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第一章 ブラッドフォード編
牢の中では
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王宮で私は保護されており、王宮の一室にいた。
マリオンは心配し過ぎてずっと泣いていた。
お父様も来ており、かなり心配させてしまっていた。
そして、私がいなくなった後の詳細を全て聞いた。
アレク様の宮はオズワルド様の闇魔法で破壊され、一部とはいえ今は住めないほどだと。
魔水晶も破壊され、オズワルド様の魔法がきっかけで死霊まで寄ってきて、今はフェリシア様のご実家のシャレイド公爵家が筆頭にアレク様の破壊された宮を浄化しているらしい。
「オズワルド様は何も悪くありません!早く牢から出して下さい!」
「リディア、落ち着きなさい。今アレクセイ様が陛下にお話に行っているはずだ。それに、一部の魔法騎士がオズワルド殿がレオンハルト様を狙っていたのを見ているのだ。」
「待てません!全て私の為にやったことです!オズワルド様を助けて下さらないのならお父様も敵です!」
「…今一度、陛下に私からも談判に行くから大人しくしてなさい。」
どうしてオズワルド様が牢に入れられないといけないのか!
レオン様のことなんかどうでもいい!
私の為にやったことに違いない!
絶対納得がいかない!
「マリオン!牢に行くわ!」
マリオンを連れて王宮の地下にある牢に向かった。
王宮の牢は一時的な拘留に使う為、今はオズワルド様だけらしい。
看守にはお金を掴ませマリオンと一緒に看守を外で待たせて牢に行くとオズワルド様が牢の中で何故か優雅にお茶を飲んでいた。
「何をやっているんですか!どうして呑気にお茶なんか飲んでますか!」
「茶を出せと言ったら出してくれたんだ。」
格子ごしに呑気なオズワルド様に脱力しそうだった。
しかも何故ティーソーサーつきのお茶なんですか!
「体は大丈夫か?」
「私よりオズワルド様です!早くこんな所から出ましょう!」
「出ると言ってもここは牢の中だぞ。」
「大丈夫です。オズワルド様ならこんな牢ぐらいすぐに壊せますわ!」
こんな牢なんか壊したって問題ありません!
オズワルド様はティーカップを置くと格子ごしの私に寄って来て、格子を握り締めている私の手を絡めるように手を繋いだ。
「…今出ると脱獄犯になるぞ。」
「一緒に逃げます。」
「逃避行の始まりか?」
「逃避行の始まりですね…。」
本気で一緒に逃げようと思った。
誰もオズワルド様を牢から出してくれないなら、味方はいないと思った。
そして、ゆっくり引き合うように格子ごしに唇が触れると、離れたくないと思う気持ちが大きくなる。
格子ごしにオズワルド様と触れていると何人もの足音が聞こえ始め、足音が大きくなると同時に振り向くと、アレク様にヒース様とお父様、そしてマリオンが後ろについていた。
私はオズワルド様が連れて行かれると焦り、格子ごしにオズワルド様にしがみついていた。
「オズワルド様を連れていかないで下さい!」
気が付けば大きな声で叫ぶように言ってしまった。
オズワルド様がどこかに連れて行かれると思い、早く一緒に逃げたかった。
「リディア、落ち着きなさい。アレクセイ様の前だぞ。」
「嫌です!皆大嫌いです!」
お父様が落ち着きなさいと言うがこんな状況で落ち着けるわけがない!
そして、私を落ち着かせたのはオズワルド様だった。
私の肩に手を回し、静かな声でアレク様に言った。
「アレク、早く出してくれ。出さないなら今すぐにリディアと逃げるぞ。」
「罪状を作るな。今出してやるから。ヒース、牢を開けろ。」
思わずポカンとオズワルド様を見上げると、その顔は私と違い焦りもなかった。
「リディア、落ち着け。アレクは本気で俺を逮捕なんかしない。」
そういえば、山小屋で連行された時は手枷も拘束魔法も使われなかった。
牢から出て来たオズワルド様は私を抱き上げニヤッと黒い笑顔になった。
「…来るのがわかっていたのですか?」
「そうだな。俺の頭を冷やさせる為か…しばらくしたらアレクが来ると思っていた。リディアが一番最初に来たのは驚いたが…。」
「でも、アレク様の宮を破壊してレオン様を殺そうと…」
「怒りに満ちていたからな…泣くな。」
心配と牢から出てきた安心と感情が追いつかず、オズワルド様にしっかり腕を回し泣いてしまっていた。
マリオンは心配し過ぎてずっと泣いていた。
お父様も来ており、かなり心配させてしまっていた。
そして、私がいなくなった後の詳細を全て聞いた。
アレク様の宮はオズワルド様の闇魔法で破壊され、一部とはいえ今は住めないほどだと。
魔水晶も破壊され、オズワルド様の魔法がきっかけで死霊まで寄ってきて、今はフェリシア様のご実家のシャレイド公爵家が筆頭にアレク様の破壊された宮を浄化しているらしい。
「オズワルド様は何も悪くありません!早く牢から出して下さい!」
「リディア、落ち着きなさい。今アレクセイ様が陛下にお話に行っているはずだ。それに、一部の魔法騎士がオズワルド殿がレオンハルト様を狙っていたのを見ているのだ。」
「待てません!全て私の為にやったことです!オズワルド様を助けて下さらないのならお父様も敵です!」
「…今一度、陛下に私からも談判に行くから大人しくしてなさい。」
どうしてオズワルド様が牢に入れられないといけないのか!
レオン様のことなんかどうでもいい!
私の為にやったことに違いない!
絶対納得がいかない!
「マリオン!牢に行くわ!」
マリオンを連れて王宮の地下にある牢に向かった。
王宮の牢は一時的な拘留に使う為、今はオズワルド様だけらしい。
看守にはお金を掴ませマリオンと一緒に看守を外で待たせて牢に行くとオズワルド様が牢の中で何故か優雅にお茶を飲んでいた。
「何をやっているんですか!どうして呑気にお茶なんか飲んでますか!」
「茶を出せと言ったら出してくれたんだ。」
格子ごしに呑気なオズワルド様に脱力しそうだった。
しかも何故ティーソーサーつきのお茶なんですか!
「体は大丈夫か?」
「私よりオズワルド様です!早くこんな所から出ましょう!」
「出ると言ってもここは牢の中だぞ。」
「大丈夫です。オズワルド様ならこんな牢ぐらいすぐに壊せますわ!」
こんな牢なんか壊したって問題ありません!
オズワルド様はティーカップを置くと格子ごしの私に寄って来て、格子を握り締めている私の手を絡めるように手を繋いだ。
「…今出ると脱獄犯になるぞ。」
「一緒に逃げます。」
「逃避行の始まりか?」
「逃避行の始まりですね…。」
本気で一緒に逃げようと思った。
誰もオズワルド様を牢から出してくれないなら、味方はいないと思った。
そして、ゆっくり引き合うように格子ごしに唇が触れると、離れたくないと思う気持ちが大きくなる。
格子ごしにオズワルド様と触れていると何人もの足音が聞こえ始め、足音が大きくなると同時に振り向くと、アレク様にヒース様とお父様、そしてマリオンが後ろについていた。
私はオズワルド様が連れて行かれると焦り、格子ごしにオズワルド様にしがみついていた。
「オズワルド様を連れていかないで下さい!」
気が付けば大きな声で叫ぶように言ってしまった。
オズワルド様がどこかに連れて行かれると思い、早く一緒に逃げたかった。
「リディア、落ち着きなさい。アレクセイ様の前だぞ。」
「嫌です!皆大嫌いです!」
お父様が落ち着きなさいと言うがこんな状況で落ち着けるわけがない!
そして、私を落ち着かせたのはオズワルド様だった。
私の肩に手を回し、静かな声でアレク様に言った。
「アレク、早く出してくれ。出さないなら今すぐにリディアと逃げるぞ。」
「罪状を作るな。今出してやるから。ヒース、牢を開けろ。」
思わずポカンとオズワルド様を見上げると、その顔は私と違い焦りもなかった。
「リディア、落ち着け。アレクは本気で俺を逮捕なんかしない。」
そういえば、山小屋で連行された時は手枷も拘束魔法も使われなかった。
牢から出て来たオズワルド様は私を抱き上げニヤッと黒い笑顔になった。
「…来るのがわかっていたのですか?」
「そうだな。俺の頭を冷やさせる為か…しばらくしたらアレクが来ると思っていた。リディアが一番最初に来たのは驚いたが…。」
「でも、アレク様の宮を破壊してレオン様を殺そうと…」
「怒りに満ちていたからな…泣くな。」
心配と牢から出てきた安心と感情が追いつかず、オズワルド様にしっかり腕を回し泣いてしまっていた。
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