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第四章 迷宮都市ラビリントス

第111話 ゴム素材の使い方

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 「やはり、51階からはステージギミックというのが増えるみたいですね」

 「火山程じゃないから楽だろ」

 ボスを倒して、迷路型迷宮の51階に向かったんだが、前の迷宮の火山程じゃないが、ステージが変化した。

 「俺と妲己は飛べるから良いとして。あ、テレサも魔法を使えばなんとかなるか」

 「汚れを気にしなければ歩けますが?」

 「この中に何があるか分からんだろ」

 迷路は迷路だが、地面が沼というか、泥になっていた。やる気が削がれるタイプだ。
 汚れるからテンションが下がる。

 しかも、この泥の中に魔物が居ないとは限らない。アシュラが足を突っ込んでたが、膝ぐらいまで埋まってたしな。
 深い所は底無しになってたりするかも。
 地面が既に罠になってるんだよなぁ。

 「キュン!」

 「え? 汎用性たかっ。そんなんあり?」

 俺が面倒だから、ここのステージは飛ばして行こうかなと考えてたら、妲己が【天空歩】で足場を作ってくれた。
 これ、対象自分だけじゃないの? ズルくない?

 「うーん。使えるならいっか。考えても仕方ない。じゃあ妲己は足場作る事に集中して、他は順次戦っていこうか」


 「グエッ! グエッ!」

 「ゴギャー!!」

 蛙系の魔物をアシュラが一振りで吹き飛ばす。
 アシュラが取りこぼした魔物をテレサが後方から魔法で仕留めてどんどん進む。

 「止まって下さい」

 罠があってもグレースが探知して、魔法を使って強制解除。
 眷属達に死角はなさそうである。

 「ステージギミックが増えても、やってる事は前と変わらないな。妲己のお陰か」

 「キュン!」

 妲己は俺の頭の上に乗りながら、みんなの足場を作っている。
 俺? 俺は観戦だ。特にやる事がなくて困ってます。

 「冒険者はどうやって、ここから先に進んでるんだろうな。長靴でも履いてんのか?」

 確かここは50階突破してる筈だし、誰かしらは足を踏み入れた事があると思うんだけど。
 正攻法が気になるね。



 「冒険者居ないね」

 1日で55階までやってきたが、誰とも遭遇しなかった。ちょっと期待してただけに悲しい。

 「不人気なんでしょうね。泥の中に入ってまで冒険したくないという事でしょう」

 「冒険者なんだから冒険しろよぉ」

 って事は最後の迷宮に上位陣は固まってるのかな? それならそれでまぁ…。
 お楽しみは最後に取っておくって感じですか。

 「泥だらけで、なんか陰鬱とした気分になってくるし、ここは早めに抜けるか。もっと先に進んだら、前の迷宮で海に変わったみたいに、何かしら変化があるだろ。ここじゃ、まともに模擬戦とかも出来やしない」

 「かしこまりました」

 悪条件の中の練習って事ならありなんだろうけど。ちょっと俺はやる気になれないですね。
 そういうのは軍人さんにお任せです。
 いつか特殊部隊でも作ろうか。
 ネイビーシールズみたいな。



 「ゴギャ! ゴギャ! ゴギャ!」

 ブンブンと金棒を振り回して、衝撃を振り撒きながらボスに突進するアシュラ。
 現在70階のボス戦中。
 ボスは蛙系の皇帝さんだ。

 ここに来るまで1ヶ月ぐらい掛かっている。
 本当はもっと早く来れたんだが、ウェインが蛙系魔物の素材が欲しいらしく、まとめ狩りをしたりしてると思ったより時間がかかった。
 皮が良いゴム素材になって色々試してみたい事があるらしい。

 ゴム素材と聞いてグレースさんが何故かやる気になっていたなぁ。
 俺には理由はさっぱり分からんが。
 何故か、蛙系魔物を狩り出してから大人の玩具が増えたような気がするけど、やっぱり俺には理由はさっぱり分からない。

 「蛙とアシュラって相性悪いな」

 モブを狩ってた時から思ってたけど、ゴムっぽい体皮のせいで衝撃が上手く伝わってないんだよな。
 表面がヌルヌルしてるから、打撃も芳しくないみたいだし。
 雷にも少し耐性があるっぽいんだよな。
 ゴムだから? ル○ィかよ。

 因みに、この蛙のヌルヌルも素材として落ちる。
 少し加工したら、ローションみたいになるんだよな。何故か馬車の中に常備してある。不思議だね。

 「ゴギャルラー!」

 「あ、【狂化】使いよった」

 中々ダメージを与えられなくてイライラしたのか、アシュラが【狂化】した。
 あれ、強くなるけど諸刃の剣なんだよなぁ。

 筋肉が物凄くパンプアップし、目がギラギラしている。あれで正気を失ってないんだもんな。
 ちょっとズルいと思ったけど、日頃から嫌がりながらも【感覚狂乱】に耐える練習してるお陰だからな。努力の成果だし良い事だろう。

 「ダメージを全然与えられなかったら、テレサに介入してもらう予定だったけど、なんとかなりそうだな」

 「アシュラお兄ちゃんはやる時はやるの」

 お、お兄ちゃん? アシュラの奴、お兄ちゃんって呼ばれてるの? 羨ましすぎるんだけど?
 俺も呼んでほしいけど、自分からお願いするのは違うよなぁ。俺はずっとレト様なんだよね。

 【狂化】したアシュラは圧倒的だった。
 効かないなら効くまで殴る。
 分かりやすい脳筋プレイで、どんどんボスを追い詰めていく。
 ボスもなんとかもがこうとしてるが、一度型にハマってしまったアシュラは強い。
 最後は頭を潰して戦闘が終了した。

 「ゴ、ゴギャ…」

 雄叫びを上げようと、金棒を振り上げた所でアシュラは光に包まれて倒れた。

 「あ、進化だ。なんか締まらないな。せめて雄叫びを上げさせてやれよ」

 「アシュラらしいじゃないですか」

 グレースは笑いながら、素材を回収している。
 なんで魔法鞄にゴム素材を収納してるんですかね? もう十分過ぎるくらい玩具はあるんですが?
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