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47.死闘・序
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地下への階段には[踊り場]があり、“折り返し”となっていた。
天井には、等間隔に[ダウンライト]が見受けられる。
足を運びながら、
「電気が通っているんですね。」
ふと隈本一帆が口にした。
これに、先頭の沖奈朔任隊長は振り返らないままで、
「おそらく、〝地下に関連するものだけ〟でしょう。」
「それ以外は遮断されているみたいですよ。」
「以前、幾つかの部屋で、壁のボタンスイッチを押してみましたが、どこも反応がありませんでしたからね。」
そう述べたのである。
「ああー、架浦のヤツと潜入した時ですか?」
筺健に尋ねられ、
「ええ。」
頷いて肯定する沖奈だった……。
階段の先は、幅2.5Mあたりの“廊下”になっていた。
この突き当りに、観音開きの[白い扉]が存在している。
そうしたドアには、縦長の“すりガラス”が設けられていた。
「では…。」
両方の扉を引いて開けた沖奈が、内へと入ってゆく。
他のメンバーは、当然、これに続いたのである……。
そこは、なかなかに大きい部屋となっていた。
左右の壁際に、何台かのテーブルとイスが置かれている事から、[研究室]を彷彿とさせる。
奥へと進む“H.H.S.O”に対して、こちらへと向かって来る三人組がいた。
真ん中は、架浦聖徒に間違いない。
右隣に20代前半の男性を、左隣に20代後半の女性を、伴っている。
男の方は、背丈180㎝ぐらいで、ツンツン赤髪に、筋肉質であり、半袖アロハ・デニム・ブラックを基調としたスニーカーといった格好だ。
女は、身長170㎝といった感じで、黒髪ロングに、白のワイシャツ/紺のレディススーツ/ダークブラウンの革靴を着用しており、グラマラスかつ妖艶であった。
互いが5Mほど離れた位置で止まったところで、[H.H.S.O]の三列目以降が横へと広がっていく。
これに、
「勢揃いだねぇー。」
「知らない顔ぶれもいるみたいだが…、紹介してもらえるかい??」
架浦が余裕そうに笑みを浮かべる。
その態度が癇に障ったらしく、
「てっんめぇッ、ヘラヘラしてんじゃねぇぞ!!」
緋島早梨衣が怒りを露わにし、
「ミッツゥ~。」
「今すぐボッコボコにして、泣きっ面に変えてやっから、覚悟しなよ!」
宮瑚留梨花も咆えたのだった。
「おおー、こっわ。」
肩をすくめておどけた架浦が、
「タダでやられたくはねぇから、こっちも容赦せずに戦わせてもらうぜ?」
「死んでも恨むなよ。」
こう告げるなり、“アロハシャツの男性”の右側から〝パンッ!!〟という発砲音が響いたのである。
次の瞬間、
「うッ?!」
沖奈の左斜め後ろに佇んでいた鐶倖々徠副隊長が、両膝を着いて、流血している左胸を右手で押さえた。
その状況に、
「鐶さん!!?」
一帆や、
「かなっちふくたいちょー?!」
宮瑚を中心として、皆が驚く。
何故ならば、“ツンツン赤髪”の右隣には〝誰も居ない〟からだ。
だというのにも関わらず、弾丸が飛んできたのである。
「これは…、〝なんらかのスキル〟っていうこと?」
意川敏矢が分析を始めたタイミングで、
「発動!!」
架浦が能力を使った。
これによって、[H.H.S.O]は動けなくなってしまったのである。
更には、“グラマラスな女”が、左手で髪をかき上げながら、
「発動。」
そう唱えたところ、[豹]の容姿になったのであった。
「〝獣人化〟のスキル。」
[第二百一番隊]の隊長である“八幸”が呟くなか、“アロハシャツの男”が右足で床を〝ドンッ!〟と踏んで、
「発動!」
能力を扱ったら、両腕が日本刀みたいな[刃]に変わったのである。
息つく暇なく、この男女が、沖奈めがけて走りだす。
特に速い女性へと、
「発動!!」
すぐさま沖奈が対応した。
それによって、[二足歩行の豹]は、部屋の奥に【瞬間移動】させられたのである。
一方の男性には、
「発動!」
八幸がスキルを用いた。
すると、男の正面で、刃となっていた両腕が〝バチィン!!〟と張り付いたのである。
駆けていた“ツンツン赤髪”は、
「なッ!?」
戸惑って、ストップした。
「やっぱり、沖奈隊長も〝リアクションを必要しない〟のか。」
架浦が目を細めて厄介そうにしたのと同時に、再び〝パンッ!!〟という音が響く。
結果、左端に立っていた[二百一番隊の男性]が、額から血を噴射したのである。
40代前半らしき“髭の隊員”は、架浦による能力の所為で、倒れることすら出来ず、絶命したようだ。
弾が放たれてきた場所に〝スゥ――ッ〟と現れたのは、金髪ソフトモヒカンに、白いスーツ&黒いワイシャツ・銀ネクタイ・ブラックの革靴といった格好で、20代後半の男性だった。
明らかに[漠皁組の若頭]である。
この男へと、
「おぉ~い、戸田ぁ。」
「〝まず狙うべきは十三番隊の隊長か副隊長だ〟て伝えといただろ。」
架浦が声をかける。
“戸田”と呼ばれた若頭が、
「いや、その隊長を撃とうとしたら、鮫島がカブって邪魔にな」と言いかけたところで、
「発動。」
沖奈が架浦を【テレポート】させた。
架浦は、改めて猛ダッシュしていた[獣人]の眼前に“移動”させられたのである。
「あッ?!」
急には止まれなかった[豹]が、架浦の背後よりぶつかった。
その衝突で、おもいっきり二人が転ぶ。
ここで、[H.H.S.O]は自由になったらしく、先程の“男性隊員”が仰向けで〝ドサッ〟倒れたのである。
そちらに多くの者が気を取られるなか、沖奈を射殺すべく、ピストルを構え直す“若頭”であった―。
天井には、等間隔に[ダウンライト]が見受けられる。
足を運びながら、
「電気が通っているんですね。」
ふと隈本一帆が口にした。
これに、先頭の沖奈朔任隊長は振り返らないままで、
「おそらく、〝地下に関連するものだけ〟でしょう。」
「それ以外は遮断されているみたいですよ。」
「以前、幾つかの部屋で、壁のボタンスイッチを押してみましたが、どこも反応がありませんでしたからね。」
そう述べたのである。
「ああー、架浦のヤツと潜入した時ですか?」
筺健に尋ねられ、
「ええ。」
頷いて肯定する沖奈だった……。
階段の先は、幅2.5Mあたりの“廊下”になっていた。
この突き当りに、観音開きの[白い扉]が存在している。
そうしたドアには、縦長の“すりガラス”が設けられていた。
「では…。」
両方の扉を引いて開けた沖奈が、内へと入ってゆく。
他のメンバーは、当然、これに続いたのである……。
そこは、なかなかに大きい部屋となっていた。
左右の壁際に、何台かのテーブルとイスが置かれている事から、[研究室]を彷彿とさせる。
奥へと進む“H.H.S.O”に対して、こちらへと向かって来る三人組がいた。
真ん中は、架浦聖徒に間違いない。
右隣に20代前半の男性を、左隣に20代後半の女性を、伴っている。
男の方は、背丈180㎝ぐらいで、ツンツン赤髪に、筋肉質であり、半袖アロハ・デニム・ブラックを基調としたスニーカーといった格好だ。
女は、身長170㎝といった感じで、黒髪ロングに、白のワイシャツ/紺のレディススーツ/ダークブラウンの革靴を着用しており、グラマラスかつ妖艶であった。
互いが5Mほど離れた位置で止まったところで、[H.H.S.O]の三列目以降が横へと広がっていく。
これに、
「勢揃いだねぇー。」
「知らない顔ぶれもいるみたいだが…、紹介してもらえるかい??」
架浦が余裕そうに笑みを浮かべる。
その態度が癇に障ったらしく、
「てっんめぇッ、ヘラヘラしてんじゃねぇぞ!!」
緋島早梨衣が怒りを露わにし、
「ミッツゥ~。」
「今すぐボッコボコにして、泣きっ面に変えてやっから、覚悟しなよ!」
宮瑚留梨花も咆えたのだった。
「おおー、こっわ。」
肩をすくめておどけた架浦が、
「タダでやられたくはねぇから、こっちも容赦せずに戦わせてもらうぜ?」
「死んでも恨むなよ。」
こう告げるなり、“アロハシャツの男性”の右側から〝パンッ!!〟という発砲音が響いたのである。
次の瞬間、
「うッ?!」
沖奈の左斜め後ろに佇んでいた鐶倖々徠副隊長が、両膝を着いて、流血している左胸を右手で押さえた。
その状況に、
「鐶さん!!?」
一帆や、
「かなっちふくたいちょー?!」
宮瑚を中心として、皆が驚く。
何故ならば、“ツンツン赤髪”の右隣には〝誰も居ない〟からだ。
だというのにも関わらず、弾丸が飛んできたのである。
「これは…、〝なんらかのスキル〟っていうこと?」
意川敏矢が分析を始めたタイミングで、
「発動!!」
架浦が能力を使った。
これによって、[H.H.S.O]は動けなくなってしまったのである。
更には、“グラマラスな女”が、左手で髪をかき上げながら、
「発動。」
そう唱えたところ、[豹]の容姿になったのであった。
「〝獣人化〟のスキル。」
[第二百一番隊]の隊長である“八幸”が呟くなか、“アロハシャツの男”が右足で床を〝ドンッ!〟と踏んで、
「発動!」
能力を扱ったら、両腕が日本刀みたいな[刃]に変わったのである。
息つく暇なく、この男女が、沖奈めがけて走りだす。
特に速い女性へと、
「発動!!」
すぐさま沖奈が対応した。
それによって、[二足歩行の豹]は、部屋の奥に【瞬間移動】させられたのである。
一方の男性には、
「発動!」
八幸がスキルを用いた。
すると、男の正面で、刃となっていた両腕が〝バチィン!!〟と張り付いたのである。
駆けていた“ツンツン赤髪”は、
「なッ!?」
戸惑って、ストップした。
「やっぱり、沖奈隊長も〝リアクションを必要しない〟のか。」
架浦が目を細めて厄介そうにしたのと同時に、再び〝パンッ!!〟という音が響く。
結果、左端に立っていた[二百一番隊の男性]が、額から血を噴射したのである。
40代前半らしき“髭の隊員”は、架浦による能力の所為で、倒れることすら出来ず、絶命したようだ。
弾が放たれてきた場所に〝スゥ――ッ〟と現れたのは、金髪ソフトモヒカンに、白いスーツ&黒いワイシャツ・銀ネクタイ・ブラックの革靴といった格好で、20代後半の男性だった。
明らかに[漠皁組の若頭]である。
この男へと、
「おぉ~い、戸田ぁ。」
「〝まず狙うべきは十三番隊の隊長か副隊長だ〟て伝えといただろ。」
架浦が声をかける。
“戸田”と呼ばれた若頭が、
「いや、その隊長を撃とうとしたら、鮫島がカブって邪魔にな」と言いかけたところで、
「発動。」
沖奈が架浦を【テレポート】させた。
架浦は、改めて猛ダッシュしていた[獣人]の眼前に“移動”させられたのである。
「あッ?!」
急には止まれなかった[豹]が、架浦の背後よりぶつかった。
その衝突で、おもいっきり二人が転ぶ。
ここで、[H.H.S.O]は自由になったらしく、先程の“男性隊員”が仰向けで〝ドサッ〟倒れたのである。
そちらに多くの者が気を取られるなか、沖奈を射殺すべく、ピストルを構え直す“若頭”であった―。
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