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第3章 秋までの道程
第54話 ナイター練習
しおりを挟む龍宮高校は新設校にしては、各種設備が整っている。
野球部の専用グラウンドもあるし室内練習場もある。
今までは、日が暮れたら練習が終わりだったのであまりナイターで練習する事はなかった。
「よーし。この合宿はひたすら速い球打ってもらうで。あんまりマシン慣れはして欲しくないけど、速い球にある程度目を慣らしてもらわんと打てん事が今回の夏でよくわかったやろ」
この合宿ではひたすらマシンで速球を打ってもらう。金子にシートで投げて貰って変化球の練習もするけど。
「ただし! フォーム崩してまで当てに行くなよ! そんなんしたら元も子もないからな。マシン待ちしてる奴はトスバッティングをゆっくりやれ。フォームを染み込ませるようにな」
この合宿では、父さんが毎日来てくれる。育成厨の父さんなら嬉々としてアドバイスしてくれるだろう。
この合宿で化けたりする人出て来ないかなあ。
入学から動体視力を鍛える訓練なんかもしてるけどあれは効果出るまでに1年ぐらいはみとかないとだしねぇ。
因みに、俺は小さい頃から父さんに教えられて動体視力向上の訓練をしてるので結構自信はある。
それなのに、なんで打てないんですかね。
自分でもこんなにセンスないとは思ってなかったよね。
ピッチャーが大好きだったから、死後の世界でもバッティングの練習はほとんどしなかったもんなあ。もうちょっとしとけば良かった。
みんながバッティング練習してるのを横目に、俺とキャプテン、金子に大浦はブルペンへ。
大浦はバッティング練習に参加したそうだけど今日はこっちね。
どんな変化球が投げられるかの確認やら、セットポジションや牽制、フィールディング等をある程度教えておかないといけない。
「じゃあ投げてみようか。基本的にな変化球の投げ方は分かるよね?」
「遊びでやった事はあるんで、カーブ、スライダー、フォークはわかるっす」
「じゃ、お願い」
「うっす」
それから一通り投げてみるが。
うーん。見たらわかる。ダメなやつやん。
「とりあえず、曲げようとしてフォームがストレートと全然違うな」
「あとカーブはダメですね。スローボールにしか見えないです」
まぁよっぽどセンスがある奴以外は、上手くいく訳ないしね。
カーブマスターも、カーブには厳しいご様子。
「握りを変えるだけの、ムービング系の方がいいかもね。あれならそれほどフォームを気にしなくていいし」
「ツーシーム、シュート、カット、後はフォークを浅く握ってスプリットかな」
スプリットっていいよね。
俺はフォームの都合上、投げようとしたら手首と肘に滅茶苦茶負担かかるから断念したけど。
「いいじゃん! 結構動いてない? フォームの微調整はいると思うけど使えるんじゃないかな?」
大浦はムービング系と相性が良かったみたいだ。
あれだ。創英のエースだった西の劣化版みたいな感じ。
「じゃあとりあえずフォームを最適化しますか。大浦はそのテイクバックの小さい投げ方窮屈じゃない?」
「むしろ、投げやすいっす!」
体が柔らかいのかな? 俺から見たら投げにくそうだけど。
じゃあ形そのままに踏み込み位置とリリースポイントだね。
「どう?さっきより窮屈になったけど」
「うーん、コントロールが…さっきより酷くないっすか?」
「リリースポイントがブレブレだからな。安定させるとコントロールも良くなってくると思う」
こうやって指導してると投げたくなってくる。
新しい変化球でも研究しようかな。
隠し球が無くなった事だしさ。やる事が指導しかないならやらないよりいいかもね。
試行錯誤を繰り返して、とりあえずフォームは形になったかな。
これを後はシャドーで染み込ませていくと。
球速も132キロ出てるし、今日本格的にピッチャーやったにしては上等でしょう。
「え…MAX俺より早いじゃん」
金子よ、強く生きるのじゃ。
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