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黎明期
第35話 来訪②
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僕らは、食事中に話し合っていく。
結果、アシャーリーの鍛錬と勉学の回数が倍になった。
[武神カティーア様]が仰っていた未来がどのようなものかは想像がつかないけど、簡単には死にたくないので、アシャーリーは渋りつつも承諾する。
まず、アシャーリーが二日連続で稽古などを行ない、二日間休む。
そして、彼女の休日に、僕が鍛錬や勉学を進めてゆく。
逆に、僕の連休中にアシャーリーが修行する。
といった具合に落ち着いた……。
▽
あれから四日が経っている。
[獣人のユーン]と【武術】を訓練し終えた僕は、お世話係達と“食堂”に赴いた。
すると、テーブル席の上座に[パナーア様]が座っていたのだ。
「あ。」
「こんにちは。」
会釈した僕に、
「はい。」
「お久しぶりです。」
パナーア様が微笑んで応じられる。
ざっと室内を見回してみたところ、僕ら以外のメンバーは既に揃っていた。
「殿下、こちらへどうぞ。」
ルシム大公に誘導され、僕も椅子に腰かける。
「何かご用でもあるのですか?」
僕がパナーア様に尋ねてみたら、
「あー、いえ。」
「皆さんに挨拶したら、すぐに帰るつもりだったのですが…。」
「ルシムさんが〝孫の料理をぜひ食べていってください〟と勧められるので、お言葉に甘えることにしたのです。」
「いろいろと興味深いですからね。」
このように述べられた。
「そうですか。」
親バカならぬ“孫バカ”な部分がある大公の振る舞いに納得した僕は、
「ところで……。」
「刑罰は済んだのですか??」
パナーア様に質問してみる。
「ええ、まぁ…。」
「そもそも、父上は〝最低でも一年は謹慎させるべし〟〝他の世界に思念体を飛ばすのも禁止〟と主張なされました。」
「しかしながら、伯母上様が〝巡り巡ってラダームの末裔に会えた〟〝お陰で五百年前の約束が果たされた〟〝ここは私に免じて違う罰にしてあげてくれ〟〝内容は私が決める〟と説いてくださったのです。」
「父上は姉にあたる伯母上様に弱いので引き下がり、お祖父様も承諾してくださいました。」
「それによって〝ホッ〟とした私ではありましたが……。」
「伯母上様は、甘くはなかったのです。」
ふと遠い目になったパナーア様が、
「私だけで、土を5Mの高さに盛って“ちょっとした山”を形成し、それを自分で壊した後に、改めて作り直す、といった作業を不眠不休で丸一日やらされました。」
「しかも、素手のみで。」
「その所為で全身が筋肉痛になってしまったのです。」
「本来であれば私の能力で瞬時に治癒できるのですが…、伯母上様に〝自然と回復するのを待て〟〝それを含めての罰だ〟と凄まれてしまいました。」
「これによって、私は、三日ほど寝込んでしまったのです。」
そう語られた流れで、
「今朝には、かなり動けるようになったので、こうして赴いてみたという訳ですよ。」
穏やかに〝ニッコリ〟なされたのだった。
(んー、……。)
(カティーア様は、武神なだけあって、体育会系みたいだな。)
(絶対に怒らせないでおこう。)
僕が秘かに誓ったタイミングで、館の給仕たちが配膳していく…。
▽
いきなり余談になるかもだけど、アシャーリー母子が必ず調理している訳ではない。
なので、割合としては“こちらの世界の料理”が多くなっている。
今回、パナーア様は、運よく? アシャーリーの新作を食べられる事になった。
「んッん~♪」
「このようなお肉は初めてです。」
至福の表情となったパナーア様が味わっているのは、“ミディアムステーキ”だ。
ソースなどは無いので、塩胡椒のみで作ったのだろうか??
まぁ、なんにせよ、およそ10年ぶりのステーキは、僕にとっても喜ばしい限りだ。
「こいつぁ、美味いッ!!」
片目を〝カッ!〟と見開いたベルーグに、誰もが瞳を輝かせて〝うん うん〟と頷く。
「普段のものは結構な硬さじゃが、これは年寄りでも噛みやすい柔らかさで非常に助かる。」
レオディンが嬉しそうに喋ったら、
「確かに!!」
激しく同意する大公だった。
「この“焼かれた野菜”もいいですねぇ。」
「生よりも甘みがあって。」
〝ほくほく顔〟になっているのは、[ハーフエルフのリィバ]だ。
そんな“焼き野菜”のレパートリーは“ニンジン/アスパラガス/ピーマン/ブロッコリー”だった。
“オニオンスープ”を飲んでみた[細長眼鏡のマリー]が、
「玉葱が沢山入っているので苦そうな印象でしたが、案外サッパリしていますね。」
満足そうに〝ほぉぅ〟と息を吐く。
ちなみに、パンは“スミット”だ。
こうした状況で、
「これらが“地球の料理”ですかぁ。」
「他の神々にも試してもらいたいところですが、作るのが大変になるでしょうから、追々にしましょう。」
「それにしても……、ほんっとうに来て良かったです♬」
「ここ数日の疲れが吹き飛びました☆彡」
パナーア様が幸せそうにする。
それによって、場が和やかな雰囲気に包まれてゆく。
(こういった意味でもパナーア様は“癒しの女神”なんだろう。)
と思う僕だった―。
結果、アシャーリーの鍛錬と勉学の回数が倍になった。
[武神カティーア様]が仰っていた未来がどのようなものかは想像がつかないけど、簡単には死にたくないので、アシャーリーは渋りつつも承諾する。
まず、アシャーリーが二日連続で稽古などを行ない、二日間休む。
そして、彼女の休日に、僕が鍛錬や勉学を進めてゆく。
逆に、僕の連休中にアシャーリーが修行する。
といった具合に落ち着いた……。
▽
あれから四日が経っている。
[獣人のユーン]と【武術】を訓練し終えた僕は、お世話係達と“食堂”に赴いた。
すると、テーブル席の上座に[パナーア様]が座っていたのだ。
「あ。」
「こんにちは。」
会釈した僕に、
「はい。」
「お久しぶりです。」
パナーア様が微笑んで応じられる。
ざっと室内を見回してみたところ、僕ら以外のメンバーは既に揃っていた。
「殿下、こちらへどうぞ。」
ルシム大公に誘導され、僕も椅子に腰かける。
「何かご用でもあるのですか?」
僕がパナーア様に尋ねてみたら、
「あー、いえ。」
「皆さんに挨拶したら、すぐに帰るつもりだったのですが…。」
「ルシムさんが〝孫の料理をぜひ食べていってください〟と勧められるので、お言葉に甘えることにしたのです。」
「いろいろと興味深いですからね。」
このように述べられた。
「そうですか。」
親バカならぬ“孫バカ”な部分がある大公の振る舞いに納得した僕は、
「ところで……。」
「刑罰は済んだのですか??」
パナーア様に質問してみる。
「ええ、まぁ…。」
「そもそも、父上は〝最低でも一年は謹慎させるべし〟〝他の世界に思念体を飛ばすのも禁止〟と主張なされました。」
「しかしながら、伯母上様が〝巡り巡ってラダームの末裔に会えた〟〝お陰で五百年前の約束が果たされた〟〝ここは私に免じて違う罰にしてあげてくれ〟〝内容は私が決める〟と説いてくださったのです。」
「父上は姉にあたる伯母上様に弱いので引き下がり、お祖父様も承諾してくださいました。」
「それによって〝ホッ〟とした私ではありましたが……。」
「伯母上様は、甘くはなかったのです。」
ふと遠い目になったパナーア様が、
「私だけで、土を5Mの高さに盛って“ちょっとした山”を形成し、それを自分で壊した後に、改めて作り直す、といった作業を不眠不休で丸一日やらされました。」
「しかも、素手のみで。」
「その所為で全身が筋肉痛になってしまったのです。」
「本来であれば私の能力で瞬時に治癒できるのですが…、伯母上様に〝自然と回復するのを待て〟〝それを含めての罰だ〟と凄まれてしまいました。」
「これによって、私は、三日ほど寝込んでしまったのです。」
そう語られた流れで、
「今朝には、かなり動けるようになったので、こうして赴いてみたという訳ですよ。」
穏やかに〝ニッコリ〟なされたのだった。
(んー、……。)
(カティーア様は、武神なだけあって、体育会系みたいだな。)
(絶対に怒らせないでおこう。)
僕が秘かに誓ったタイミングで、館の給仕たちが配膳していく…。
▽
いきなり余談になるかもだけど、アシャーリー母子が必ず調理している訳ではない。
なので、割合としては“こちらの世界の料理”が多くなっている。
今回、パナーア様は、運よく? アシャーリーの新作を食べられる事になった。
「んッん~♪」
「このようなお肉は初めてです。」
至福の表情となったパナーア様が味わっているのは、“ミディアムステーキ”だ。
ソースなどは無いので、塩胡椒のみで作ったのだろうか??
まぁ、なんにせよ、およそ10年ぶりのステーキは、僕にとっても喜ばしい限りだ。
「こいつぁ、美味いッ!!」
片目を〝カッ!〟と見開いたベルーグに、誰もが瞳を輝かせて〝うん うん〟と頷く。
「普段のものは結構な硬さじゃが、これは年寄りでも噛みやすい柔らかさで非常に助かる。」
レオディンが嬉しそうに喋ったら、
「確かに!!」
激しく同意する大公だった。
「この“焼かれた野菜”もいいですねぇ。」
「生よりも甘みがあって。」
〝ほくほく顔〟になっているのは、[ハーフエルフのリィバ]だ。
そんな“焼き野菜”のレパートリーは“ニンジン/アスパラガス/ピーマン/ブロッコリー”だった。
“オニオンスープ”を飲んでみた[細長眼鏡のマリー]が、
「玉葱が沢山入っているので苦そうな印象でしたが、案外サッパリしていますね。」
満足そうに〝ほぉぅ〟と息を吐く。
ちなみに、パンは“スミット”だ。
こうした状況で、
「これらが“地球の料理”ですかぁ。」
「他の神々にも試してもらいたいところですが、作るのが大変になるでしょうから、追々にしましょう。」
「それにしても……、ほんっとうに来て良かったです♬」
「ここ数日の疲れが吹き飛びました☆彡」
パナーア様が幸せそうにする。
それによって、場が和やかな雰囲気に包まれてゆく。
(こういった意味でもパナーア様は“癒しの女神”なんだろう。)
と思う僕だった―。
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