた次の瞬間、景色が一変したので、皆が、
「おおーッ。」
と感嘆した。
それを他所に、賢者が、
「あまりにも至近距離だと敵にバレて直ぐに戦闘になるかと思いましたので、少し離れた場所に移動させていただきました。」
そう述べたので、
「構わん。」
と返した。
「私はもう歳ですので、戦に参加するのは厳しゅうございます。それと、例の“ライフル”を作成したいので、これで失礼しても構いませんでしょうか?」
との事だったので、
「ああ、良いだろう。」
「また明日にでも連絡する。」
と、承諾した。
すると賢者は自分の足元にだけ魔法陣を展開させて、
「それではこれにて。」
と頭を下げ、俺たちの前から〝シュンッ!〟と消えた。
「さて…。」
背中に翼を出現させて宙に浮いた俺が周りを見渡してみたところ、要塞までは西へ200M程の距離がありそうだった。
「俺は先に行く!お前たちは大将軍の号令に従え!!」
と下知して、要塞へと飛行する。
後方からの、
「全軍! 速やかに隊列を整えよッ!!」
との大将軍の指示を聞きながら、スピードアップしていく。
グングンと距離が縮まり、その全貌が見えてきた。
10万人が生活できる程に広い要塞都市は丘の上に存在している。
いびつな円形状の丘を石レンガで補強しており、この丘自体は7~8Mの高さがあるようだ。
そんな丘の上には、高さ12~13Mで三層になっている砦が東西南北の端に1つずつ、都市の中心には2階建ての屋敷が、これらの砦と屋敷の狭間に沢山の平屋が見受けられる。
要塞を包囲している200万の敵軍は、魔法や矢で攻撃している者たち、外壁に掛けた梯子を登ろうとしている連中、門を破壊しようとしている奴ら、突進するタイミングを窺って待機している群衆、といった具合に4つのチームに分かれていた。
要塞を守る兵たちも、魔法や矢などで応戦している。
この要塞都市のほぼ中心あたりの上空でストップした俺は、両の掌を掲げた。
地面から50Mぐらいの位置(空)に、要塞都市の倍はある大きさの黄色い魔法陣が出現する。
敵も味方も関係なくこれに気付いた者たちが、
「なんだあれは?」
「ここまで巨大な魔法陣は見たことがない。」
「あそこに何かいるぞ!」
「魔物? いや、人か!?」
と、騒ぎ出した。
俺は、それらを聞き流しながら、厳かに、
「神の如き鉄槌を受けよ。」
と言葉を発して、勢いよく両手を振り下ろした。
同時に、無数の雷が、要塞都市を避けつつ、敵軍に落ちていく。
視界を奪われる激しい稲光に伴い、
ズバババババババババババババアアァァンッ!!!!
と、耳を劈く凄まじい音が響き渡った。
1000ポイントのMPを使用した攻撃に、敵軍の半数が真っ黒こげになる。
誰とも判別つかない遺体が、2~3秒後には灰塵と化し、風に吹かれ逝く。
生き残った人々は事態を呑み込めずにいたが、その場から軍馬たちが逃げ出した事によって我に返り、
「うわぁあああッああッ!!!!」
と絶叫しながら方々に散っていく。
なかには、何度も足がもつれて転がる連中や、腰を抜かして立ち上がれず這うようにして去っていく奴らもいた。
悲しいかな、そこに突撃してきた大将軍たちに狩られていく者も少なくない。
『皆、深追いはするな。』
『それから、魔物たちは敵を捕食して良いものとする。』
この【伝言】に、モンスター達が喜び勇む。
余談だが、普段は、城の料理人たちが、彼らに動物の生肉や生野菜を提供してくれている。
遠ざかる喧騒を認めながら、俺は要塞都市へと下降していった―。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ユウ
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
異世界の片隅で引き篭りたい少女。
月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!
見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに
初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、
さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。
生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。
世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。
なのに世界が私を放っておいてくれない。
自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。
それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ!
己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。
※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。
ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。
勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~
名無し
ファンタジー
突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。
自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。
もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。
だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。
グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる