144 / 152
第6章 シークレット始動
第129話 環境適応の指輪
しおりを挟む狭間から出ると、それなりの人数に囲まれたけども、野次馬は自重してくれた。
何故なら、俺以外どのギルドも疲労困憊だからである。普段はうるさい公英や『MMM』が静かだから、雰囲気を察知して自重したようだ。
中々民度が良い。大阪なのに。
どういう狭間なのか気になってる人は多いだろうけど、その辺は大村さんが編集してくれる動画を待っていてくれたまえ。
1級の面白さと過酷さを兼ね備えた動画にしてくれるはずさ。
「殺人事件の予告とかないかな」
「映画の観過ぎだよ~」
晩飯を食べてからホテルに戻った。
大阪で用意してくれたホテルはかなりの高級ホテルで、最近映画で見たマスカレードホテ○にそっくりだ。刑事が潜入捜査してたりしないんだろうか。
長澤まさ○みたいな美人コンシェルジュは居るんだけど。
「ホテルでは無理って言ったらダメみたいだぜ。なんか難癖付けてやろうか」
「クレーマーみたいな事はやめてよね~」
冗談だよ。でもあの映画を観るとホテルマンって地獄だなとしか思えん。
意味の分からんクレーマーが多過ぎる。それでも笑顔でサービスを提供し続ける皆さんは凄い。
優良な客を心掛けようと思ったね。
「客じゃなくて~」
「お客様だろ」
大体映画を見てる時は桜も一緒だからな。
セリフとかも覚えてる。映画で何回も言ってる言葉のやり取りが出来て嬉しい。
これは俺の映画デビューも近いか。
「とりあえず『シークレット』の分は用意出来ました」
「量産は簡単? 他のギルド用にも一応用意しておいて欲しいんだけど」
ホテルに戻ってきて、パソコンを介して山田花子さんとテレビ電話。
砂漠の暑さ対策をしないと、攻略は進まん。
どうしても無理なら、俺の結界でなんとかしようと思ってたけど、うちの天才はやっぱり天才だったみたいだ。自分の趣味の研究の片手間で作ったらしい。
なんでこんな天才を野放しにしてたのやら。
素材さえ用意すれば、狭間探知機すら作ってしまう女傑だぞ。他企業に売り込みまでしてたのにな。
まぁ、その素材を用意するのが難しかった訳だが。良い拾い物したよね。
それに今回の砂漠で、やっぱり生産者の必要性を周知出来たんじゃないかと思う。
学校を作ろうとしてる俺に追い風になってくれる事を期待しよう。
「3級の魔石さえ用意出来るなら量産は可能です。そんなに難しい機構はしてないので、レシピさえ公開すれば誰でも作れると思います」
「そ、そうか」
その言葉は信用していない。
天才の難しくないは、往々にして難しいのである。一応他のギルドに連絡してみよう。出来てないなら、レシピを有料で公開するか、魔道具を買ってもらう。
山田さんに無理し過ぎないように、早く帰るよう言ってから電話を切る。
あの人は放置してたら、ひたすら何かしらの研究をしてるからな。いつも髪はボサボサです。
その後攻略ギルドに連絡してみたけど、やっぱり完成してなかった。それどころか、取っ掛かりすら無い状況らしい。
山田花子さんは3級の魔石さえ用意出来れば簡単って言ってたけど、普通に考えれば3級の魔石は高級品である。いきなり実験出来る訳がない。
うちのギルドではバンバン使わせてるから、感覚が麻痺してたや。
「じゃあとりあえずうちで用意しますね」
そういう事になったので、もう一度山田さんに連絡。早く帰るように言ったそばから申し訳ないけど、環境適応の指輪を作ってもらうようにお願いする。明日の速達で送りますねーって言われた。
優秀すぎる。
「快適だよ~!」
「凄いです! 普段使いしたいぐらいでありまする!」
疲労度と魔道具の関係で一日休息を挟んでから攻略を再開。どのギルドもしっかり疲労回復出来てるようでなにより。
魔道具の使い心地もばっちりだし、今日も今日とて頑張っていきましょうか。
「魔物を自分で増やす女王種が居なかったら、こんな感じで地道に魔物の数を減らしていけば、いずれはボスが姿を見せると思うけどな」
「1級は広いもんね~。だんちょ~が攻略した時は火力でゴリ押しだったけど~」
ゴリ押しで解決するならゴリ押し一択でしょ。
フィールドタイプはたたでさえ広くて面倒なんだし。ボス部屋があるタイプは道なりに進んで行けばいいから、まだ楽ちんで助かるんだけどな。
フィールドタイプはどこにボスが隠れてるから分からんし。フランスの海の狭間でやったようなゴリ押しをする方が楽なんだよ。
「まぁ、それをするとみんなの経験にならないから俺は黙って観戦するんだけど」
目の前では『スキナー』の上杉さんか、サンド・スコーピオンを召喚して、サンド・スコーピオンに対抗している。
数でゴリ押しすれば良いのにと思ったけど、1級の魔物を召喚するのは、中々魔力を持っていかれるらしい。
「上杉さんはあれだな。魔物毎に相性の良いのを召喚出来るようになったら、一人でも攻略出来るようになるな」
あの人だけでも各国の1級攻略の旅に連れて行けないだろうか。
まぁ、未だに要請はないんだけど。猶予はまだあるんだし、とりあえずは自国の探索者を放り込むに決まってるよね。
死ぬ人はかなり出そうだけどさ。
0
お気に入りに追加
749
あなたにおすすめの小説
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?
みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。
なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。
身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。
一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。
……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ?
※他サイトでも掲載しています。
※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。
千変万化の最強王〜底辺探索者だった俺は自宅にできたダンジョンで世界最強になって無双する〜
星影 迅
ファンタジー
およそ30年前、地球にはダンジョンが出現した。それは人々に希望や憧れを与え、そして同時に、絶望と恐怖も与えた──。
最弱探索者高校の底辺である宝晶千縁は今日もスライムのみを狩る生活をしていた。夏休みが迫る中、千縁はこのままじゃ“目的”を達成できる日は来ない、と命をかける覚悟をする。
千縁が心から強くなりたいと、そう願った時──自宅のリビングにダンジョンが出現していた!
そこでスキルに目覚めた千縁は、自らの目標のため、我が道を歩き出す……!
7つの人格を宿し、7つの性格を操る主人公の1読で7回楽しめる現代ファンタジー、開幕!
コメントでキャラを呼ぶと返事をくれるかも!(,,> <,,)
カクヨムにて先行連載中!
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
姉と妹に血が繋がっていないことを知られてはいけない
マーラッシュ
恋愛
俺は知ってしまった。
まさか今更こんな真実を知ってしまうとは。
その日は何故かリビングのテーブルの上に戸籍謄本が置いてあり、何気なく目を通して見ると⋯⋯。
養子縁組の文字が目に入った。
そして養子氏名の欄を見てみると【天城リウト】俺の名前がある。
う、嘘だろ。俺が養子⋯⋯だと⋯⋯。
そうなると姉の琴音ことコト姉と妹の柚葉ことユズとは血が繋がっていないことになる。
今までは俺と姉弟、兄妹の関係だったからベタベタしてきても一線を越えることはなかったが、もしこのことがコト姉とユズに知られてしまったら2人の俺に対する愛情が暴走するかもしれない。もしコト姉やユズみたいな美少女に迫られたら⋯⋯俺の理性が崩壊する。
親父から日頃姉妹に手を出したらわかっているよな? と殺意を持って言われていたがまさかこういうことだったのか!
この物語は主人公のリウトが姉妹に血が繋がっていないことがバレると身が持たないと悟り、何とか秘密にしようと奔走するラブコメ物語です。
魔法少女がいく~TS魔法少女は運が悪いようです~
ココア
ファンタジー
『始まりの日』と呼ばれる厄災から50年程経ち、世には魔法少女と呼ばれる存在が溢れ、魔物を狩るのが当たり前の世界となった。
そんな世の中でも社会人として暮らしていた榛名史郎は、偶然立ち寄った公園で魔法少女同士の戦いに巻き込まれ、瀕死の重症を負う。
薄れゆく意識の中、何処からともなく声が聞こえてきた。
「魔法少女が憎くないですか?」
その日、彼は『魔法少女』になった。
(他サイトにも投稿してます)
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる