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第2章 日常の日々

第35話 傲慢

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 「へぇ~! 傲慢ルシファー ってやっぱり堕天使なんだ~!」

 「異世界的には悪魔らしいけど。まぁ、堕天使だよな」

 見た目は天使と相違ない。
 ただ、翼やら天使の輪っかが漆黒なだけで。
 正直、かなりカッコ良いと思っている。
 漆黒の翼をふぁさふぁさして、ちょびっと桜に見せつける。

 「天使の時みたいな神々しい感じはないんだね~? 禍々しい感じはするよ~。この辺は悪魔なんだ~?」

 予想以上に桜に対してウケが良い。
 天使で調子に乗ってた時は、笑って写真撮りまくってたくせに。

 「とりあえずさっさと情報吐かせるか。あんまりここで長居すると、誰か来た時に面倒な事になる」

 まぁ、記憶を消したら話は早いんだけど。
 無闇矢鱈と一般人に能力行使するのはね。

 「それで~? 傲慢ルシファー の能力はなんなの~?」

 「なら、早速やるか」

 俺は体内で魔力を循環させて声を出す。
 因みに、襲撃者の男は口を糸で縛られてる為、声を出す事は出来ない。
 俺が能力を使って拷問でもすると思ってるのか、バタバタと抵抗してるけど。

 「織田天魔が命ずる。今回の襲撃の意図、誰かから依頼されたのか、洗いざらい吐け」

 「だんちょ~。どんな能力が大体予想はついたけど、口を開放しないと喋れないよ~」

 そうでしたそうでした。
 カッコよく決めようと思ったのに締まらないね。



 傲慢ルシファー の能力は呪言である。
 魔力を乗せた言葉を発すると、その通りの事が起こるという、中々ぶっ壊れた能力だ。

 死ねと言われたら死ぬしかなくなるし、時間止まってーって言ったら本当に時間が止まる。
 起こす事象によって、魔力消費は異なるから時間も長い間止める事は出来ないけど。

 それに、対象が生物の場合は魔力量で上回ってないといけない。
 現代では多分俺より魔力量が多い奴は居ないから、これだけで無双出来るが、異世界では俺より魔力量の多い敵はいっぱいいた。
 魔王なんて時間を止めても普通に動いてくるしね。本当、あいつの化け物っぷりには手を焼いた。

 まあ、こういう情報収集には色欲アスモデウス嫉妬レヴィアタンの方が向いてるんだけどね。
 見た目がよろしくないから。街中でなんてとてもじゃないけど使えない。
 普通の憑依ですら目立つんだから。

 「それで~? どうするの~?」

 「これって殺したらまずいよなぁ」

 情報を聞き出した男の処遇について考える。
 用済みだし、俺の反転能力も見せたから殺した方が手っ取り早いんだけど。

 「カメラに映るように動いたのはだんちょ~でしょ~? 協会と警察に連絡した方が良いんじゃな~い?」

 「そうするのが一番か。仕方ないな。織田天魔が命ずる。俺が行使した能力は一切忘れるように」

 「便利すぎな~い?」

 「便利は便利だけどな。雑魚相手には死ねって言えば終わるし。でもこの子かなりじゃじゃ馬なんだよ」

 現に今も、暴れ出しそうなのを必死に抑えている。悪魔勢は総じてじゃじゃ馬だ。
 特に傲慢ルシファー は堕天使のせいか、天使勢との相性が最悪だ。
 俺が天使達と上手くやってるのが、気に入らないんだろう。
 別に俺も上手くやってる訳じゃなくて、神と仲が良いから聞き分けが良いだけなんだけど。

 しかも言葉って便利すぎて困るんだよね。
 止まれの一言で色々止まるから。多分止めようと思えば自転すら止めれる。
 魔力量が足りるかはわからないけど。でも一秒止めれば地球は崩壊するんじゃないだろうか。
 だからこの傲慢ルシファー を使う時は注意が必要。しっかりとしたイメージが必要になるからね。
 これの能力練習で、禁忌領域が一つ増えたのは良い思い出です。

 さて、さっさと連絡するかね。
 お腹空いてきたし、ご飯も食べたい。



 「ただいま~」

 「思ったよりも時間が取られなくて助かったな」

 「警察の人達に無言で圧力かけてたからでしょ~? 可哀想に~。滅茶苦茶ビビってたよ~?」

 すみません。お腹が空いてきて我慢できなかったもので。急にマクドナル○が食べたくなっちゃってね。いっぱいお持ち帰りして来たから楽しみだ。

 まぁ、後日また話を聞く事になると思うって言われたからその時は素直に応じよう。
 空腹はダメだな。人をイライラさせてしまう。

 「さて、今回の事だけど」

 「どうしよっか~?」

 エビフィレ○に齧り付きながら、さっきの顛末について話をする。
 うむ。うんまい。俺、これが一番好き。

 「闇ギルドって現代にもあるんだな」

 「人間だもの~。何処にだって日陰者はいるよ~」

 今回襲撃したきた男は闇ギルドの一員で暗殺を専門としてるらしい。
 その割に弱かったけど。桜に秒殺されてたけど。
 能力は投擲らしい。極めたら強いだろうけど、短剣を投げるしか能がないなら、暗殺者の名前は返上した方が良いだろ。
 もっとバレにくい、針とかの方が良いのではと思うけどね。

 「上からの命令で殺しに来たらしいから、依頼者が居るんだろうな」

 「実行役のあの男には知らされてなかったみたいだね~」

 もし捕まったら、芋蔓式にバレるからな。
 与える情報は最小限にしておくのが普通にだろう。そのせいで、これからどうするか迷った訳だが。

 「警察やら協会に任せておくってもありだけどな。別に被害があったわけでもないし、一々気にするのも面倒なんだよね」

 「一応闇ギルドの場所も聞いたけど~支部みたいだしね~」

 どうせ潰したって新しく別の闇ギルドが生えてくるだけだしなぁ。ああいうのはいくら潰してどこかで新興勢力が出てくるから。
 ゴキブリとか魔族と一緒。関わるだけ時間の無駄なんだよね。

 「あーでも最初が肝心か? 今のうちに何個かを徹底的に叩いておけば、依頼を受ける奴がいなくなるかも?」

 「どうだろうね~? 裏の世界もメンツを気にするし~? 名を上げたい人間がこぞってやって来そうな気もするけど~」

 自分の命よりメンツが大事ですか。
 ちょっと意味が分かりませんね。
 俺は何よりも自分の命が大事ですので。

 「とりあえず警察とかに任せておくか。俺が今、動き出したら迷惑になりそうだし」

 ここで潰しに行ったら俺がやったって普通にバレるからな。
 今の所は大人しくしておこう。
 我慢の限界がくるまでは。
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