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第一章
7.準備完了?
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レイモンドの一八歳の誕生パーティまであと一ヶ月――
これが終わると、双竜による花嫁選びの儀があるのだが、レイモンドが双竜に会いに行ったことは、早々に両親の知るところになった。
母――アンナマリアからは「ズルしちゃ駄目よ」と苦笑交じりに言われただけだったが、父――ライアンは、秩序を正すべき世継ぎとしての自覚が足らないと、滾々と諭される始末で、この上、花嫁候補のひとりと出会ったなどと、益々言えなくなり、数日たった今でも伝えられないままだった。
父も何も聞いてこないので、向こうも私と会ってしまったことを、誰にも告げていないのだろう。
今年十四歳になる妹のルイーズは、大人しい子で、普段は母と一緒に刺繍をしているか、温室の花々に囲まれながら読書しているかなのだが、花嫁というのには憧れがあるらしく、ことあるごとに花嫁候補のことを聞いてくるけれど、私に応えられることなどほとんどない。
これまでに何度か宮廷での舞踏会が開催されているが、大公の挨拶が終わればすぐに退出していたこともあり、又従兄妹のアナベル以外の花嫁候補とは、顔を合わせたこともなかったせいで、その人となりも判らないのだ。
結婚相手の性格もなにも判らないままに、双竜によって選ばれた相手と結婚しなければならない――祖父母や両親は、そうして選ばれた筈なのにとても仲睦まじく、これも、双竜の加護なのか? と、思ってしまう。
自分は、そうして選ばれた相手を愛せるのだろうか?
そもそも、何故そのような選ばれ方をするようになったのか?
それが知りたくて、双竜に会いに行ったというのに、その答えは聞けぬままになってしまった。
そもそも、又従兄妹のアナベルは幼い頃から何度も会っていた。
社交界の黒薔薇とも謳われていた母親の容貌をそのまま引き継ぎ、その美貌を引き締める漆黒の髪と瞳はオリエンタルな雰囲気をもつ美女だった。
通常であればその血統もあり、最初からルドルフの婚約者となっていてもおかしくなったのだが、彼女にはすでにある侯爵子息の婚約者がいたため、候補になることはなかったのだが、ルドルフ自身そこまでアナベルに興味がなかったため、気にしていなかったのだけれど――
それなのに、いま改めてルドルフの花嫁候補になったのにはとある理由があった。
これが終わると、双竜による花嫁選びの儀があるのだが、レイモンドが双竜に会いに行ったことは、早々に両親の知るところになった。
母――アンナマリアからは「ズルしちゃ駄目よ」と苦笑交じりに言われただけだったが、父――ライアンは、秩序を正すべき世継ぎとしての自覚が足らないと、滾々と諭される始末で、この上、花嫁候補のひとりと出会ったなどと、益々言えなくなり、数日たった今でも伝えられないままだった。
父も何も聞いてこないので、向こうも私と会ってしまったことを、誰にも告げていないのだろう。
今年十四歳になる妹のルイーズは、大人しい子で、普段は母と一緒に刺繍をしているか、温室の花々に囲まれながら読書しているかなのだが、花嫁というのには憧れがあるらしく、ことあるごとに花嫁候補のことを聞いてくるけれど、私に応えられることなどほとんどない。
これまでに何度か宮廷での舞踏会が開催されているが、大公の挨拶が終わればすぐに退出していたこともあり、又従兄妹のアナベル以外の花嫁候補とは、顔を合わせたこともなかったせいで、その人となりも判らないのだ。
結婚相手の性格もなにも判らないままに、双竜によって選ばれた相手と結婚しなければならない――祖父母や両親は、そうして選ばれた筈なのにとても仲睦まじく、これも、双竜の加護なのか? と、思ってしまう。
自分は、そうして選ばれた相手を愛せるのだろうか?
そもそも、何故そのような選ばれ方をするようになったのか?
それが知りたくて、双竜に会いに行ったというのに、その答えは聞けぬままになってしまった。
そもそも、又従兄妹のアナベルは幼い頃から何度も会っていた。
社交界の黒薔薇とも謳われていた母親の容貌をそのまま引き継ぎ、その美貌を引き締める漆黒の髪と瞳はオリエンタルな雰囲気をもつ美女だった。
通常であればその血統もあり、最初からルドルフの婚約者となっていてもおかしくなったのだが、彼女にはすでにある侯爵子息の婚約者がいたため、候補になることはなかったのだが、ルドルフ自身そこまでアナベルに興味がなかったため、気にしていなかったのだけれど――
それなのに、いま改めてルドルフの花嫁候補になったのにはとある理由があった。
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