Arousal of NPC‘s

ネコのうた

文字の大きさ
上 下
29 / 96
Chapter 1/最初の国

№29 リスタート①

しおりを挟む
およそ1時間後――。
フラルン帝国の都にある[中央広場]の北側にて。
ボブショートの黒髪に、瞳が緑で、肌は褐色といった、10代後半の“イケメン女子”が、
「揃ったわね。」
「それじゃあ、行きましょう。」
仲間を促した。
どうやら、シューラたちが[西の町]の防具屋あたりで出会った一同みたいだ。
10歳ぐらいから60代ほどまでの男女の集まりで、粛々とした雰囲気である。
その面子は、“イケジョ”が[横長の超薄型画面]を操作したことによって、何処かへと【テレポート】したのであった。
 
彼女らが居た位置より、いささか南に離れた所では、
「どうするぅ~??」
キエラと、
「そうだなぁ、アイテムとかの充実か、クエストの受注か、どっちを優先しようかー??」
クーガを軸に、[Teamチーム Kケイ]が各自でイチャついている。
 
[サークルスクエア円形広場]の東側で、
「まずは、いろいろと換金するか?」
「そこから〝武器と防具を新しく整える〟という考えで問題ねぇかな??」
パーティーメンバーを窺ったのは、シリウスだった。
「ん。」
「そうしよう。」
静かに頷いたシューラによって、[Team Sエス]の方針が決定したのである。
 
広場の中心に、続々とログインしてきたのは、[イッチューズ]のようだ。
「何から始める?」
“金髪サラサラショート”のニケに問われ、
「んん~、……。」
自身の腕を組んで考え込んだヤトに、
「猫を探したときみたいなクエストを受けない??」
カリンが提案したところ、
「いいわね。」
“黒髪ショート”たるセブンや、
「面白そぉう。」
“銀色ゆるふわセミロングヘアー+狼の耳&尻尾”といったエイトが、好反応を示した。
「むぅー。」
「俺としては、冒険がしたいんだが…。」
「ま、いいか。」
ヤトが半ば諦めた様子で承諾したものの、
「ただぁしッ!!」
「その次は、旅に出るからな!」
「これは絶対に譲らないぞ!!」
そう宣言したのである。
「はい、はい。」
「分かりましたぁ~。」
「そうしましょうねぇー。」
穏やかながらも上から目線のカリンに対して、
「子ども扱いかよ!」
ヤトがツッコミを入れるなり、5人が〝ドッ!!〟と笑ったのであった。
「お前ら、バカにしてんだろ?」
眉間にシワを寄せたヤトを、
「そんな事ないよ。」
「まぁ、落ち着いて。」
“スポーツ刈りライトブラウン”のクマッシーが優しくなだめる。
「だったら、いいけど。」
軽く〝ふぅ〟と息を吐き、
「じゃあ、ギルドに移動すっか。」
場を纏めるヤトだった……。
 
 

帝都の“北西エリア”に在る[換金所]にて。
ジュエルなどの売却を済ませたシリウスが、
「で??」
「先に、どっちに赴く?」
後ろに控えている皆に訊ねる。
「なんとなく…、防具を選ぶ??」
首を傾げた“金髪の剣士”に、
「シューラちゃんが、それで良いなら、誰も異論は無いわよぉ~。」
セイランが〝ニコニコ〟しながら賛成した。
「確かにな。」
〝フッ〟と笑みを零したシリウスは、【テレポーテーション】すべく[MAP地図]を開いたのである。
 
この後。
遺跡調査団の護衛で貰っていた報酬もあって、予算ギリギリで“鉄製の防具&武器”を買い揃えた[Team S]であった。
 
 

中学生グループは、[ノースイースト北東ギルド]に訪れている。
受付うけつけカウンターにて、
「じゃ、〝ある落とし物を探す〟で。」
リーダーのヤトが述べたら、
「かしこまりました。」
「それでは、詳細を、お伝えします。」
「……、さる貴族の夫人が、イヤリングの片方を失くしてしまったそうです。」
「なんでも、お忍びで都を散歩なさっていたところ、どこかで落とされてしまわれたらしく…、北か東の大通りかもしれないとの話しでしたが、詳細は不明となっています。」
「ご婦人としては、旦那様からの贈り物であり、大層お気に召されていたこともあって、無理を承知で見つけてほしい、との依頼でした。」
「なお、期限は、二日です。」
「それと、発見したイヤリングは当ギルドに持ち込んでください。」
「我々のほうで、お屋敷に連絡して、引き取っていただく約束になっておりますので……。」
「ここまで御理解いただけましたでしょうか?」
「もう一度お聞きになりますか??」
そのように喋る“女性NPC”だった―。
 
 
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 
[Team S]に関する情報/女性編・パート1
 
名前:シューラ
年齢:13歳
身長:152㎝
容姿:金髪セミロング/青い瞳/白肌
ジョブ:剣士
LV:6
HP:60
SP:48
MP:無
武器:鉄製の“中剣”
防具:鉄の“額当て/肩当て/胸当て/籠手こて/腰回り/すね当て”
攻撃力:基本78+装備品35=総計118
防御力:基本54+装備品230=総計284
素早さ:基本63-装備品の重量18=総計45
スキル:未収得
 
名前:セイラン
年齢:20歳
身長:160㎝
容姿:茶髪ゆるふわセミロング/黒い瞳/白肌
ジョブ:白魔術士
LV:5
HP:35
SP:無
MP:75
武器:鉄製の柄(長さ1.5M)に半球体で透明のクリスタルが付属している“魔法の杖”
防具:鉄の“サークレット/胸当て/ひじ当て/ひざ当て”
     ホワイトのローブ
攻撃力:基本30+装備品25=総計55
防御力:基本25+装備品200=総計225
素早さ:基本45-装備品の重量15=総計30
魔法:ソロヒール
  インタフィア・リリース障害解除 (※現時点での効果はソロ)
 
名前:シエル
年齢:35歳
身長:163㎝
容姿:銀髪ショート/緑の瞳/黒肌
ジョブ:アサシン
LV:5
HP:43
SP:48
MP:無
武器:鉄製の“ダガー短剣
防具:鉄の“額当て/胸当て/籠手/脛当て”
攻撃力:基本38+装備品30=総計68
防御力:基本35+装備品200=総計235
素早さ:基本75-装備品の重量16=総計57
スキル:毒 (※現時点での効果は小)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

放置された公爵令嬢が幸せになるまで

こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。

転生令嬢は現状を語る。

みなせ
ファンタジー
目が覚めたら悪役令嬢でした。 よくある話だけど、 私の話を聞いてほしい。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……

karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

女性として見れない私は、もう不要な様です〜俺の事は忘れて幸せになって欲しい。と言われたのでそうする事にした結果〜

流雲青人
恋愛
子爵令嬢のプレセアは目の前に広がる光景に静かに涙を零した。 偶然にも居合わせてしまったのだ。 学園の裏庭で、婚約者がプレセアの友人へと告白している場面に。 そして後日、婚約者に呼び出され告げられた。 「君を女性として見ることが出来ない」 幼馴染であり、共に過ごして来た時間はとても長い。 その中でどうやら彼はプレセアを友人以上として見れなくなってしまったらしい。 「俺の事は忘れて幸せになって欲しい。君は幸せになるべき人だから」 大切な二人だからこそ、清く身を引いて、大好きな人と友人の恋を応援したい。 そう思っている筈なのに、恋心がその気持ちを邪魔してきて...。 ※ ゆるふわ設定です。 完結しました。

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

処理中です...