未冠の大器のやり直し

Jaja

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第2章 夏の始まり

第31話 病院

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 「そういえば、パンってまた身長伸びたよね? 入学した時は同じぐらいだったはずなのに」

 部室で試合映像を見終わり、帰る準備をしてるとタイガが話しかけてきた。

 「言われてみればそうだな。成長痛も治ってきたし、そろそろ打ち止めかな?」

 入学した時の身体検査ではタイガと同じ187cmだったのだが、明らかに俺の方が高い。

 「あ、成長痛で思い出した。俺、今日病院行く日じゃん」

 「普通病院行く日忘れる?」

 「もう全然痛くないからつい」

 どうもすみません。
 病院ってなんか忘れたくなるよね。
 悪い事してないのになんか怒られてる気分になるんだ。

 「ついでにみんなも一緒に行く? 最近レントゲン撮ってもらってなくない?」

 「あー俺は行っとこうかな? 最近身長も伸びてないし丁度いいや」

 俺とタイガが行くって事になったので、結局全員一緒に行く事になった。
 マリンは付いて来るだけだけど。
 俺達が定期的に病院に行ってるのは、レントゲンを撮ってもらって、骨端線が閉じてるかどうかを確認してもらう為だ。
 俺は成長痛の経過観察もあるけど。
 骨端線が閉じてからじゃないと筋トレを自重以外でするなと父さんに言われてるからね。
 まぁ、わざわざレントゲンで見なくても、身長伸びなくなったなーって思ってからでもいいんだけど、俺達は早く筋トレしたいし父さんの勧めもあってわざわざ病院に通ってる。
 みんなが最後に行ったのは高校入学前かな?
 俺の身長も死後世界で練習してた頃と変わらなくなってきてる。
 って事は、ここから体を作っていくと160キロオーバーのストレートを投げれる無敵の豹馬になる訳だ。
 高校中は無理だと思うけど。
 プロも見据えて体はじっくり作りたいしね。
 その辺は母さんに丸投げさせてもらいます。

 「俺はまだ身長欲しいから閉じてて欲しくないな」

 「俺も、もう一伸び欲しいなぁ。プロではまだ小柄な方だしよぉ」

 「俺はどっちでもいいな。どっちかで言えば伸びてほしいが、パワーも欲しいから早く筋トレしたい気持ちもある」

 上から、ウル、隼人、レオンである。
 入学時の身長はウルが170cm、隼人が178cm、レオンが182cm。
 まぁ、日本人の平均身長は超えてるメンツだけどプロ野球選手はそれの一回り大きい人達ばっかだしねぇ。
 こればっかりは体質やら、遺伝やら日々の生活で変わってくるからなんとも言えない。
 一応日々の生活なんかは母さんや俺の前世の記憶からアドバイスはしてるけど。

 そんなこんな話してると病院に着いた。
 ここは、母さんの知り合いがやってる個人病院で父さんが現役の時に偶にお世話になってて、俺は中学にきた初めての成長痛の時からお世話になっている。

 「こんちゃー。経過観察にきましたー。ついでにレントゲンもー」

 「あぁ? クソガキ共か。座って待ってろ」

 腕は良いんだが口が悪い。
 それなのに結構ご近所さんから評判が高いんだよね。不思議。

 「三波のガキからこいや。他の連中は静かに待っとれ。騒ぐなよ」

 睨む様に言いながら、診察室に戻って行った。
 怖いねぇ。
 将来隼人がこんな風になりそうで俺は心配です。

 レントゲンを撮り、両膝の状態を見てもらう。

 「昨日の試合投げてたなぁ?」

 「あ、はい。見てたんすか?」

 「テレビでなぁ。あれ、全力か?」

 「いや、実はボールが走りすぎて全力で投げたら制御出来るか心配だったんですよね。練習もしっかり出来てなかったし。7割ぐらいっす」

 「それであれだけ抑えられてんのかぁ。大したもんだ。あれで全力だったら完治と診断しても良かったんだがな。膝も腫れてねぇし」

 「え? 全力で投げたらやばいっすか?」

 「全力の負荷がどれだけかかるか次第だわなぁ。昨日の試合ぐらいなら問題ないが。夏、甲子園目指してるんなら、抑えてプレーするこったな。とりあえず今日も電気マッサージ受けてけや。次、呼んで来い」

 「あ、はい。ありがとうございました」

 むぅ。全力は控えるべきか。
 明日ブルペンで試してみようと思ってたけど、無理は禁物だよなぁ。
 でも、次も全力出さずに抑えれる保証もないし…

 「タイガつぎー」

 「はいはーい」

 明日ブルペンで投げてみてからもう一回病院来ようかな。
 そんな事を考えながらみんなの診断結果を待った。
 
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