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第4章 秋の戦い
第82話 VS秀徳5
しおりを挟む清水先輩はベンチに戻って来て、手荒い祝福を受けていた。
勿論俺も、ブルペンから戻って来てバシバシと背中を叩く。
「ゴリラ二世! ナイスバッティング!」
「お前、そろそろ北條先輩に怒られるぞ? でもありがとうな。満塁ホームランなんて人生で初めてだよ」
いいないいな。
俺も満塁ホームランは打った事ない。
羨ましい。
「いやー、正直この4点は大き過ぎますよ! これでイライジャの気持ちも切れてくれたらいいんだけど」
まあ、そう上手い事はいかずに後続が倒れる。
メンタルコントロールも中々のものですね。
「さあ! 金子! この回もバシッと抑えてきてくれよー!」
「あははは。頑張るよ」
俺もブルペンに戻ろう。
まだ準備運動ぐらいしか出来てないし。
四回裏の相手の攻撃もクリーンナップから。
ここまでヒットと四球一つずつと好投を続けてる金子だけど、ペース配分は度外視だからな。
俺もいつでも行ける様に心構えしとかないと。
しかし、相手の3番バッターに粘られ、根負けして四球で先頭バッターを出してしまう。
「むむっ。悪くないボールなんだけどな。相手も中々やりおる」
そして4番のイライジャ。
前の打席はどん詰まりの癖に柵越えギリギリまで持っていったからな。
かなり注意して投げないと。
だが、イライジャは初球のスローカーブをアッパースイングで思いっ切りしばき上げる。
ゴルフスイングの様な打ち方だったけど、打球はレフトの頭上を超えてツーランホームラン。
「えっぐ。野球やってくれよ、野球を」
なんで、あんな遅いボールをホームランに出来るんですかね。
レオンでも無理なんじゃない?
反発力が足りなそうな気がするんだけど。
タイガがタイムを取ってマウンドに向かうけど、金子は苦笑いしてるな。
あんな打ち方されたら諦めもつくよね。
その後、ヒットを一本打たれるも無失点に抑えて、四回裏の攻撃が終わる。
「やばかったな、あれ」
「打たれた瞬間変な笑い声でたよ。そのお陰ですぐ切り替えられたけど」
「カーブ系統にヤマ張ってたんだろうな。流石に咄嗟にあの打ち方をしたとは思いたくない」
「足腰が強いんだろうね。遅い球をしっかり待って打ててるんだから」
「まあ、ヤマ張られてるのにあんなリードしたタイガが悪いと思っておけばいいさ」
切り替えが出来てるなら良し。
あんなのはまぐれだと思うしかない。
ヒット一本打たれたけど、その後しっかり抑えてるしな。
「豹馬が後ろにいてくれるからね。俺は限界ギリギリまで頑張って投げるよ」
「うむ。頑張りたまえ」
嬉しい事言ってくれるじゃないか。
俺のモチベーションの上げ方を良く分かってらっしゃる。
他の奴らは、最近俺が抑えるのを当たり前と思ってるのかすぐに煽ってくるからな。
期待されてる信頼の裏返しとでも思えば良いのだけど。
俺は褒められて伸びるタイプなので。
もっともっとヨイショして欲しいね。
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