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序章 呪われた令嬢
脱走は失敗か成功か!?
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深夜━━━。
アーサー様は私の首筋に痕を残し、今頃は眠りについている。
凄くこの痕が嫌だ。鏡を見ることさえ嫌悪感が走る。無理やりこんな痕をつけられて喜ぶ女なんていないのに…。
アーサー様が眠っているうちに逃げよう。もうここには居られない。家に帰ればすぐにアーサー様に突き出されるかもしれないから、どこか知らないところに逃げるしかない。でも、街中だと日が昇れば眠気に抗えず急に倒れてしまうかもしれない。そうすれば、きっとどこかに通報されてアーサー様に見つかるかもしれない。
だから、街外れの森にでも逃げるしかない。今夜は森に逃げて、日が昇れば森で寝よう!目が覚めたら、すぐにこのネックレスでも売ればきっとお金になるはず。
アーサー様が準備したネックレスだから安くはない。…人から頂いたものを売るなんて、亡くなったお母様は嘆くだろうか。
それでも、私には何もないのです。
逃げる決意を固め、見張りのいる廊下から逃げることが出来ず、窓を開けた。
バルコニーもない部屋で窓の外は人が一人横歩きが出来るかどうかの出っ張りしかないが、他に逃げ道はない。
ドレスが引っ掛からないように捲し上げ、裾と裾を結んだ。そして、窓の外の出っ張りに足を降ろし、震える足で少しずつ横歩きを始めた。
ここは二階だけど高いのは高い。下を見ないようにゆっくりと横歩きする。突風が吹いている訳でもないのに、少しの風が吹くと飛ばされそうな恐怖に耐えて、少しずつ足を横にずらした。
そんな私に外の警備が気づかないはずもなかった。庭にいた警備にすぐに見つかり、大声で叫ばれる。
「外壁に誰かいるぞ!?」
「…リーファ様か!?リーファ様がいるぞ!」
「早くお助けするんだ!!」
私を助けなければと、警備達はもうすぐでたどり着くはずだった二階のバルコニーに駆けつけてくる。二階のバルコニーからなら階段があるから、そのまま逃げるつもりだったのに!
大体助けるって何!?助けてくれるなら、アーサー様から私を助けて欲しい!
夜が明けるといつ襲ってくるかわからないアーサー様が怖いのに…!
もうすぐでバルコニーに着きそうなところには警備がいる。
「リーファ様!早くこちらに!」
「梯子を持って来るんだ!」
警備達の叫び声が聞こえるのが凄く嫌だ。
「こっちに来ないで!」
私が外壁にへばりつき、来ないでと叫んだ時に警備達とは違う静かな声が聞こえた。
「ロウ、警備達を抑えろ」
「畏まりました」
その声に振り向こうとした時に、足が出っ張りからずれ身体がグラリとずれた。
「キャアァ…!?」
アーサー様は私の首筋に痕を残し、今頃は眠りについている。
凄くこの痕が嫌だ。鏡を見ることさえ嫌悪感が走る。無理やりこんな痕をつけられて喜ぶ女なんていないのに…。
アーサー様が眠っているうちに逃げよう。もうここには居られない。家に帰ればすぐにアーサー様に突き出されるかもしれないから、どこか知らないところに逃げるしかない。でも、街中だと日が昇れば眠気に抗えず急に倒れてしまうかもしれない。そうすれば、きっとどこかに通報されてアーサー様に見つかるかもしれない。
だから、街外れの森にでも逃げるしかない。今夜は森に逃げて、日が昇れば森で寝よう!目が覚めたら、すぐにこのネックレスでも売ればきっとお金になるはず。
アーサー様が準備したネックレスだから安くはない。…人から頂いたものを売るなんて、亡くなったお母様は嘆くだろうか。
それでも、私には何もないのです。
逃げる決意を固め、見張りのいる廊下から逃げることが出来ず、窓を開けた。
バルコニーもない部屋で窓の外は人が一人横歩きが出来るかどうかの出っ張りしかないが、他に逃げ道はない。
ドレスが引っ掛からないように捲し上げ、裾と裾を結んだ。そして、窓の外の出っ張りに足を降ろし、震える足で少しずつ横歩きを始めた。
ここは二階だけど高いのは高い。下を見ないようにゆっくりと横歩きする。突風が吹いている訳でもないのに、少しの風が吹くと飛ばされそうな恐怖に耐えて、少しずつ足を横にずらした。
そんな私に外の警備が気づかないはずもなかった。庭にいた警備にすぐに見つかり、大声で叫ばれる。
「外壁に誰かいるぞ!?」
「…リーファ様か!?リーファ様がいるぞ!」
「早くお助けするんだ!!」
私を助けなければと、警備達はもうすぐでたどり着くはずだった二階のバルコニーに駆けつけてくる。二階のバルコニーからなら階段があるから、そのまま逃げるつもりだったのに!
大体助けるって何!?助けてくれるなら、アーサー様から私を助けて欲しい!
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もうすぐでバルコニーに着きそうなところには警備がいる。
「リーファ様!早くこちらに!」
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警備達の叫び声が聞こえるのが凄く嫌だ。
「こっちに来ないで!」
私が外壁にへばりつき、来ないでと叫んだ時に警備達とは違う静かな声が聞こえた。
「ロウ、警備達を抑えろ」
「畏まりました」
その声に振り向こうとした時に、足が出っ張りからずれ身体がグラリとずれた。
「キャアァ…!?」
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