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第1章 ダンジョン内に放置されたようです……
第九話 皆に感謝‼
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考え込んで百面相している結菜を見て、アル達はなんとなく結菜が何をしたいのかわかってしまった。
思わず、たらりと汗が流れる。
「おい、あいつがあのダンジョンマスターを連れて帰りたがっているように思えるんだが……」
「同感。私にもそう見えるわ」
「っていうかユーナちゃんってどこに住んでるんすか?」
コールの何気ない質問に黙り込む一同。
「とりあえず、迷子だったら警備隊に預けるしかないだろ」
「でも、普通の一般家庭にダンジョンマスターは連れて帰れなくない?」
確かにとアル達は思った。
もしダンジョンマスターを一般家庭に連れて帰れば大変なことになる。
ダンジョンマスターは普通のモンスターと比べても圧倒的に強い。一般家庭ならば絶対に受け入れられるようなモンスターではないのだ。
というか、普通の人間ならダンジョンマスターを見た瞬間気絶する可能性が高い。いずれにしても、家に気軽に連れて帰れるわけがなかった。まぁ、親が腕の立つ冒険者なら話は別なのだが………………。
サアシャが思い切って結菜にたずねてみた。
「ねぇ、ユーナちゃん。君のお家は一般家庭?それとも冒険者?」
◆
結菜は返事にすごく困った。
なぜならそもそも自分はこの世界の人間じゃないから。両親は冒険者なんかではないしこの世界にいない。ザ·ホームレスの状態なのである。
「家、どこにあるのかわかりません」
素直にアル達に言うと驚かれた。
「えっ、自分で来たんじゃないの?」
「いえ、というか、気がついたらこのダンジョンのセーフティゾーンにいたのでさっぱりです」
「転移魔法陣の罠にでも引っかかったのか?」
結菜はアルの問いにうなずいた。……嘘ではない。嘘ではないはずだ。自分は気がついたらあのセーフティゾーンにいたので、転移魔法陣に巻き込まれたにちがいない‼結菜は心の中で必死に弁解した。自己暗示もした。……冷たい汗が背中にどっと流れてはいるが‼
そんな結菜は他所にクリード達は盛り上がっていた。
ミリーがある提案をしたからである。
「ねぇ、アル‼私ユーナちゃんにうちのクランに来てほしい‼」
「それいいわね‼賛成よ」
「うん、僕もいいと思うな」
「はい。俺もそう思います」
「おいおい、お前ら何勝手に……‼」
ミリーのナイスな提案に目を輝かせるクリード達。
アルが盛り上がるクリード達に待ったをかけた。
その一方で、結菜は突然の『結菜ちゃんをうちのクランに連れて帰ろう』ムードについていけずぽかんとしていた。
まさか見ず知らずの自分を引き取ってくれるとは思ってもいなかった。身の上を証明さえできない自分を……。
普通であれば結菜の認識は間違っていなかっただろう。しかし、結菜がスキルを使い助けてくれたことをクリード達は知っていた。そのため、恩を感じていたのだ。
そんな彼女にダンジョンに放置なんてできるわけがない。ましてや野宿なんてさせられない‼クリード達の思いは強かった。
「だが、本人の了承もなく決めるのは……」
「あぁ、確かに。ねぇユーナちゃん。君は俺たちのクランにくるつもりはないかい?」
「せめてあなたを引き取ってくれる人が見つかるまででもいいから。ね?どうかな?」
「それにそのダンジョンマスターも、うちだったら引き受けられるしさ」
「そうそう。そのこを君の従魔にしたら一緒に連れて行けるよ?」
アルがためらいながら言うが、口々にクリード、サアシャ、ミリー、コールが目をキラキラさせながら迫ってくる。
結菜は戸惑いながらも、嬉しさや驚きを感じた。結菜の頬に流れた嬉し涙をぺろりと優しく舐めながら、大きな狼さんが「キュウ」と鳴いていた。
思わず、たらりと汗が流れる。
「おい、あいつがあのダンジョンマスターを連れて帰りたがっているように思えるんだが……」
「同感。私にもそう見えるわ」
「っていうかユーナちゃんってどこに住んでるんすか?」
コールの何気ない質問に黙り込む一同。
「とりあえず、迷子だったら警備隊に預けるしかないだろ」
「でも、普通の一般家庭にダンジョンマスターは連れて帰れなくない?」
確かにとアル達は思った。
もしダンジョンマスターを一般家庭に連れて帰れば大変なことになる。
ダンジョンマスターは普通のモンスターと比べても圧倒的に強い。一般家庭ならば絶対に受け入れられるようなモンスターではないのだ。
というか、普通の人間ならダンジョンマスターを見た瞬間気絶する可能性が高い。いずれにしても、家に気軽に連れて帰れるわけがなかった。まぁ、親が腕の立つ冒険者なら話は別なのだが………………。
サアシャが思い切って結菜にたずねてみた。
「ねぇ、ユーナちゃん。君のお家は一般家庭?それとも冒険者?」
◆
結菜は返事にすごく困った。
なぜならそもそも自分はこの世界の人間じゃないから。両親は冒険者なんかではないしこの世界にいない。ザ·ホームレスの状態なのである。
「家、どこにあるのかわかりません」
素直にアル達に言うと驚かれた。
「えっ、自分で来たんじゃないの?」
「いえ、というか、気がついたらこのダンジョンのセーフティゾーンにいたのでさっぱりです」
「転移魔法陣の罠にでも引っかかったのか?」
結菜はアルの問いにうなずいた。……嘘ではない。嘘ではないはずだ。自分は気がついたらあのセーフティゾーンにいたので、転移魔法陣に巻き込まれたにちがいない‼結菜は心の中で必死に弁解した。自己暗示もした。……冷たい汗が背中にどっと流れてはいるが‼
そんな結菜は他所にクリード達は盛り上がっていた。
ミリーがある提案をしたからである。
「ねぇ、アル‼私ユーナちゃんにうちのクランに来てほしい‼」
「それいいわね‼賛成よ」
「うん、僕もいいと思うな」
「はい。俺もそう思います」
「おいおい、お前ら何勝手に……‼」
ミリーのナイスな提案に目を輝かせるクリード達。
アルが盛り上がるクリード達に待ったをかけた。
その一方で、結菜は突然の『結菜ちゃんをうちのクランに連れて帰ろう』ムードについていけずぽかんとしていた。
まさか見ず知らずの自分を引き取ってくれるとは思ってもいなかった。身の上を証明さえできない自分を……。
普通であれば結菜の認識は間違っていなかっただろう。しかし、結菜がスキルを使い助けてくれたことをクリード達は知っていた。そのため、恩を感じていたのだ。
そんな彼女にダンジョンに放置なんてできるわけがない。ましてや野宿なんてさせられない‼クリード達の思いは強かった。
「だが、本人の了承もなく決めるのは……」
「あぁ、確かに。ねぇユーナちゃん。君は俺たちのクランにくるつもりはないかい?」
「せめてあなたを引き取ってくれる人が見つかるまででもいいから。ね?どうかな?」
「それにそのダンジョンマスターも、うちだったら引き受けられるしさ」
「そうそう。そのこを君の従魔にしたら一緒に連れて行けるよ?」
アルがためらいながら言うが、口々にクリード、サアシャ、ミリー、コールが目をキラキラさせながら迫ってくる。
結菜は戸惑いながらも、嬉しさや驚きを感じた。結菜の頬に流れた嬉し涙をぺろりと優しく舐めながら、大きな狼さんが「キュウ」と鳴いていた。
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