16 / 43
<六> 甘い夜
16 名前を呼んで ※
しおりを挟む16 名前を呼んで ※
高校に入って間もない頃、三年生の先輩と初めての体験をした。ベッドに横たわりながら「カラダには相性があるんだよ」とうっとり呟く相手の顔を、その後誰かと寝るたびに思い出した。
思い出すたびになんとも言えない複雑な気持ちに陥っていたのは、その言葉を実感できずにいたからだということを、瑛斗は今になってやっと理解した。
これまでに経験してきたものとは比べものにもならないほど、瑛斗は腕の中の人に没頭した。
それは相手が大人の女の人だからというわけではないと思う。
どこで覚えたのか尋ねたくなるようなことをしてくる女の子だって今までにいた。
だが、そんな体験など一瞬で忘れ去ってしまうほどの快楽と至福と征服感が、先生との時間の中には存在していた。
何より、先生はたまらないほど可愛かった。
柔らかくて豊かな胸も、すべすべと滑らかな肌の感触も、体中からほんのりと匂い立つ魅惑的な香りも、子猫のような儚い声も、必死ですがり、絡みつく白い手脚も、何もかもが瑛斗の脳髄をつぶさに刺激しては、正常な思考を奪っていった。
体を繋げた瞬間は、天にも昇る心地だった。
一生離れたくない、ずっと収まっていたい心境と、もっと高みを目指したい欲求とがない交ぜになっていた。
瑛斗は経験のない感情に半ば混乱しながら、組み敷いた体を何度も突き上げては、動きを止めて腕の中の感触を味わった。
先生は驚くほど素直な反応を見せた。
瑛斗のあらゆる動きを余すことなく感じ取っては全身を震わせ、幾度も小さな悲鳴を上げた。
どうしてこんなに感じやすいの?
今日がそういう日だから?
いつも――誰が相手の時でもこんな風に声を上げるの?
思い出したくない男の顔が何度も脳裏に浮かんでは、そのたびにそんな思考を打ち消すために先生の体をひどく求めた。
「しゅーちゃん」
先生が瞼を閉じるたびに、名前を呼んだ。
「しゅーちゃん、好き」
目を開けて、顔を見て、「えいと」と呼んでくれるたびに、瑛斗はえも言われぬ喜びに包まれた。
「……しゅうこ」
耳元でそう呼ぶと、体が硬直するのがわかった。瑛斗を包み込む部分がきゅっと収縮し、締めつけた。
あいつがそう呼ぶのだな。確信するなり瑛斗はもっと乱暴な気持ちになった。
瑛斗の名前を叫び続け、瑛斗に夢中でしがみつくまで、何度も何度もこちらを向かせ、涙を浮かべて声を上げる愛しい人の体を骨が軋むほどに強く揺さぶった。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~
taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。
お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥
えっちめシーンの話には♥マークを付けています。
ミックスド★バスの第5弾です。
【R18】豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網〜策士な後輩から逃げられません!〜
湊未来
恋愛
「ねぇ、本当に陰キャの童貞だって信じてたの?経験豊富なお姉さん………」
30歳の誕生日当日、彼氏に呼び出された先は高級ホテルのレストラン。胸を高鳴らせ向かった先で見たものは、可愛らしいワンピースを着た女と腕を組み、こちらを見据える彼の姿だった。
一方的に別れを告げられ、ヤケ酒目的で向かったBAR。
「ねぇ。酔っちゃったの………
………ふふふ…貴方に酔っちゃったみたい」
一夜のアバンチュールの筈だった。
運命とは時に残酷で甘い………
羊の皮を被った年下オオカミ君×三十路崖っぷち女の恋愛攻防戦。
覗いて行きませんか?
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
・R18の話には※をつけます。
・女性が男性を襲うシーンが初回にあります。苦手な方はご注意を。
・裏テーマは『クズ男愛に目覚める』です。年上の女性に振り回されながら、愛を自覚し、更生するクズ男をゆるっく書けたらいいなぁ〜と。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる