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第一章 フェンリル
ほんの少しの動揺
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部屋でフェレスベルグの子供に癒しの魔法をかける。ずいぶん羽の怪我が良くなり、部屋中を飛び回っている。
その中で、ジルが準備していた本をどさりと落とす。
「フィリ―ネ様……今のは……」
「癒しの魔法よ。もうすっかりこの子もいいけど最後にもう一度かけようと思って……大丈夫? 顔色が悪いわよ?」
真っ青な顔になったジルは今にも倒れそうだ。
「大丈夫? 体調が悪いなら今日はもう休んだ方がいいわ。今日もフェリクス様はフェン様とどこかに出かけているし……今夜は来ないと思うから私もお休みするわ」
「フェリクス様は、毎晩来られるのですか……?」
「気が向いた時に来ているけど……私が寝ている時はすぐに帰っているみたいね」
だから、今夜は本を読んで過ごそうと思っている。
「……フェリクス様は、お仕事ではないかもしれませんよ」
ジルがお茶を淹れながらそう言う。
「仕事じゃなかったら、こんな夜にどこへ?」
「フィリ―ネ様は何も知らないでしょうけど、フェリクス様は過去にお付き合いしていた女性もいるとお聞きしましたし、フィリ―ネ様では物足りないのかも……」
「……よくわからないわ」
「フィリ―ネ様が形だけの結婚ということです。そのうち追い出されるかもしれませんよ!?」
「そうなの……?」
力いっぱい言われても、私にはピンとくるものがなくて悩んでしまう
「……お辛い思いをするなら、私とディティーリア国に帰りませんか?」
「帰る……?」
「はい。今なら、まだ婚約ですし……」
「でも、フェリクス様はここにいようと言ってくれたの……」
「フィリ―ネ様の魔法を利用しようとしているのかもしれませんよ」
「私の何の魔法を? ジルも私には魔法の才がないと言われていたのを知っているでしょう? でも、それが役に立つなら、フェリクス様の力にはなりたいわ」
「癒しの魔法は貴重ですよ……」
「ジル……さっきからどうしたの? すごく顔色も悪いし……すぐに休んでください」
「フィリ―ネ様のために言っているんですよ!? 私だって……」
ハッとしたジルは口を抑えて、一呼吸おく。こんな動揺しているジルを見るのは初めてだ。
そのままジルは「部屋に帰ります」と言って扉を閉めた。
ジルはもしかしたら帰りたいのかもしれない。私と違ってジルは帰ることのできる実家があるし……私付きのメイドだったから、そのまま侍女になっただけのことだろうし……。
なんだか申し訳なくなる。
ジルの準備したお茶を見て、これを持って行ってあげようと考える。でも、カップは私の一つ分しかない。
「厨房に行けば、カップもあるわよね……」
ベッドから降りると、フェレスベルグの子供がバタバタと飛んできた。
「あなたも行きたいの? お腹が空いているのかしらね。なにかいただけるかしら?」
フェレスベルグの子供を肩に乗せて、廊下を歩いていると夜は昼と違いすごく冷えている。
羽織っているストールをキュッと閉めて歩いていると、小さな話声が聞こえた。
フェリクス様がフードを被った女性と寄り添うほど近い距離で話している。
(……帰って来ていたのね……)
そう思うと、何かに気づいたようにフェリクス様が彼女の細い腰に手を回してすぐさまにいなくなった。
お帰りになっても来ない時もあるし、それとも仕事で出かけていたんじゃなかったのかしらね。すごく距離の近い女性だった。
……それが何だというのだろうか。わからない。わからないわ。
「リーネ。こんなところで何をやっている?」
いきなり目の前で女性といたフェリクス様に後ろから声をかけられてビクッと身体が揺れる。気配もなく驚いた。
「フェリクス様?」
おそるおそる後ろを振り向く。
「夜は冷えるぞ。こんなストール一枚では寒いだろう」
「お茶のカップを取りに行ったらすぐに戻るつもりでしたから……」
「お茶? 部屋に侍女が準備してないのか?」
「そのジルにお茶を上げようと思って……」
いつこちら側に来たのだろうと、不思議そうに見上げる。
「それなら俺のキャビネットのカップを持っていくがいい。部屋に帰るぞ」
「ぴしゅんっ__」
肩に乗っているフェレスベルグの子供が小さな身体を震わせてくしゃみをした。
「なんだ、今のは?」
「この子のくしゃみです。寒いのかしら? 私の中に入る?」
「おかしなくしゃみだったぞ」
「そうですか。私も初めて聞いたので、普通がわかりません」
ストールを少しだけ開けると胸元に潜り込んでくる。すると、フェリクス様が私ごとマントを広げて包み込む。
「リーネは寒くないのか?」
「全然大丈夫ですけど……」
「先ほどのことは気にならないのか?」
私の耳元にあわせてかがんだフェリクス様が、マントの中で聞いてくる。
また心の声が聞こえたのだろうと思い、恥ずかしくなる。
「また聞きました?」
「聞いてないが……リーネが来たことはわかったな」
(それは聞いてますね)
「女が気になるか?」
「フェリクス様は、以前もお付き合いしていた方がいるとお聞きしましたから……それに、友人だから応援します」
「だから、友人ではないと……それに、本当に先ほどのことが気にならないのか?」
「気にはなりますけど……これが、何なのかわからないのです」
確かに少しだけ、本当に少しだけチクンとするものはあったけど……
「……やっぱり、少し寒いです」
不思議とフェリクス様に抱きつきたくなった。寒いと言い訳をして彼に寄り添う。それを引き離すことの彼に胸が高揚するのがわかる。そのまま部屋へと向かった。
その中で、ジルが準備していた本をどさりと落とす。
「フィリ―ネ様……今のは……」
「癒しの魔法よ。もうすっかりこの子もいいけど最後にもう一度かけようと思って……大丈夫? 顔色が悪いわよ?」
真っ青な顔になったジルは今にも倒れそうだ。
「大丈夫? 体調が悪いなら今日はもう休んだ方がいいわ。今日もフェリクス様はフェン様とどこかに出かけているし……今夜は来ないと思うから私もお休みするわ」
「フェリクス様は、毎晩来られるのですか……?」
「気が向いた時に来ているけど……私が寝ている時はすぐに帰っているみたいね」
だから、今夜は本を読んで過ごそうと思っている。
「……フェリクス様は、お仕事ではないかもしれませんよ」
ジルがお茶を淹れながらそう言う。
「仕事じゃなかったら、こんな夜にどこへ?」
「フィリ―ネ様は何も知らないでしょうけど、フェリクス様は過去にお付き合いしていた女性もいるとお聞きしましたし、フィリ―ネ様では物足りないのかも……」
「……よくわからないわ」
「フィリ―ネ様が形だけの結婚ということです。そのうち追い出されるかもしれませんよ!?」
「そうなの……?」
力いっぱい言われても、私にはピンとくるものがなくて悩んでしまう
「……お辛い思いをするなら、私とディティーリア国に帰りませんか?」
「帰る……?」
「はい。今なら、まだ婚約ですし……」
「でも、フェリクス様はここにいようと言ってくれたの……」
「フィリ―ネ様の魔法を利用しようとしているのかもしれませんよ」
「私の何の魔法を? ジルも私には魔法の才がないと言われていたのを知っているでしょう? でも、それが役に立つなら、フェリクス様の力にはなりたいわ」
「癒しの魔法は貴重ですよ……」
「ジル……さっきからどうしたの? すごく顔色も悪いし……すぐに休んでください」
「フィリ―ネ様のために言っているんですよ!? 私だって……」
ハッとしたジルは口を抑えて、一呼吸おく。こんな動揺しているジルを見るのは初めてだ。
そのままジルは「部屋に帰ります」と言って扉を閉めた。
ジルはもしかしたら帰りたいのかもしれない。私と違ってジルは帰ることのできる実家があるし……私付きのメイドだったから、そのまま侍女になっただけのことだろうし……。
なんだか申し訳なくなる。
ジルの準備したお茶を見て、これを持って行ってあげようと考える。でも、カップは私の一つ分しかない。
「厨房に行けば、カップもあるわよね……」
ベッドから降りると、フェレスベルグの子供がバタバタと飛んできた。
「あなたも行きたいの? お腹が空いているのかしらね。なにかいただけるかしら?」
フェレスベルグの子供を肩に乗せて、廊下を歩いていると夜は昼と違いすごく冷えている。
羽織っているストールをキュッと閉めて歩いていると、小さな話声が聞こえた。
フェリクス様がフードを被った女性と寄り添うほど近い距離で話している。
(……帰って来ていたのね……)
そう思うと、何かに気づいたようにフェリクス様が彼女の細い腰に手を回してすぐさまにいなくなった。
お帰りになっても来ない時もあるし、それとも仕事で出かけていたんじゃなかったのかしらね。すごく距離の近い女性だった。
……それが何だというのだろうか。わからない。わからないわ。
「リーネ。こんなところで何をやっている?」
いきなり目の前で女性といたフェリクス様に後ろから声をかけられてビクッと身体が揺れる。気配もなく驚いた。
「フェリクス様?」
おそるおそる後ろを振り向く。
「夜は冷えるぞ。こんなストール一枚では寒いだろう」
「お茶のカップを取りに行ったらすぐに戻るつもりでしたから……」
「お茶? 部屋に侍女が準備してないのか?」
「そのジルにお茶を上げようと思って……」
いつこちら側に来たのだろうと、不思議そうに見上げる。
「それなら俺のキャビネットのカップを持っていくがいい。部屋に帰るぞ」
「ぴしゅんっ__」
肩に乗っているフェレスベルグの子供が小さな身体を震わせてくしゃみをした。
「なんだ、今のは?」
「この子のくしゃみです。寒いのかしら? 私の中に入る?」
「おかしなくしゃみだったぞ」
「そうですか。私も初めて聞いたので、普通がわかりません」
ストールを少しだけ開けると胸元に潜り込んでくる。すると、フェリクス様が私ごとマントを広げて包み込む。
「リーネは寒くないのか?」
「全然大丈夫ですけど……」
「先ほどのことは気にならないのか?」
私の耳元にあわせてかがんだフェリクス様が、マントの中で聞いてくる。
また心の声が聞こえたのだろうと思い、恥ずかしくなる。
「また聞きました?」
「聞いてないが……リーネが来たことはわかったな」
(それは聞いてますね)
「女が気になるか?」
「フェリクス様は、以前もお付き合いしていた方がいるとお聞きしましたから……それに、友人だから応援します」
「だから、友人ではないと……それに、本当に先ほどのことが気にならないのか?」
「気にはなりますけど……これが、何なのかわからないのです」
確かに少しだけ、本当に少しだけチクンとするものはあったけど……
「……やっぱり、少し寒いです」
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