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第2章 日常の日々

第30話 配信に向けて

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 「おぉ~。トレンドにまで上がってるよ~」

 「質問募集しただけなのに?」

 「それだけ気になってる人が多いんだよ~」

 配信をして質問に答えたり、人員を募集する事が決まり、桜は早速SNSで告知した。
 反響は凄まじく、人気者になったんだと実感出来るな。

 「だんちょ~。アキバに行くよ~。配信機材を揃えないと~」

 「あ、そうか。そういうのもいるよな」

 てっきり、スマホで撮影するもんだとばっかり思ってたぜ。
 これからも配信するかも知れないし、それなりの物を用意しないとな。

 「配信部屋みたいなのも作ってもらうように、『地震に負けない』に追加注文するか」

 「そうだね~。防音部屋にしてもらうだけでも充分だけど~」

 よし。とりあえず機材買いに行くか。
 アキバって行くの初めてなんだよね。
 ちょっと楽しみです。



 「おおおおっ! ここがかの有名な歩行者天国ですか! なんか道路を堂々と歩くのも新鮮だな!」

 歩行者天国、略してホコテン。
 日曜日限定で時間制限もあるけど、道路の真ん中を歩けるのってなんか楽しいな!

 「ポコチン~?」

 「急に何を言ってるんだ、辞めなさい」

 びっくりするわ。今日もいつもの様に野次馬がらいるんだから、それなりに気を付けて下さい。
 告知をしたりした訳じゃないんだけど、タクシーでアキバに降り立って、少ししたら直ぐにいっぱい集まった。

 SNSで情報はすぐに回るからなぁ。
 恐ろしい世界になったもんだぜ。便利といえば、便利なんだけどね。ネットに回ってる情報が全部正しいわけじゃないから気を付けないと。
 自分で取捨選択出来る人なんて、そうは居ないと思うけどさ。

 「そういえば、車買おうと思ってたんだった。毎回タクシーでも良いけど、あった方が何かと良いだろう」

 「立派な駐車場があるのに~車は一台も停まってないもんね~」

 地下駐車場に車もあるのかなと思ってたけど、そこまで優しくなかった。
 何台か適当に購入しておこうか。別に拘りはない。強いて言うならカッコ良いのが欲しいかな。

 「それはまた今度で良いか。とりあえずは秋葉原を楽しもう。メイド喫茶とかあるのかな?」

 「萌え萌えキュ~ン」

 はいはい。可愛い可愛い。
 もっと心を込めてやると良いんじゃないですかね。鼻で笑いながらやられても嬉しくないよ。



 「自動販売機だと思って舐めてたけど、普通に美味いな」

 「あたし達にはチープな味が合ってるんだよ~」

 自販機で売っていたおでん。
 意味が分からなかったが、面白そうだったので思わず購入して食べてみたんだけど、普通に美味しい。

 それからは色々な店を冷やかしつつ、時には購入。
 アニメやら漫画やらを大量に買ってしまった。
 荷物が多くなったらトイレに駆け込み、個室で憑依してアイテムボックスに放り込む。
 流石に大量の人前で、あの憑依をする勇気はなかった。

 「異世界に行く前に気になってた漫画が完結してるのは良いな。先の展開が気になりすぎずに済む」

 「100年前の漫画なんて今じゃ骨董品扱いだけどね~」

 「それでもちゃんと置いてあるのが凄いよな。電子でも買うけど、やっぱり紙でも欲しい」

 何故か完結してない漫画もあるんですけど、作者さんは生きてらっしゃるんですかねぇ。
 現代に帰ってきて、まだHUNTER○HUNTERが完結してないのは何故なんでしょう。

 「ずっと向こうに居て、話を全然覚えてなかったけど、見返していくと思い出していくのが凄いよな。300年だぞ? それだけ記憶に残ってた名作という事なんだろうなぁ」

 まさかワンピー○の正体があれだったとは。
 びっくりだぜ。



 「パソコンって時代が進んでも高いんだな。いや、高性能になったからこそ、高くなってるのか」

 「大人買いしちゃったね~」

 お金はあるから良いんだけどさ。
 某有名店に入って店員さんと話しつつ、勧められるままに購入したんだけど。
 絶対俺達、カモだと思われてたぞ。
 迷いなく一番高いのを勧めてきてほぼ即決したしな。なんて優良客なんでしょう。

 「設置とかもしてくれるらしいけどさ。すぐに改装するから、邪魔になっちゃわない?」

 「それはもう仕方ないじゃ~ん? きっと芦田さん達がなんとかしてくれるよ~」

 なんか申し訳ないけど、もうお願いしちゃったしな。お金を多めに支払うから許してほしい。
 改装してる間になんとかギルド員を募集しておきたいもんで。

 「んじゃ、飯食って帰るか。何が良い? 牛丼ってのは「牛丼~!」無しだ…ぞ」

 桜はニコニコと辺りを見回して、既に視界には松野さんを捉えている。
 まさか、誘導されていたのか?
 恐るべし、牛丼への執念。お見それしました。

 「………じゃ、行きますか」

 「わ~い!」

 ザギンでシースーをベーターしたかったんだけどな。美味しいお寿司って、回転寿司とは全然違うらしいからさ。

 桜さんが幸せそうだから良いか。
 その内食べる機会もあるでしょう。

 「口が牛丼になってきたな。週5ペースで食べてるのに飽きないってやばいよな」

 「牛丼には~人を虜にする魔力があるんだよ~」

 今日はチーズ牛丼の特盛とネギ玉牛丼の特盛だな。まだいけそうだったら、豚キムチ丼も食ってやろう。そろそろ全メニュー制覇も出来るんじゃないだろうか。
 毎回ネギ玉牛丼だけは外さず食べてるんだけど。
 こればっかりは外せない。
 なんか義務だとばかりに、毎回頼んでしまう。

 「んふふ~」

 ほんと嬉しそう。牛丼で幸せになれる女性か。
 世の男性からしたら、理想なんじゃないの?
 お高いところばっかり要求してくる奴より、何倍も良いよね。
 偶になら良いんだけど。
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