上 下
107 / 152
第5章 海外遠征

第95話 単独行動

しおりを挟む

 
 「帰ってきたぞ日本!!」

 「なんだかんだあっという間だったね~」

 フランスから日本に帰国した。
 報酬もしっかり振り込んでもらったし、懐はかなりあったかい。
 それに。

 「では御用の際はいつでも連絡を下さい」

 「当分は日本に居ると思うんでゆっくりしてて下さい」

 俺達のフライトを担当してくれた二人のパイロットの引き抜きに成功した。
 中々に高給取りだけど、『シークレット』専属になってくれたのだ。

 「ソフィーとマリオンを連れて来れなかったのが悔やまれるぜ」

 「そんなに積極的に誘ってなかったくせに~」

 まぁ、そうだけどさ。軽くお声がけはしたんだよ? このまま『シークレット』に入りませんかって。やんわりと断れたんだよね。

 「まっ、『シークレット』に入ると日本に住む事になるからな。慣れ親しんだ土地を離れるのは嫌だったんだろう」

 「だんちょ~の事が嫌いだっただけかもしれないよ~」

 それを言うなよ。ちょっとそうかなって気にしてるんだから。特に粗相とかもしてないつもりなんだけど、人間どこでやらかしてるか分からないからね。



 「ポテちゃ~ん!!」

 「にゃ」

 日本に帰ってきてまず向かった場所はポテを預けていたペットホテル。
 桜はポテを見た瞬間ダッシュで駆け寄っていた。

 「大物感丸出しだな。まさか本当に一鳴きとは」

 「寂しかったでしょ~? 今日からはずっと一緒だよ~!!」

 「にゃごにゃご」

 やれやれみたいな素振りを見せないでくれ。
 桜が可哀想じゃないか。

 「さっ、帰るぞ。学校巡りは一週間後から再開だし、とりあえず引きこもろう」

 ゲームでも買って帰ろうかな。
 今回はほとんど観光しかしてないとはいえ、ちょっと疲れたし。
 家でゆっくり英気を養いたい。

 「んふ~。もふもふだね~」

 無視ですか。そうですか。天魔君拗ねるぞ?
 俺が拗ねたら面倒だぞ?


 翌日。
 起きたら昼前だった。
 久々にこんなにがっつり寝たかもしれない。

 「にゃおーん」

 「んふふ~! 上手だね~!」

 既に桜は起きてたみたいでポテと遊んでいた。
 キャットタワーから飛び降りるポテを桜が糸で優しくキャッチしている。
 危ないからやめて欲しいんだけど。

 「にゃにゃにゃ」

 桜の糸から解放されると、またキャットタワーに登り始める。
 そして桜が糸を展開してるのを確認してから、また飛び降りた。

 「ちゃんと安全確認してるのか。賢過ぎるだろ」

 「うちの子だよ~? 賢いのは当たり前~」

 どちらの知性を参考にしてるので?
 俺は残念ながら馬鹿だぞ? 分数の計算も怪しいからな。

 「まぁ、良いや。俺ちょっとゲーム買ってくるけど。桜はどうする?」

 「今日は一日中ポテちゃんと遊ぶって決めてるんだ~」

 「さいですか。ならお一人様で行って来ますね」

 「ついでにお昼ご飯お持ち帰りしてきて~」

 「はいはーい」

 ふむ。流石に寝起きの顔で行くのはよろしくないか。シャワーを浴びてから向かうとしよう。



 「そういえば単独行動ってこっちに帰ってきてから初めてだな」

 車を運転中に独り言を呟く。
 歌を適当に流してるんだけど、100年の時間が空いてるからか、知ってる曲が皆無である。

 「ついでにCDとかも買うか。売ってるのか知らないけど」

 スマホに曲を入れてBluetoothを使えば良いんだろうけど。桜さんが居ないと使い方が分かりませんな。機械オンチはこういう時は辛いぜ。
 今も流れてる音楽は車のエンジンを付けると勝手に流れ始めただけだし。
 桜がなんかしたんだろうけど、俺には理解不能です。


 そんなこんなでやって来ました秋葉原。
 一応サングラスだけは装着して申し訳程度の変装はしている。
 そのうちバレるかもだけどね。

 まず向かったのはゲーム専門店。
 俺が探してるゲームは骨董品ばっかりだけど、果たしてあるのかどうか。
 無かったらネットで探すしかないよな。桜にやってもらおう。

 「やばいな。俺って桜が居ないと何も出来ないのでは?」

 分からない事があったらなんでも桜頼りになってる。それが良い事なのか悪い事なのか。
 まぁ、気にしない事にしよう。

 買い物カゴを持って店を回る。
 とりあえず面白そうなソフトは適当に購入する予定だ。
 昔の作品もやりたいけど、最新のゲームも手を出してみたいしね。

 で、そんな風に次々と買い物カゴにゲームを入れてたら当然目立つ訳で。
 普通に身バレした。別にどうしても隠したい訳じゃ無かったし良いんだけど。

 「あれ? 今日は桜たんいないな?」

 「ほんとだ。一人って珍しいな」

 「桜たん居ないのか…」

 身バレはしたものの、誰も近付いてこない。
 遠巻きに見られてヒソヒソと。
 それ、人によっては傷付くからやめようね。
 桜が居なくて落胆してる君も。俺じゃダメなんですか。

 「おっ! 骨董品コーナーめっけ!」

 骨董品って書いてる訳じゃないけど。
 古いゲームコーナーだな。

 「意外と保存状態が良い。これは嬉しいな」

 まぁ、もうありませんって言われても作ってってお願いすれば作ってくれそうだけど。
 それはさておき。
 俺が知ってる作品が多数ある。
 これは第2回『シークレット』散財祭りが始まるぞ。残念ながら今日は桜は居ないけど、あの日に負けないぐらい一人で散財してみせる!!
 ブランド品とゲームソフトの勝負じゃい!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第二章シャーカ王国編

【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜【毎日更新】

墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。 主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。 異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……? 召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。 明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。

漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?

みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。 なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。 身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。 一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。 ……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ? ※他サイトでも掲載しています。 ※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。

処理中です...