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第四章 大学受験
第73話 尾行
しおりを挟む俺と梓はスニークミッションを開始する。
まず二人が向かったのは、学校近くの喫茶店。
「てか、学校の最寄駅でデートするって結構気合い入ってるよな」
「そうね。見られても構わないって感じなのかしら?」
なら尾行されても文句は言えないな。
うん。僕達悪い事してません。
会話が聞こえる程度の場所へ案内してもらい、耳をすませる。
「今日はわざわざありがとうございます」
「良いのよ。私も挨拶したいと思ってたしね」
挨拶? 挨拶とはなんぞや?
「あれじゃないかしら? ご両親にご紹介」
「ああ、なるほど」
あのお姉さん大丈夫かな。曽川君のお父さん。滅茶苦茶顔怖いけど。中身は普通に優しいおっちゃんなんだが。家の感じと相まってその筋の人にしか見えないんだよね。
「テストお疲れ様。結果良かったんでしょう?」
「はい。えへへ。友達のお陰で年々成績が上がっていくんです!」
は。可愛い。えへへって。あざとすぎるだろ。
彼女さんの心拍大丈夫だろうか。吐血しそうになってるけど。
「それは前に言ってた…谷君だったかしら?」
「はい! 谷君と中村さんです! 二人とも凄いんですよ! いつもテストは100点なんです!」
照れる。梓も心なしか顔が赤くなってる。
ここまで混じりっ気がない純度100%で褒められるのはなんかこそばゆいな。
「100点って凄いわね。千葉高校ってレベルが高いのに…」
「一年生の頃から同じクラスでその時から凄かったんですよ! 大学も東大を目指してるそうです!」
「その成績ならそうよねぇ」
あ、あの。そろそろ浮ついた話でもどうです?
俺達を褒めてくれるのは嬉しい。チヤホヤされるのは大好きですし。でも今日はちょっと心の準備が出来てなかったといいますか…。
さっきから二人とも照れまくりであります。
「それで楓君は? そろそろ大学決めた?」
「うっ…。まだです…」
「あ、急かしたりしてる訳じゃないのよ? 楓君のこれからに関わる事だし、いっぱい悩んで答えを出したらいいわ。東京の大学の事なら私も少しは力になれるしね」
「はい!」
あ、楓ってのは曽川君の下の名前ね。
多分初登場の筈。
「曽川君の彼女さん良い人だな」
「確かあの人自体も頭が相当良かったはずよ。お茶の水女子大って言ってたもの」
ほえー。そりゃすげぇや。チート無しでそういうところに現役合格出来る人ってほんとすげぇ。
素直に尊敬する。俺達がズルしてるから余計にそう思うんだよね。
ただの曽川キラースマイルにやられたお姉さんじゃないって事だ。
その後も話を盗み聞き。
聞けば聞くほど曽川君は良いお姉さんを捕まえたねって思えてくる。
聞き上手の話上手。聞くに徹するだけじゃなくて、ちゃんと自分の意見も言ったりと、完璧なお姉さんムーブをしてらっしゃる。
曽川君が惚れたのにも納得だ。梓には負けるがな!!
「帰るか」
「そうね。これ以上はなんだか下世話だわ」
既に盗み聞きしてる時点で手遅れだけどね。
でもでも中々貴重な体験が出来た。クラスメイトがデートしてるのなんて中々見られるもんじゃないからね。
「あそこのお会計も一緒にお願いします」
せめての罪滅ぼしとしてお会計は払いますね。
思う存分この後もデートを楽しんでくだせぇ。
「ついでだし俺達もデートして行くか」
「あら? 触発されたのかしら?」
そうとも言う。
帰りにゲーセンに寄ってカップルらしく滅茶苦茶楽しんで帰宅しました。ちゃんちゃん。
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