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Chapter 1/最初の国
№17 不和
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ゾースの後ろから、ゼシューたち[Team Z]が項垂れがちで付いて来ていた。
ヤトの右隣で、[受け付けの若い男性NPC]に、
「ここのギルドのクエストは!?」
喧嘩腰で[戦士のゾース]が問う。
「逃げたペットを捕まえる。」
「都から最西端の村まで新品の農具を届けてあげる。」
「以上の二つとなります。」
[ノンプレイヤーキャラクター]が答えたところ、
「じゃあ、農具だ!!」
すぐさまゾースが返したのである。
「なッ?!」
「ちょっと待て!」
「戦闘の可能性がある依頼は、一旦、避けるべきだろ!!」
「このまま冒険するのは無謀だぞ!」
「俺達が置かれている状況を分かっていないのか!?」
[剣士のライザ]に責められ、
「あぁあんッ?!!」
「何度も同じこと言わせんじゃねぇ!」
「テメェらは黙ってオレ様に従えや!!」
「〝ペットを捕まえる〟なんて、かったりぃ事やってられっかよ!」
ゾースが“逆ギレ”した。
その間に、
「ヤト、もう済ませたんだろ?」
「だったら早く行こう。」
「女子たちが怖がってる。」
耳元でニケに促され、
「お、おう。」
茫然としていたリーダーが反応を示す。
これによって、中学生男女六人組が〝そそくさ〟と外に向かう。
屋内では、
「だったら、せめて、入手しているジュエルとアイテムを売却してポーション類などを買うべきでしょ。」
「じゃなければ、アンタ一人で旅に出なさいよ!」
[女武闘家のジリ―]が啖呵を切る。
「んだとぉ。」
怒りを露わにしようとしたゾースを遮り、
「そういうのは許可されているんだったわよね??」
「私達の場合、解散は認められないらしいけど…。」
[白魔術士のゼシュー]に確認したのは、[女性陰陽師のゼン]であった。
「あー、……、うん。」
「常に一緒じゃなく、別々に行動するのはOKだよ。」
「ただし、リーダーしかクエストの受注登録が出来ないけどね。」
ゼシューが述べたら、
「構わないわよ。」
「こんな独裁者に虐げられ続けるぐらいなら、目標を達成できずに命を落としたとしても。」
「それだと、結局、ゾースも困る訳だし。」
ジリ―が告げたのである。
「く…ッ。」
孤立しかけながらも、
「……、いいだろう。」
「このあと“換金所”に行ってやる。」
「だが!!」
「これからは反抗すんじゃねぇぞ!」
「ザイラみてぇにボコられたくなかったらなッ!!」
強気の態度を崩さなかったゾースが、[受付の男]に話しかけ直す。
そんな背中を憎らしそうに睨むメンバーだった…。
▽
[イッチューズ]は、帝都の北西地区に在る“コロッセウム”の南側に【テレポーテーション】したらしい。
6名は緊張から解放されたかのように〝はぁ――っ〟と息を吐いた。
「あれって、何分か前に、門あたりで揉めてた人達よね?」
セブンの質問によって、
「ああ、間違いなさそうだ。」
ニケも思い出したみたいだ。
一方で、平常心を取り戻したカリンが、正面の“大きな施設”を見上げ、
「この建物って、なぁに?」
こう訊ねた。
「あぁー、“闘技場”だろうな、きっと。」
「過去の二作品では、プレイヤー同士での試合が可能だったり、NPCとのリーグ戦が開催されていたんだぜ。」
「ソロでもパーティーでも参加は自由で」と、ヤトが語っていくも、
「それは、また今度にしない??」
クマッシーに止められたのである。
その流れで、
「あの人たちも、僕らと同じクエストを受けるみたいだったから、急ごうよ。」
「もう、なるべく、鉢合わせになりたくないでしょ? 皆。」
クマッシーの意見に、
「うん、うん!」
「そうしよう!!」
激しく賛成したのは、エイトであった。
▽
西に暫く歩いたヤト達は、“石造りで二階建ての家屋”に到着している。
黒い鉄扉に備えられている“呼び鈴”を、リーダーが〝カラン カラン カラン カラン〟と鳴らした。
これによって、
「はぁい??」
茶髪セミロングを一本に束ねている“20代半ばの男性”が、ドアを開けたのである。
「どちら様で?」
弟子であろうNPCに窺われ、
「農具の件で…。」
ヤトが伝えたら、
「おぉ―!」
「冒険者さんでしたか!!」
「師匠に紹介しますので、どうぞ中へ!」
嬉しそうにしたのだった……。
一階は[鍛冶場]となっており、〝トン!! テン! カン!! テン!〟〝トン!! テン! カン!! テン!〟と、リズミカルで心地の良い音が響き渡っている。
主導権を握っているのは“角刈り白髪で60代前半の男”であった。
まさに[棟梁]といった風貌だ。
その側にいるのは“金髪ショートで30代後半の男性”である。
おそらく彼も弟子なのだろう。
親方であろう職人に、“茶髪セミロング”が耳打ちした。
中断して、
「おう、そうか。」
「悪いが、俺は手を離せねぇから、詳しいことはソイツに聞いてくれや。」
[イッチューズ]に喋り終えた棟梁が、作業を再開したところで、“茶髪セミロング”の頭上に[金色のダイヤマーク]が現れたのである。
改めてヤトが声をかけたら、
「では…、あちらの壁に立て掛けられている商品を、代表の方のアイテムボックスに送らせていただきます。」
こう述べたのである。
内訳としては“鋤×10/鍬×15/草刈り鎌×20”といった数量だった。
「村長さんに農具を渡して、受領書を貰って来てください。」
「うちの師匠が報酬を支払いますので。」
「それでは、よろしくお願いします。」
NPCに伝えられて、“西門”に移る事にした[イッチューズ]であった―。
ヤトの右隣で、[受け付けの若い男性NPC]に、
「ここのギルドのクエストは!?」
喧嘩腰で[戦士のゾース]が問う。
「逃げたペットを捕まえる。」
「都から最西端の村まで新品の農具を届けてあげる。」
「以上の二つとなります。」
[ノンプレイヤーキャラクター]が答えたところ、
「じゃあ、農具だ!!」
すぐさまゾースが返したのである。
「なッ?!」
「ちょっと待て!」
「戦闘の可能性がある依頼は、一旦、避けるべきだろ!!」
「このまま冒険するのは無謀だぞ!」
「俺達が置かれている状況を分かっていないのか!?」
[剣士のライザ]に責められ、
「あぁあんッ?!!」
「何度も同じこと言わせんじゃねぇ!」
「テメェらは黙ってオレ様に従えや!!」
「〝ペットを捕まえる〟なんて、かったりぃ事やってられっかよ!」
ゾースが“逆ギレ”した。
その間に、
「ヤト、もう済ませたんだろ?」
「だったら早く行こう。」
「女子たちが怖がってる。」
耳元でニケに促され、
「お、おう。」
茫然としていたリーダーが反応を示す。
これによって、中学生男女六人組が〝そそくさ〟と外に向かう。
屋内では、
「だったら、せめて、入手しているジュエルとアイテムを売却してポーション類などを買うべきでしょ。」
「じゃなければ、アンタ一人で旅に出なさいよ!」
[女武闘家のジリ―]が啖呵を切る。
「んだとぉ。」
怒りを露わにしようとしたゾースを遮り、
「そういうのは許可されているんだったわよね??」
「私達の場合、解散は認められないらしいけど…。」
[白魔術士のゼシュー]に確認したのは、[女性陰陽師のゼン]であった。
「あー、……、うん。」
「常に一緒じゃなく、別々に行動するのはOKだよ。」
「ただし、リーダーしかクエストの受注登録が出来ないけどね。」
ゼシューが述べたら、
「構わないわよ。」
「こんな独裁者に虐げられ続けるぐらいなら、目標を達成できずに命を落としたとしても。」
「それだと、結局、ゾースも困る訳だし。」
ジリ―が告げたのである。
「く…ッ。」
孤立しかけながらも、
「……、いいだろう。」
「このあと“換金所”に行ってやる。」
「だが!!」
「これからは反抗すんじゃねぇぞ!」
「ザイラみてぇにボコられたくなかったらなッ!!」
強気の態度を崩さなかったゾースが、[受付の男]に話しかけ直す。
そんな背中を憎らしそうに睨むメンバーだった…。
▽
[イッチューズ]は、帝都の北西地区に在る“コロッセウム”の南側に【テレポーテーション】したらしい。
6名は緊張から解放されたかのように〝はぁ――っ〟と息を吐いた。
「あれって、何分か前に、門あたりで揉めてた人達よね?」
セブンの質問によって、
「ああ、間違いなさそうだ。」
ニケも思い出したみたいだ。
一方で、平常心を取り戻したカリンが、正面の“大きな施設”を見上げ、
「この建物って、なぁに?」
こう訊ねた。
「あぁー、“闘技場”だろうな、きっと。」
「過去の二作品では、プレイヤー同士での試合が可能だったり、NPCとのリーグ戦が開催されていたんだぜ。」
「ソロでもパーティーでも参加は自由で」と、ヤトが語っていくも、
「それは、また今度にしない??」
クマッシーに止められたのである。
その流れで、
「あの人たちも、僕らと同じクエストを受けるみたいだったから、急ごうよ。」
「もう、なるべく、鉢合わせになりたくないでしょ? 皆。」
クマッシーの意見に、
「うん、うん!」
「そうしよう!!」
激しく賛成したのは、エイトであった。
▽
西に暫く歩いたヤト達は、“石造りで二階建ての家屋”に到着している。
黒い鉄扉に備えられている“呼び鈴”を、リーダーが〝カラン カラン カラン カラン〟と鳴らした。
これによって、
「はぁい??」
茶髪セミロングを一本に束ねている“20代半ばの男性”が、ドアを開けたのである。
「どちら様で?」
弟子であろうNPCに窺われ、
「農具の件で…。」
ヤトが伝えたら、
「おぉ―!」
「冒険者さんでしたか!!」
「師匠に紹介しますので、どうぞ中へ!」
嬉しそうにしたのだった……。
一階は[鍛冶場]となっており、〝トン!! テン! カン!! テン!〟〝トン!! テン! カン!! テン!〟と、リズミカルで心地の良い音が響き渡っている。
主導権を握っているのは“角刈り白髪で60代前半の男”であった。
まさに[棟梁]といった風貌だ。
その側にいるのは“金髪ショートで30代後半の男性”である。
おそらく彼も弟子なのだろう。
親方であろう職人に、“茶髪セミロング”が耳打ちした。
中断して、
「おう、そうか。」
「悪いが、俺は手を離せねぇから、詳しいことはソイツに聞いてくれや。」
[イッチューズ]に喋り終えた棟梁が、作業を再開したところで、“茶髪セミロング”の頭上に[金色のダイヤマーク]が現れたのである。
改めてヤトが声をかけたら、
「では…、あちらの壁に立て掛けられている商品を、代表の方のアイテムボックスに送らせていただきます。」
こう述べたのである。
内訳としては“鋤×10/鍬×15/草刈り鎌×20”といった数量だった。
「村長さんに農具を渡して、受領書を貰って来てください。」
「うちの師匠が報酬を支払いますので。」
「それでは、よろしくお願いします。」
NPCに伝えられて、“西門”に移る事にした[イッチューズ]であった―。
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