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第二章 ユニコーン
帰国へと 2
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ディティーリア国の城の庭で、お茶会をしている。長椅子に座る私の横にはフェリクス様が足を組んで座っていた。私のそばにはユニコーンも座り込んでいる。
「フェン様にせっかく会えましたのに……」
「フェンリルには、仕事を頼んでいる。フェンヴィルム国を長く離れるわけにはいかんからな、それに、フェンは寒い場所が好きなんだ」
フェンリル様は、幻獣の書を守らねばならないと言ってフェリクス様が一晩休んだ後に、すぐに幻獣の扉を開き送り返した。幻獣の扉は、何度見てもすごい。
フェリクス様が、魔法であっという間に氷のような薄い青色の魔法陣のような扉を作り上げるのだ。
フェンリルを送り返すのに一晩経った理由は、幻獣の扉を開くことは魔力の消費量が多く至極疲れるらしい。
フェリクス様は、奉殿から出てきた後も人知れず眠るように倒れた。
人前で倒れるのは、彼のプライドが許さなかったらしい。
そして、奉殿はユニコーンと私たちが壊してしまったために、崩れたままだった。でも、誰もそれを咎めることはなかった。
この数日。ディティーリア国は、私に謁見を求めたけど、フェリクス様がそれにすべて対応していた。そもそも、兄上は私に会うことを拒否している。だから、強行な謁見を求められることも、ディティーリア国の王女として呼び出されることもなかった。
奉殿を出た時のことを思い出しながらお茶を飲んでいると、フェリクス様が不意に話しかけてくる。
「エルドレッド陛下は、リーネを脅威に思っていたのだろう」
「でも、兄上も魔法を使います。私よりも使えていたはずで……」
「でも、幻獣士にはなれない。だから、リーネの軟禁も都合がよかったし、フェンヴィルム国に嫁がせることも、リーネをこの国から追い出せる都合のよい案件だったのだ」
「私は、ここにいるべきではないですね……」
「リーネは、俺の側にいればいい」
フェリクス様の側にいると、私の足元に座り込んでいるユニコーンが不機嫌な様子でフェリクス様と私の間に頭を入れて彼の頭をつついてくる。
『フィリ―ネに近づくな』
「止めんか。リーネとは結婚するんだから、慣れてもらわねば困るぞ」
『結婚は契約だ。近づく必要はない』
「あのな……」
ユニコーンの発言にフェリクス様が呆れると、ピクリと反応したかと思えば不意に頭を上げてあっという間にいなくなってしまった。
「ユニコーン様?」
「急に逃げたな……」
すると、ヴァルト様が「出立の準備が整いました」と呼びに来た。
人がきたから早々に逃げたのだとわかる。
「ユニコーン様も一緒に帰らないと……」
「あいつは絶対についてくるから気にしなくても大丈夫だ」
周りを見渡してもどこにいるかはわからないけど、確かに何かの気配は感じる。フェリクス様が私の腰に手を回すとさらに不機嫌な空気を感じるのだ。でも、フェリクス様は気にせずに私を連れて歩き出した。
その先は、来た時と同じようにディティーリア国の城の前に馬車を準備されており、フェンヴィルム国の騎士団が馬車を守るように整列していた。
ディティーリア国の多くの高官たちが見送る中で振り向くと、王妃様と陛下である兄上が見送っている。
私だけの見送りなら来なかっただろう。フェンヴィルム国の陛下であるフェリクス様がいるから見送りに来たのだ。
「どうぞお元気で……」
「陛下、王妃様もお元気で……」
王妃様の挨拶に膝を曲げて返した。その時にユニコーンの奉殿の時には怯えていたフェレスベルグの子供が飛んできた。
「ぴゅぅぅ」
「まぁ、どこに行っていたの? 心配したのよ」
手を伸ばすとその手にフェレスベルグの子供の子供が口ばしを可愛らしく寄せ、思わず頬が緩んだ。
「フィリ―ネ。いい年をして鳥遊びなど……場をわきまえよ」
兄上が、フェレスベルグの子供を可愛がる私をみて不愉快表情を見せる。その顔にいつものようにすぐに謝ろうとしたが、それよりも先にフェリクス様が、私を抱き寄せた。
「エルドレッド陛下。これは、俺がリーネに贈ったものですよ。珍しい鳥でしょう? ちなみにこの鳥も幻獣です。お気づきになりませんでしたか? 俺のフェンリルやリーネのユニコーンのようにランクの高い幻獣ではありませんが……ずいぶんリーネに懐いてましてね」
優しく言っているつもりなのかもしれないけど、フェリクス様は怒っている気配がする。そして、頭の中に(謝るな)と一言聞こえた。その言葉に唇を引き締めて謝罪の言葉を飲み込んだ。
兄上は、フェレスベルグの子供をただの鳥と思っており、幻獣と気付かなかったことに、バツが悪いようにカァと顔を赤くした。
「エルドレッド陛下。王妃。フィリ―ネを下さったことを感謝しますよ」
「……フェリクス陛下に不相応でしたら、すぐにおっしゃってください。我が国には、もう一人王女がおりますので」
「必要ありませんね。俺はこの王女に夢中ですから」
フェリクス様が、兄上に意地悪そうにそう言い、私を引き寄せている彼は、少しだけニヤリとすると、私とフェレスベルグの子供を連れて馬車に向かって歩き出した。
「フェン様にせっかく会えましたのに……」
「フェンリルには、仕事を頼んでいる。フェンヴィルム国を長く離れるわけにはいかんからな、それに、フェンは寒い場所が好きなんだ」
フェンリル様は、幻獣の書を守らねばならないと言ってフェリクス様が一晩休んだ後に、すぐに幻獣の扉を開き送り返した。幻獣の扉は、何度見てもすごい。
フェリクス様が、魔法であっという間に氷のような薄い青色の魔法陣のような扉を作り上げるのだ。
フェンリルを送り返すのに一晩経った理由は、幻獣の扉を開くことは魔力の消費量が多く至極疲れるらしい。
フェリクス様は、奉殿から出てきた後も人知れず眠るように倒れた。
人前で倒れるのは、彼のプライドが許さなかったらしい。
そして、奉殿はユニコーンと私たちが壊してしまったために、崩れたままだった。でも、誰もそれを咎めることはなかった。
この数日。ディティーリア国は、私に謁見を求めたけど、フェリクス様がそれにすべて対応していた。そもそも、兄上は私に会うことを拒否している。だから、強行な謁見を求められることも、ディティーリア国の王女として呼び出されることもなかった。
奉殿を出た時のことを思い出しながらお茶を飲んでいると、フェリクス様が不意に話しかけてくる。
「エルドレッド陛下は、リーネを脅威に思っていたのだろう」
「でも、兄上も魔法を使います。私よりも使えていたはずで……」
「でも、幻獣士にはなれない。だから、リーネの軟禁も都合がよかったし、フェンヴィルム国に嫁がせることも、リーネをこの国から追い出せる都合のよい案件だったのだ」
「私は、ここにいるべきではないですね……」
「リーネは、俺の側にいればいい」
フェリクス様の側にいると、私の足元に座り込んでいるユニコーンが不機嫌な様子でフェリクス様と私の間に頭を入れて彼の頭をつついてくる。
『フィリ―ネに近づくな』
「止めんか。リーネとは結婚するんだから、慣れてもらわねば困るぞ」
『結婚は契約だ。近づく必要はない』
「あのな……」
ユニコーンの発言にフェリクス様が呆れると、ピクリと反応したかと思えば不意に頭を上げてあっという間にいなくなってしまった。
「ユニコーン様?」
「急に逃げたな……」
すると、ヴァルト様が「出立の準備が整いました」と呼びに来た。
人がきたから早々に逃げたのだとわかる。
「ユニコーン様も一緒に帰らないと……」
「あいつは絶対についてくるから気にしなくても大丈夫だ」
周りを見渡してもどこにいるかはわからないけど、確かに何かの気配は感じる。フェリクス様が私の腰に手を回すとさらに不機嫌な空気を感じるのだ。でも、フェリクス様は気にせずに私を連れて歩き出した。
その先は、来た時と同じようにディティーリア国の城の前に馬車を準備されており、フェンヴィルム国の騎士団が馬車を守るように整列していた。
ディティーリア国の多くの高官たちが見送る中で振り向くと、王妃様と陛下である兄上が見送っている。
私だけの見送りなら来なかっただろう。フェンヴィルム国の陛下であるフェリクス様がいるから見送りに来たのだ。
「どうぞお元気で……」
「陛下、王妃様もお元気で……」
王妃様の挨拶に膝を曲げて返した。その時にユニコーンの奉殿の時には怯えていたフェレスベルグの子供が飛んできた。
「ぴゅぅぅ」
「まぁ、どこに行っていたの? 心配したのよ」
手を伸ばすとその手にフェレスベルグの子供の子供が口ばしを可愛らしく寄せ、思わず頬が緩んだ。
「フィリ―ネ。いい年をして鳥遊びなど……場をわきまえよ」
兄上が、フェレスベルグの子供を可愛がる私をみて不愉快表情を見せる。その顔にいつものようにすぐに謝ろうとしたが、それよりも先にフェリクス様が、私を抱き寄せた。
「エルドレッド陛下。これは、俺がリーネに贈ったものですよ。珍しい鳥でしょう? ちなみにこの鳥も幻獣です。お気づきになりませんでしたか? 俺のフェンリルやリーネのユニコーンのようにランクの高い幻獣ではありませんが……ずいぶんリーネに懐いてましてね」
優しく言っているつもりなのかもしれないけど、フェリクス様は怒っている気配がする。そして、頭の中に(謝るな)と一言聞こえた。その言葉に唇を引き締めて謝罪の言葉を飲み込んだ。
兄上は、フェレスベルグの子供をただの鳥と思っており、幻獣と気付かなかったことに、バツが悪いようにカァと顔を赤くした。
「エルドレッド陛下。王妃。フィリ―ネを下さったことを感謝しますよ」
「……フェリクス陛下に不相応でしたら、すぐにおっしゃってください。我が国には、もう一人王女がおりますので」
「必要ありませんね。俺はこの王女に夢中ですから」
フェリクス様が、兄上に意地悪そうにそう言い、私を引き寄せている彼は、少しだけニヤリとすると、私とフェレスベルグの子供を連れて馬車に向かって歩き出した。
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