上 下
77 / 81
黎明期

第77話 派生⑤

しおりを挟む

どうも、お久しぶりです。

[ルゴカータ]という王国で商会を営んでいる“ロレフ・ルヴェッキ”でございます。

ルシム大公殿下の御長男であられる“ルーザー様”より、カッフェアを入手するよう指示されました。

コーヒー・・・・という別名があるのは初耳でしたが、ま、いいでしょう。

そこら辺は追究しないほうが身のためです。

誰がコーヒーという呼び方をしているのか明らかにすべく、ルーザー様に直接お伺いしたり、単独で調べたとしても、良い結果には繋がらない気がします。

商人としての勘です。

私は、これによって、お店が潰れかねない局面を何度となく乗り越えてきました。

……、はぁー。

私の次男にも、そういうのが少しでも備わっていてほしかった今日この頃です。

とは言え。

愚息の“ロトーゾ”が暴走した事で、新たな商売を得られそうではあります。

いえ、決して褒めたりはしませんけどね。

あの子は人として鍛え直す必要があるので!

なお、私は、地元に帰ってきています。

店舗の二階に設けられている[執務室]にて、長男の“レンフィ”に経緯いきさつを伝えました。

25歳の彼は、“中背/筋肉質/金色短髪/日焼け肌/青色の瞳”です。

さておき…。

「カッフェアであれば、このサウスト大陸の北東に位置する国に有りますよね?」
「ですが、あそこは内乱中みたいなので、赴くのは危険でしょう。」
「治安が悪化しているに違いありませんからね。」
「生きて戻れる可能性は、かなり低いかと思われます。」
「それに、あの国の住民たちは商売どころではないのでは??」

このように長男が述べました。

さすがはレンフィ。

独自の情報収集と分析には、素晴らしいものがあります。

次男とは“雲泥の差”です。

ロトーゾに至っては、そういうことも怠るから……、やめておきましょう。

グチグチネチネチ、しつこくなりそうなので。

なにはともあれ。

「よく学んでいるな。」

長男を認めてあげた私は、

「父…、つまり、お前達兄弟の祖父が遺した記録によれば、他の地域にもカッフェアは存在しているみたいだ。」
サウエス・・・・大陸に近い“島”にな。」
「そのため、近日中に出発しようと思う。」
「私は訪れた事がないため、今回は船旅になる。」
「お前には、また留守を任せるので、よろしくな。」

こう告げました。

次男を更生させるのは後回しになってしまいますが、やむをえません。

ルシム大公殿下や[タケハヤしま]で損なわれてしまった我が商会の信頼を回復するのが先決です!!



[サウエス大陸]は、世界の南西に位置しています。

その東に在るのが[パニギア]という島です。

私は、“自宅”と“店舗”を交代で警備させている元冒険者のうち5名を連れて、船に乗り込みました。

「特別手当を出してあげるから」との約束で。

ちなみに、船長×1人/操縦士×2/船員×10/料理人×3の、[中型]です。

こうして、私などが住む王国から西へと進みます。

天候にも恵まれ、海の魔物に遭遇することなく、およそ半月後には、島に到着しました。

まぁ、二度ほど、魔物集団に襲われている海賊船を遠くに確認しましたが……。

そんなこんなで、港から、護衛者5人と目的地に向かいます。

[パニギアとう]には、まだ馬車もユニコーン車も無いらしく、そこからは徒歩でした。



四日が過ぎ、[カッフェアの木]が茂っている場に来ています。

周囲の人々によれば「誰の所有地でもない」「果実を持って行きたいなら勝手にどうぞ」「需要が無いのに物好きだなぁ」との話しでした。

このため、[小規模の亜空間収納]から取り出した麻袋に、詰めていく私です。

そうした最中に“ラタトスク”という魔獣が10匹ほど現れました。

約1M大の“リス”で、額に20㎝あたりの一本角いっぽんづのを有しています。

なかなか素早いですが、護衛者たちが殲滅してくれたのです―。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話

ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。 異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。 「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」 異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…

仔猫殿下と、はつ江ばあさん

鯨井イルカ
ファンタジー
魔界に召喚されてしまった彼女とシマシマな彼の日常ストーリー 2022年6月9日に完結いたしました。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

前世の記憶で異世界を発展させます!~のんびり開発で世界最強~

櫻木零
ファンタジー
20XX年。特にこれといった長所もない主人公『朝比奈陽翔』は二人の幼なじみと充実した毎日をおくっていた。しかしある日、朝起きてみるとそこは異世界だった!?異世界アリストタパスでは陽翔はグランと名付けられ、生活をおくっていた。陽翔として住んでいた日本より生活水準が低く、人々は充実した生活をおくっていたが元の日本の暮らしを知っている陽翔は耐えられなかった。「生活水準が低いなら前世の知識で発展させよう!」グランは異世界にはなかったものをチートともいえる能力をつかい世に送り出していく。そんなこの物語はまあまあ地頭のいい少年グランの異世界建国?冒険譚である。小説家になろう様、カクヨム様、ノベマ様、ツギクル様でも掲載させていただいております。そちらもよろしくお願いします。

ReBirth 上位世界から下位世界へ

小林誉
ファンタジー
ある日帰宅途中にマンホールに落ちた男。気がつくと見知らぬ部屋に居て、世界間のシステムを名乗る声に死を告げられる。そして『あなたが落ちたのは下位世界に繋がる穴です』と説明された。この世に現れる天才奇才の一部は、今のあなたと同様に上位世界から落ちてきた者達だと。下位世界に転生できる機会を得た男に、どのような世界や環境を希望するのか質問される。男が出した答えとは―― ※この小説の主人公は聖人君子ではありません。正義の味方のつもりもありません。勝つためならどんな手でも使い、売られた喧嘩は買う人物です。他人より仲間を最優先し、面倒な事が嫌いです。これはそんな、少しずるい男の物語。 1~4巻発売中です。

若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双

たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。 ゲームの知識を活かして成り上がります。 圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

処理中です...