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彼と彼女の過去……
第49話彼女の正義感……
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放課後になり、俺は待ち合わせのサイゼリアへ向かう。
店内に入ると先に来ていた委員長がこちらに気が付いて手を振ってきた。
俺も委員長が座ってる席に座ると、机の上にはカルピスと思わしき液体の入ったグラスが置かれていた。
多分委員長がドリンクバーを頼んだのだろう。
俺もお呼びくださいと書かれたボタンを押して、店員を呼ぶ。
押してからすぐに近くの店員が来てくれたので、俺はドリンクバーを頼んだ。
ドリンクバーを頼んだら、席を立ってドリンクバーが置かれている場所へ行く。
グラスの中に氷とコーラを注ぐと、委員長が座っている席に戻る。
俺は委員長の方へ顔を向けると、何で呼んだのかを問う。
すると委員長は、真っすぐこちらに目を向けて答える。
「あの、矢木澤さんを助けてあげたいんです」
委員長から放たれた言葉は予想通りのものだった。
まあ委員長なんてやっているぐらいだから、さぞかし正義感が強いのだろう……。
たいして仲良くもない他人が困っていたら助けてあげようと思えるなんてすごいと思う。
俺のことを呼んだのも、いつも花と話しているから『この人なら協力してくれる』と思ったのだろう。
生憎俺は他人が困っていたら誰にでも手を差し伸べてやるほど優しい奴ではなく、弱いものの味方でもなければ正義の味方でもない。
そんなことなどお構いなしに、委員長は話を続ける。
「それで具体的にはですね……」
俺は委員長の話を無理やりさえぎる。
「待ってくれ。あんたがどんな解決策を考えているかも、花が夏休みの間に何があったのかも知らないけど、俺は協力する気はない」
その言葉を聞いて委員長はぽかんとしていた。
まさか断られるとは思っていなかったのだろう。
委員長は『どうしてですか?』と俺に聞いてきた。
「そんなの無意味だからだ。俺たちがどうこうできる問題でもないし、これは花の問題だ」
俺がそう言い切ると、委員長は悲しそうな表情になる。
「でも……たとえ何もできなくても支えになってあげられることぐらいは……」
今にも消え入りそうな声で委員長は続けるが、そんな顔されても俺の気持ちが変わることはない。
「とにかく協力はしない。あいつは一人でも大丈夫だ」
その言葉を聞いた委員長は、悲しみの混じった声音で聞いてくる。
「でも、大切な友人じゃないんですか? 助けてあげたいと思わないんですか?」
「思わない。そもそも花に助けなんか必要ない」
そう……。
あいつは今までずっと一人で何でも解決してきたんだ……。
今までも、そしてこれからも……。
今更俺がしてやれることなんて何もない。
俺は委員長にきっぱり手助けをする気はないことを伝えると、委員長は『そうですか』と言って店を後にした。
俺も委員長が店を出てから五分ほどした後に店を後にする。
そして何事もなかったかのように、俺は家に向かって歩いた……。
店内に入ると先に来ていた委員長がこちらに気が付いて手を振ってきた。
俺も委員長が座ってる席に座ると、机の上にはカルピスと思わしき液体の入ったグラスが置かれていた。
多分委員長がドリンクバーを頼んだのだろう。
俺もお呼びくださいと書かれたボタンを押して、店員を呼ぶ。
押してからすぐに近くの店員が来てくれたので、俺はドリンクバーを頼んだ。
ドリンクバーを頼んだら、席を立ってドリンクバーが置かれている場所へ行く。
グラスの中に氷とコーラを注ぐと、委員長が座っている席に戻る。
俺は委員長の方へ顔を向けると、何で呼んだのかを問う。
すると委員長は、真っすぐこちらに目を向けて答える。
「あの、矢木澤さんを助けてあげたいんです」
委員長から放たれた言葉は予想通りのものだった。
まあ委員長なんてやっているぐらいだから、さぞかし正義感が強いのだろう……。
たいして仲良くもない他人が困っていたら助けてあげようと思えるなんてすごいと思う。
俺のことを呼んだのも、いつも花と話しているから『この人なら協力してくれる』と思ったのだろう。
生憎俺は他人が困っていたら誰にでも手を差し伸べてやるほど優しい奴ではなく、弱いものの味方でもなければ正義の味方でもない。
そんなことなどお構いなしに、委員長は話を続ける。
「それで具体的にはですね……」
俺は委員長の話を無理やりさえぎる。
「待ってくれ。あんたがどんな解決策を考えているかも、花が夏休みの間に何があったのかも知らないけど、俺は協力する気はない」
その言葉を聞いて委員長はぽかんとしていた。
まさか断られるとは思っていなかったのだろう。
委員長は『どうしてですか?』と俺に聞いてきた。
「そんなの無意味だからだ。俺たちがどうこうできる問題でもないし、これは花の問題だ」
俺がそう言い切ると、委員長は悲しそうな表情になる。
「でも……たとえ何もできなくても支えになってあげられることぐらいは……」
今にも消え入りそうな声で委員長は続けるが、そんな顔されても俺の気持ちが変わることはない。
「とにかく協力はしない。あいつは一人でも大丈夫だ」
その言葉を聞いた委員長は、悲しみの混じった声音で聞いてくる。
「でも、大切な友人じゃないんですか? 助けてあげたいと思わないんですか?」
「思わない。そもそも花に助けなんか必要ない」
そう……。
あいつは今までずっと一人で何でも解決してきたんだ……。
今までも、そしてこれからも……。
今更俺がしてやれることなんて何もない。
俺は委員長にきっぱり手助けをする気はないことを伝えると、委員長は『そうですか』と言って店を後にした。
俺も委員長が店を出てから五分ほどした後に店を後にする。
そして何事もなかったかのように、俺は家に向かって歩いた……。
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