115 / 152
第5章 海外遠征
第103話 完成
しおりを挟む北海道の海鮮を満喫して東京に帰ってきた。
これにて国内学校巡りは終了である。
「いやぁ。頑張った。今日からギルド事務所が完成するまでは引きこもるぞー!!」
「いっぱい買い溜めして来たもんね~」
絶対に外に出てやらないという意思表示の為にお菓子やらジュースやらをしこたま買ってきた。
お酒はラウンジに置いてあるしね。一回も使ってないが。
「ご飯は宅配で良しだし完璧だな」
「あたしはこの機会に少し料理でもしてみようかな~と思ってちょっとだけ材料を買って来ちゃったよ~。折角立派なキッチンがあるしね~」
すぐに飽きると思うけど。
桜もそれが分かってるのか、1食分しか材料を買ってない。俺達の1食分だから結構な量だけど。
さてして。頑張って学校巡りをしたご褒美期間として引きこもりを楽しませてもらいましょうかね。
そしてそれから約一ヶ月。
我が家のビル全体が完成した。
「長らくお待たせしました」
「いやいや『地震に負けない』には良い仕事をしてもらいましたよ。社宅の方も既に始めてくれてるみたいで」
「はい。そちらも順調に進んでおります。なんとか皆さんが上京してくるまでには間に合うかと」
「それはそれは。報酬もしっかり上乗せしておきますね」
ギルド長の芦田さんとの世間話もそこそこに、早速ビルの中に入ってみる。
まず入ると、品の良い受付が目に入る。
デザイナーさんも素晴らしい仕事をしてくれてるな。文句の付け所がない。
「1階から10階までが事務所になってます。2階からは経理や広報など、部門毎の階層になってますね。9階は食堂に、10階は応接室やギルド長室等も」
「ほうほう。あ、設備系も既に入れてくれてるんですね」
「はい。織田さんからはお金に糸目をつけずに最高級のモノをとお願いされてましたので。私達のギルドが提携してるインフラ関係のギルドにお願いしました」
すぐに仕事を始められるようにパソコンやらコピー機やらその他インフラ関係もしっかりやってくれている。俺はこの辺はちんぷんかんぷんだから、後で桜に見てもらおう。
食堂も料理人を何人か雇ったからね。
基本的にはここで働いてもらう。勿論、ギルド員にはお安く提供する予定だ。
俺は無料でも良いと思ったんだけど、桜にそれはよくないって言われたので、なるべくお安くという事になった。俺達も飯を食べに行くのが面倒だったら、ここを利用する事になるかもしれない。
「では次は11階と12階へ向かいますね」
お次はギルド員が息抜きに使えるようにと用意したジムである。11階は各種マシンが用意してあり、体を動かしたい人はここでどうぞって感じだな。
12階は階段でもエレベーターでも行けるようになっており、プールと大浴場を用意してある。
俺達は特に使う予定はないけど、気が向いたらプールとかに入りたくなるかもしれないって事で、ノリで用意した。
ここは無料で使用可能である。
「次は14階ですね。ここからは専用のカードキーが無いと入れないようにしてあります」
エレベーターにカードキーを翳して更に上に向かう。俺の家のカードキーと同じ感じだな。このカードキーでも我が家までは来れないけど。
「おお!」
「すっご~い!」
14階から18階は所謂生産部屋である。
各種生産系能力者の為の生産設備が階層毎にズラリと設置されている。
「こちらも現状最高級の設備を用意させて頂いてます。研究室の各種設備も同様です」
うむうむ。大満足ですな。
正直、ここが一番お金が掛かった。
研究用の設備とか目玉が飛び出るぐらいのお値段だったからな。
まぁ、これは先行投資ってやつだな。
これから投資分を回収出来る程の発明やらをしてもらうとしよう。勿論、俺の異世界知識も提供する予定だ。魔道具とかを実際に見せたりな。
いやぁ。俺に収集癖があって良かったな。
とりあえず見た事ない魔道具は買ったりしてたから。一時は魔道具の収集の為にダンジョンに潜ってた事もある。
「ふむん。これだけ大きいならもう少し人を雇ってもいいかもしれんな。第二回面接を開きたいところだけど」
「もう少し間を空けないとね~。前回、書類段階で弾いた人しか応募してこないよ~。もう少し生産関係で実績を上げれば良い宣伝になって個人でやってるような人が応募してきてくれるかもだけど~。だんちょ~は戦闘関係で目立ってるけど生産系はまだ未知数だからね~。様子見してる人達も居ると思うんだ~」
それもそうか。なら仕方ない。もう少し待つとしよう。あ、生産系能力者の学校を作ろうとしてたのを忘れてた。後で素案をまとめておこう。協会に相談しないといけないしね。
因みに13階はわざと空けてある。何か他にも設備を入れたくなった時ように一階だけ空けてもらったのだ。だから13階はがらんとしてあり、マジで何も置いていない。
「ふむふむ。俺としてはパーフェクトなんだけど、桜さんはどう?」
「う~ん…。設備とかに関しては文句ないよね~。問題は私達かも~?」
むっ。何か俺達に問題が?
性格とか言わないでよ? それは俺も分かってるけど治らないんだから。
「ほら~。警備の人達がいるんじゃないかな~って思って~。戦闘系の能力者はいらないと思ってたけど~。私達は自衛出来ても他の人達はそうじゃないでしょ~? これから発明とかしたら強硬手段で情報を抜きにくる人達が絶対出てくるし~」
あーなるほど。
確かに他のギルド員の安全の事を考えてなかったな。研究員とか生産系能力者が襲われたりする可能性もあるのか。護衛とかが必要だなぁ。
うーん。学校巡りも終わって、スカウトが出来ない。在野のフリーの探索者に声を掛けるべきか。
「また配信で呼びかけるか」
「そうしようか~。ついでに事務所紹介とかお家紹介とかもしちゃお~。んふふ~。なんだか配信者っぽくて楽しくなってきた~」
0
お気に入りに追加
746
あなたにおすすめの小説
2度追放された転生元貴族 〜スキル《大喰らい》で美少女たちと幸せなスローライフを目指します〜
フユリカス
ファンタジー
「お前を追放する――」
貴族に転生したアルゼ・グラントは、実家のグラント家からも冒険者パーティーからも追放されてしまった。
それはアルゼの持つ《特殊スキル:大喰らい》というスキルが発動せず、無能という烙印を押されてしまったからだった。
しかし、実は《大喰らい》には『食べた魔物のスキルと経験値を獲得できる』という、とんでもない力を秘めていたのだった。
《大喰らい》からは《派生スキル:追い剥ぎ》も生まれ、スキルを奪う対象は魔物だけでなく人にまで広がり、アルゼは圧倒的な力をつけていく。
アルゼは奴隷商で出会った『メル』という少女と、スキルを駆使しながら最強へと成り上がっていくのだった。
スローライフという夢を目指して――。
どうせ結末は変わらないのだと開き直ってみましたら
風見ゆうみ
恋愛
「もう、無理です!」
伯爵令嬢である私、アンナ・ディストリーは屋根裏部屋で叫びました。
男の子がほしかったのに生まれたのが私だったという理由で家族から嫌われていた私は、密かに好きな人だった伯爵令息であるエイン様の元に嫁いだその日に、エイン様と実の姉のミルーナに殺されてしまいます。
それからはなぜか、殺されては子どもの頃に巻き戻るを繰り返し、今回で11回目の人生です。
何をやっても同じ結末なら抗うことはやめて、開き直って生きていきましょう。
そう考えた私は、姉の機嫌を損ねないように目立たずに生きていくことをやめ、学園生活を楽しむことに。
学期末のテストで1位になったことで、姉の怒りを買ってしまい、なんと婚約を解消させられることに!
これで死なずにすむのでは!?
ウキウキしていた私の前に元婚約者のエイン様が現れ――
あなたへの愛情なんてとっくに消え去っているんですが?
今さら、私に構わないでください
ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。
彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。
愛し合う二人の前では私は悪役。
幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。
しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……?
タイトル変更しました。
趣味を極めて自由に生きろ! ただし、神々は愛し子に異世界改革をお望みです
紫南
ファンタジー
魔法が衰退し、魔導具の補助なしに扱うことが出来なくなった世界。
公爵家の第二子として生まれたフィルズは、幼い頃から断片的に前世の記憶を夢で見ていた。
そのため、精神的にも早熟で、正妻とフィルズの母である第二夫人との折り合いの悪さに辟易する毎日。
ストレス解消のため、趣味だったパズル、プラモなどなど、細かい工作がしたいと、密かな不満が募っていく。
そこで、変身セットで身分を隠して活動開始。
自立心が高く、早々に冒険者の身分を手に入れ、コソコソと独自の魔導具を開発して、日々の暮らしに便利さを追加していく。
そんな中、この世界の神々から使命を与えられてーーー?
口は悪いが、見た目は母親似の美少女!?
ハイスペックな少年が世界を変えていく!
異世界改革ファンタジー!
息抜きに始めた作品です。
みなさんも息抜きにどうぞ◎
肩肘張らずに気楽に楽しんでほしい作品です!
異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる
名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。
愛されなければお飾りなの?
まるまる⭐️
恋愛
リベリアはお飾り王太子妃だ。
夫には学生時代から恋人がいた。それでも王家には私の実家の力が必要だったのだ。それなのに…。リベリアと婚姻を結ぶと直ぐ、般例を破ってまで彼女を側妃として迎え入れた。余程彼女を愛しているらしい。結婚前は2人を別れさせると約束した陛下は、私が嫁ぐとあっさりそれを認めた。親バカにも程がある。これではまるで詐欺だ。
そして、その彼が愛する側妃、ルルナレッタは伯爵令嬢。側妃どころか正妃にさえ立てる立場の彼女は今、夫の子を宿している。だから私は王宮の中では、愛する2人を引き裂いた邪魔者扱いだ。
ね? 絵に描いた様なお飾り王太子妃でしょう?
今のところは…だけどね。
結構テンプレ、設定ゆるゆるです。ん?と思う所は大きな心で受け止めて頂けると嬉しいです。
噂好きのローレッタ
水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。
ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。
※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです)
※小説家になろうにも掲載しています
◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました
(旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)
最凶の悪役令嬢になりますわ 〜処刑される未来を回避するために、敵国に逃げました〜
鬱沢色素
恋愛
伯爵家の令嬢であるエルナは、第一王子のレナルドの婚約者だ。
しかしレナルドはエルナを軽んじ、平民のアイリスと仲睦まじくしていた。
さらにあらぬ疑いをかけられ、エルナは『悪役令嬢』として処刑されてしまう。
だが、エルナが目を覚ますと、レナルドに婚約の一時停止を告げられた翌日に死に戻っていた。
破滅は一年後。
いずれ滅ぶ祖国を見捨て、エルナは敵国の王子殿下の元へ向かうが──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる