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第二章 名も無き吸血鬼

第23話 進化4

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 それから、俺と妖狐は1週間程かけて付近の盗賊を殺して回った。
 途中、1人べらぼうに強い盗賊が居てかなりピンチだったけど。

 『名前  マイル
  人種  ヒューマン
  Lv         54
  【スキル】
  身体強化Lv5
  気配察知Lv5
  斧術Lv6
  集団指揮Lv2
  体術Lv4
  暗殺術Lv2             』

 
 正直、人間を甘く見てたよね。
 対人戦も慣れてきたし、余裕かまして正面から行ったら普通に腕一本持っていかれた。
 流石に調子乗り過ぎたと、深く反省しました。
 戦ってる時は、気にしてなかったのになんとか相手を捕縛した後に激痛がやってきた。
 まあ腕がなくなった経験はなかったし、仕方ない。
 痩せ我慢しながら拷問しつつ、マイルから話を聞き出すと、これでも冒険者では中堅よりちょっと上レベルらしい。
 そして、やっぱりステータスは知らないと。
 これだけが唯一良い情報だよね。


 「ふーむ。この近辺はもう人間は居なさそうだな」

 俺は妖狐に【回復魔法】を掛けてもらいつつ魔石を食べながら、これからどうするか考える。

 「とりあえず、腕の復活は急務だよね。魔石余分に残してて良かった」

 魔石は、魔力量を増やすと共に回復薬の役割もあるからな。
 人間に魔石を食べさせてみたりしたけど、なんか変な中毒状態みたいになって死んだ。
 魔物限定の回復手段なのかな?
 試行回数が少なくてなんとも言えないけど。

 「で、器が貯まったから、進化も出来るんだけど選択肢がないんだよね」

 いつもなら、進化先一覧みたいなの出て来るのに今回は出て来ない。
 通常進化って事なのかな。
 初めて人を殺したりしたし、特殊な進化があると思ってたんだけどな。
 でも、通常進化なら有無を言わさず勝手に進化する筈なんだけど。
 もしかして、打ち止めって事はないよね?
 俺は内心で焦りながら、急いで魔石を頬張る。
 3歳児のままは勘弁してくれー! って思ってたんだけど。

 「よし。とりあえず腕は生えたな。徐々に腕がにょきにょきしてくるのは新鮮な体験だっ…た…ぞ」

 「キュン!? キュンキュン!!」

 俺は腕の調子を確かめてると急に意識を失った。



 

 〈進化が完了しました。二つの魂を確認。片方の魂には既に異能がある為、もう一つの魂に異能を付与します〉

 〈上位存在※※※※の介入を確認。異能が取り消されました〉

 〈上位存在※※※※の介入を確認。対象に名前が付与されます〉



 …
   ……
   ………

 え? また寝てた?
 えーと、腕が治ったと思ったら急に進化が始まったんだよな。
 特殊進化じゃなくても意識なくなったりするんかよ。

 「キュン! キュン! キュン! キュン!」

 「おお。心配かけたな。もう大丈夫だぞって…おおお!! 身長伸びてるぞ!」

 よっしゃー!!
 めちゃくちゃ身長伸びてる!
 前世の俺より身長高くないか!?
 180cmぐらいはありそうだぞ!

 「おっとっと。身長が伸び過ぎて、逆に感覚が狂うな。これはちょっと慣らし運動もしないと」

 盗賊からパクった質の悪い鏡で容姿チェック。
 ほわー。
 髪の毛の色もすごい派手。
 真っ赤っかじゃん。
 日本人だった前世からすると違和感があるけど、かっこいいから良し!
 ヴァンパイアだからか、かなり整った顔してるしね。
 どこぞの俳優にも負けてないぞ。

 「キュンキュン!」

 「どうだ? かっこいいだろう? これで街に入っても大丈夫そうだな」

 ナルシストみたいになってるけど今だけは許してほしい。
 前世はお世辞にもかっこいい容姿じゃなかったんだよね。
 ちょっとだけこの顔面に浸りたい。

 「さてさて? 俺は一体何になったのかな?」

 まあ、特殊進化じゃなかったっぽいし大体の予想はつくけどなーと思いながら【魔眼】を発動した。

 『ヴァンパイア・オリジン (男爵)
  名前  レト・ノックス
  【異能】
  魔眼Lv3 (解析)
      (魔力視)
      (遠見)
  【魔物能力】
  血液魔法
  音魔法
  影魔法
  眷属化 (0/5)                          』
  

 んんー?
 突っ込み所がいっぱいあるなー。

 
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