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第2章 夏の始まり
第29話 VS創英高校6
しおりを挟む八回表も三振1つに内野ゴロ2つで三者凡退に抑えた裏の攻撃。
この回はタイガからであるが、めちゃくちゃ気合いが入ってるようにみえる。
余程煽られた事に腹が立っているんだろう。
しかし、現実は無常。力みまくって三振である。
「おぉー! タイガさん! 三つ振ってきましたねぇ。お手本見せて頂けるとは流石っす! ぷーくすくす」
なんだか、青筋立ててピクピクしてるけど気にせずに煽る。
いつも俺がバッティングの時にやられてる事だからな。
因果応報ってやつよ。
珍しくヒット打った時に煽っておかないと。
次はいつあるかわからない。
…自分で言ってて恥ずかしくなってきた。
「女房役として? ピッチャーを助けるぐらいして欲しいもんですねぇ。力投してる人が可哀想だと思わないんですか? ほら!見て下さいよ、レオンさんを。またツーベース! ……あいつホンマにバケモノでんな」
「唐突に冷静になって変な関西弁使わないでよ」
レオンが左中間をぶち抜くツーベースを放っていた。
なんでそんなポコポコ打てるのかね。
その後、キャプテンがライトフライを打ちレオンは三塁に進むも、隼人はピッチャーゴロ。
三打席連続ホームランはならず。
そして迎えた最終の九回表。
打順はラストバッターの9番からで当然代打を出してくる。
3人で抑えないと、クリーンナップに回ってしまって面倒くさいのでしっかり抑えたい。
代打で出てきたバッターはいかにも打撃専門ですみたいな体型をしてらっしゃる。
おかわり君みたい。
あの人守備も上手いけど。
しかし、敢えてインコースにストレート三つで三振。ごっつあんです。
1番は逆にチェンジアップ三つ。
終始タイミングが合ってないように見えて、これも三振。
2番はナックルカーブ3つで三振でゲームセット。
5ー0で龍宮高校の勝利である。
「って、最後のリード何? サイン出された通りほいほい投げた俺も馬鹿だけど舐めすぎてない?」
「ちっ。打たれなかったか。これだから無駄にスペック高い奴はよぉ」
あらやだ。タイガさん、大荒れでいらっしゃる。
流石に煽り過ぎたか。
そろそろ自重せねば。
「ごめんよぉ。才能だけはあってぇ。キャッチャーの脳死リードにも応えるだけの技量があるんだよぉ。天才でごめんねぇ」
だが辞めない!! この程度で俺の迸る熱いパトスは止まらない。
「そんな性格してるから彼女出来ないんだろうね」
グハッ!!
タイガ会心の一撃。豹馬は戦闘不能になった。
「お前それは禁止カードだろうがよ! 言って良い事と悪い事の区別もつかねぇのかよ!」
「彼女持ちでごめんね?」
くそ、分が悪い。
彼女持ちワードは死者蘇生並みの感じカードだと思うの。
「わかったわかった。煽ってごめんね、タイガ君。これでいい?」
「はぁー。マリンに言って美人な子紹介してあげようと思ったのに。これじゃ無しだね。こんな性格悪い奴紹介したら、こっちが恥かくよ」
そこまで言うか! そこまで言うんだな!?
よろしい。ならば合コンだ!
間違った。戦争だ! いや、待てよ?
「その子、まさかお腐りになられてる方じゃなかろうな?」
「さっ、クールダウンするよー」
「待て待てぇーい!」
試合が終わった直後から俺達は喧しく、ギャーギャー言い争いながら球場を後にした。
終わってみれば、きついと思われていた2.3回戦を難なく突破。
勝ち方も悪くなかったし、これは勢いがつくんじゃないだろうか。
三波豹馬
九回94球19奪三振完封
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