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嫉妬してました
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騎士団長達と合流し、サフランの町に帰ることになった。
馬車はヘクトル様とマリーベル様が乗ってきた馬車を使い、サフランの町まで護送した。
私はフィンと一緒に馬に乗り、サフランの町に走った。
初めての二人で馬に乗ったのがこんな状況で複雑だった。
先程まで、ヘクトル様やソールもいてあまりフィンと話ができず、聞きたいことで一杯だった。
フィンは、大丈夫か?と優しく聞いてくれたが、町まで無言だった。
サフランの町につき、ギルの様子をみるとビックリした。
いつの間にこんなに傷だらけになったのか、フィンに事の詳細を聞いた。
私のせいだった。
「ギル、すみません!すぐに回復魔法をかけます!」
ヒールをかけると、ギルの傷がふさがり、癒された。
「…エスカ様?」
「ギルすみません!私のせいで!」
「ご無事だったのですね、良かった。」
ギルの手を握り謝っていると、フィンが今日は休ませてやろうといい、二人で部屋を出た。
「エスカ、今日はこの町で休もう。部屋をとったから。」
「ソールやヘクトル様達はどうなさりますか?」
「今から、団長が国に護送する。ヘクトル様も暫く王都で聴取されるだろう。」
「ソールはどうなりますか?」
ソールの名前を出すとフィンはまた不機嫌になった。
「何故、あの誘拐犯を気にするんだ!?」
「フィン怒っていますか?」
「当たり前だ!生きた心地がしなかったのに…あの男を気にするなんて!」
「ソールは助けてくれました。」
「心配したんだぞ!」
フィンがギュッと力強く抱き締めてきた。
「…私も怖かったんです。目が覚めたら地下牢で…不安で早くフィンに会いたかったです。心配かけてごめんなさい。」
「…あの男に何もされてないか?」
「…?ソールは呪いのことで私に助けて欲しかっただけです。」
「…怒ってすまない。」
「私が心配かけたせいです。」
「エスカに怒っているわけではない。…あの男に少し苛ついただけだ。」
「誘拐の首謀者はマリーベル様です。何故ソールをそこまで怒るのですか?マリーベル様には怒らないのですか?」
フィンの顔を見ようとしたが、抱き締められたまま顔が見られなかった。
マリーベル様には、優しいのかしら。
抱き合っていたし…。
「…フィン、どうしてマリーベル様と抱き合っていたのですか?」
フィンは驚いたように、私を見た。
「抱き合ったことなどないが。」
「で、でも、屋敷の入り口で抱き合っていました。その、私、モヤモヤというか、変な気持ちになって…」
我ながら、バカなことを聞いていると思った。
「エスカ、あれは俺達が玄関に突入するとマリーベルが勝手に抱きついてきただけだ。突き放そうとしてたんだが…」
えっ、じゃあ私の勘違い??
「す、すみません!変なことを言いました!」
「…モヤモヤしたのか?」
「すみません、よくわからない気持ちになって…」
自分のことがわからないなんてフィンはきっと呆れているわ!
今度は、私が見られないように、顔をフィンの胸に抑えた。
「エスカ、それは嫉妬だ。」
「嫉妬?あれがそうなのですか?」
「俺が他の女といるのが嫌だったのだろう?」
「…嫌でした。すみません。」
「…少し安心した。」
「何故安心するのですか?」
「俺が思うほどエスカが俺を好きじゃなかったらどうしようか、と不安だったからだ。」
「私は、フィンしか好きじゃありません!」
「本当に?」
「本当です。」
フィンは、私を確かめるようにキスをしてきた。
でもフィンが不安だったなんて知らなかった。
私の不安と同じだったのだろうかと思ってしまった。
マリーベル様の言葉も気になるし、もっとフィンと話したい気持ちになった。
「フィン、まだ話したいことがあるんです。」
「今はダメだ。もう少しこうしていてくれ。」
フィンに抱き締められ、見つめられると動けなくなる。
不思議だ、と思いながら、キスを受け入れていた。
馬車はヘクトル様とマリーベル様が乗ってきた馬車を使い、サフランの町まで護送した。
私はフィンと一緒に馬に乗り、サフランの町に走った。
初めての二人で馬に乗ったのがこんな状況で複雑だった。
先程まで、ヘクトル様やソールもいてあまりフィンと話ができず、聞きたいことで一杯だった。
フィンは、大丈夫か?と優しく聞いてくれたが、町まで無言だった。
サフランの町につき、ギルの様子をみるとビックリした。
いつの間にこんなに傷だらけになったのか、フィンに事の詳細を聞いた。
私のせいだった。
「ギル、すみません!すぐに回復魔法をかけます!」
ヒールをかけると、ギルの傷がふさがり、癒された。
「…エスカ様?」
「ギルすみません!私のせいで!」
「ご無事だったのですね、良かった。」
ギルの手を握り謝っていると、フィンが今日は休ませてやろうといい、二人で部屋を出た。
「エスカ、今日はこの町で休もう。部屋をとったから。」
「ソールやヘクトル様達はどうなさりますか?」
「今から、団長が国に護送する。ヘクトル様も暫く王都で聴取されるだろう。」
「ソールはどうなりますか?」
ソールの名前を出すとフィンはまた不機嫌になった。
「何故、あの誘拐犯を気にするんだ!?」
「フィン怒っていますか?」
「当たり前だ!生きた心地がしなかったのに…あの男を気にするなんて!」
「ソールは助けてくれました。」
「心配したんだぞ!」
フィンがギュッと力強く抱き締めてきた。
「…私も怖かったんです。目が覚めたら地下牢で…不安で早くフィンに会いたかったです。心配かけてごめんなさい。」
「…あの男に何もされてないか?」
「…?ソールは呪いのことで私に助けて欲しかっただけです。」
「…怒ってすまない。」
「私が心配かけたせいです。」
「エスカに怒っているわけではない。…あの男に少し苛ついただけだ。」
「誘拐の首謀者はマリーベル様です。何故ソールをそこまで怒るのですか?マリーベル様には怒らないのですか?」
フィンの顔を見ようとしたが、抱き締められたまま顔が見られなかった。
マリーベル様には、優しいのかしら。
抱き合っていたし…。
「…フィン、どうしてマリーベル様と抱き合っていたのですか?」
フィンは驚いたように、私を見た。
「抱き合ったことなどないが。」
「で、でも、屋敷の入り口で抱き合っていました。その、私、モヤモヤというか、変な気持ちになって…」
我ながら、バカなことを聞いていると思った。
「エスカ、あれは俺達が玄関に突入するとマリーベルが勝手に抱きついてきただけだ。突き放そうとしてたんだが…」
えっ、じゃあ私の勘違い??
「す、すみません!変なことを言いました!」
「…モヤモヤしたのか?」
「すみません、よくわからない気持ちになって…」
自分のことがわからないなんてフィンはきっと呆れているわ!
今度は、私が見られないように、顔をフィンの胸に抑えた。
「エスカ、それは嫉妬だ。」
「嫉妬?あれがそうなのですか?」
「俺が他の女といるのが嫌だったのだろう?」
「…嫌でした。すみません。」
「…少し安心した。」
「何故安心するのですか?」
「俺が思うほどエスカが俺を好きじゃなかったらどうしようか、と不安だったからだ。」
「私は、フィンしか好きじゃありません!」
「本当に?」
「本当です。」
フィンは、私を確かめるようにキスをしてきた。
でもフィンが不安だったなんて知らなかった。
私の不安と同じだったのだろうかと思ってしまった。
マリーベル様の言葉も気になるし、もっとフィンと話したい気持ちになった。
「フィン、まだ話したいことがあるんです。」
「今はダメだ。もう少しこうしていてくれ。」
フィンに抱き締められ、見つめられると動けなくなる。
不思議だ、と思いながら、キスを受け入れていた。
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