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黎明期

第43話 実戦②

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ルシム大公に伴われている執事さんは、全長1.5Mあたりの[スピア]を所持している。

ベルーグは[ロングソード長剣]で、マリーは“矢じり状の重り”が先端に付属している[チェーンウィップ鎖鞭]だ。

僕は、まだ、[神剣しんけんムラクモ]を上手く扱えない。

なので、[ダガー短剣]を装備している。

しかしながら、この刃渡り・・・は30㎝だ。

ベルーグによれば〝平均で20㎝くらい〟とのことなので、いささか長い。

それらを踏まえつつ、僕たちは既に魔物らと戦っていた……。


ここで、一旦、“モンスター集団”を説明していこう。


“マイコニド”は、背丈1Mぐらいの“キノコ人間”だ。

なんでも【幻覚の霧】という[特殊スキル]を用いるらしい。


身長1.5Mほどの“アルラウネ”は、下半身が“紫色の花”で、上半身は“緑色の肌をした人間の女性”となっている。

その“女性の部分”は[剣士の甲冑]を装備していて、武器は[レイピア]を使う。

“戦闘スキル”の[剣術]は、個体差があるものの〝だいたいで弐〟らしい。


“食人花”は、背丈2Mくらいだ。

太い茎に、“二本の腕”と“六本の脚”は触手・・みたいになっている。

“赤い花”の部分にはだけが存在しており、ここ・・から【火の玉】を放つ。


身長2.5Mあたりの[ウッドゴーレム樹木人形]は、[武術]の“戦闘スキル”を有しているらしい。

〝おおよそで弐〟との事だった…。


僕は、両手で[ダガー]を扱ったり、左手で【低級の攻撃神法しんぽう】を何かしら発している。

アシャーリーが、矢をったり、〖低級〗で“直径10㎝”の【ホーリー・ボール聖なる玉】を50コ飛ばす。

リィバは、弓矢を使いつつ、

「純潔なる煌めきよ、我がもとで強さを増してゆけ。」
「より一層に輝き、立ち塞がる障壁を貫くべし。」
「ホーリー・レイズ!」

〖中級〗の“直径2㎝×長さ50cm”といった【聖なる光線群】を100コ発射した。

二人とも、おもに、背丈のある“食人花”や“樹木人形”を狙っている。

“攻撃系の魔法や神法”に比べれば威力が劣るものの、〝逆にアンデッド類には効果がある〟らしい。

また、誰かしらが【幻覚】に見舞われると、どちらかともなく【ディスオーダー・リカバリー異常回復】を施してくれた。

それらは、どれもが、〖光属性〗であり、全体的にはホワイト色で、若干スカイブルー色が混じっている。

勿論、アシャーリーのほうは【神法】なので、無詠唱だ。

こうした最中さなかに、

「凍てつく綺羅星キラボシ、願いし者に力を与えよ。」
「我がもとにて鋭利に化し、敵を穿うがて。」

レオディンと、

「今ここに集まりて、その形を成せ。」
「我が意に従い、仇なす者を討つべし。」

魔女さんが、ユーン達とバトルを繰り広げている魔物らの頭上に“直径1Mのマジックサークル”を構築した。

双方とも、〖中級〗であり、地面から5Mぐらいの高さに出現させている。

そして、レオディンが50コの【アイシー・ランス氷の槍】を、女性魔術師は50コの【ファイア・アロー火の矢】を、一気に投下して、“獣人グループ”を援護した……。



二分くらいが経ち、僕たちは“およそ20数のモンスター”を倒しきっている。

ここから、残りの魔物を、ユーン達と挟み撃ちにした。

半分あたりは、“獣人組”に敗れ、既に動かなくなっているので、あと10体ほどだ。

なお、【武術】が〖肆〗のユーンが、[素手]で果敢に攻めている。

【打撃術]の熊は[片刃のバトルアックス戦斧]で、【槍術】の狐が[スピア]だ。

狸も【打撃術】で[棒状のモーニングスター]を、兎は【剣術】で[ワンハンデッドソード]を、それぞれに扱う。

このどれもが〖参〗らしい。

アシャーリーの“教育係”はと言うと…。

【剣術】の馬が[ツーハンデッドソード]であり、【狙撃術】の兎は[木と鉄で作られたクロスボウ]だ。

ちなみに、その“兎の獣人”は、[通常の弓]も使えるので、アシャーリーが教わっているとのことだった。

これらは、執事さんの【槍術】も含めて、〖肆〗なのだそうだ。

いずれにしろ。

大公が“両刃の戦斧”を、僕は“短剣”を、ベルーグが“長剣”を、マリーは“鎖鞭”を、各自で振るったり払ったりしている。

時折、リィバが、【精霊加護】を用いて、[風の渦]を纏わせた矢を射った。

補足として、[植物型]の紫色・・だ。

ただし、“ウッドゴーレム”には血液そのものが無いらしい……。



僕らはモンスター達を殲滅し終えた。

緊張から解き放たれた僕とアシャーリーが大きく〝はぁ――ッ〟と息を吐く。

いや、まだ動悸がするため、完全に落ち着けてはいないようだ。

そうした状況で、

「二回目といくかのッ。」

大公が愉快そうにした。

しかし、〝えぇ~ッ?!!〟といった具合に嫌がったアシャーリーを察して、

「父上。」
「王子殿下も、アシャーリーも、心身ともに疲れたでしょうから、おやめになるべきかと。」

このように次男さんが掛け合ってくれる。

それにより、

「うぅーむ…。」
「仕方あるまい。」

大公が少なからず不服そうにしつつ諦めた。

けれども、すぐに気を取り直して、

「とろこで!」
「殿下とアシャーリーの能力に変化は??」

こう尋ねてきたのだ。

とりあえず、ステータスを確認した僕は、

「いや、ないけど。」

簡略的に伝え、

「私もです。」

アシャーリーが続いた。

〝むぅ~〟と残念がる大公に、

「まぁ、お二方とも初めてのことですし、そんなに早くは進化しないでしょう。」
「いくらボクたちと違って“神力しんりき”を備えていたとしても……。」
「それより、皆お腹が空いてきたでしょうから、もう帰りませんか?」

リィバが微笑みながら告げる。

これによって、〝ふむ〟と頷き、

「では、館に戻ると致そう。」

魔女さんに視線を送る大公だった―。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

現時点での[アシャーリー=イズモ]

【神法】
・浄化もしくは負傷/治癒/異常回復/補助の使用が可能
  ※どれもが低級の光属性

【スキル】
 ・亜空間収納(アイテムボックス)
  ※小規模

【特殊スキル】
 ・地球の洋食
  ※プロレベルの料理人

【戦闘スキル】
・狙撃術
 ※段階は[壱]

前世での名前は[嶋川由美しまかわ・ゆみ]
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