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第一章 ブラッドフォード編

目を開くと

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目を開くと、私は見覚えのある噴水の前に立っていた。
しかも、噴水の上の縁に!

どうやって上がったの私!?
しかも、どうやって降りるの!?

噴水の上の縁に立っているのもおかしいけど、私控室にいましたよね!?
そして、アリシアが飛び出して来て…。

腰辺りの背中に何か当たりましたよね?
まさか刺された?
でも、なんともないし??

背中を見るように、体をねじると、急に危ない!と聞き覚えのある声に言われた。

考え事しているのに、うるさいですわね。
そう思いながら、見ると声の主はやはりオズワルド様だった。

「あなたは何をしているんだ。危ないじゃないか!」

わかってます。
いや、違う。
噴水の上が危ないとは思っていますけど、どうして、ここにいるかわからないんです!

「とにかく降りるんだ。話がある。」

オズワルド様は、私を両手で持ち上げ、足がふわっと浮くと、思わずオズワルド様の左右の肩に両手で掴んでしまった。

「あの…すみません…」
「…」

オズワルド様は、無言のまま私を降ろさず、抱き締められてしまった。

「あっ、あの、私っ、婚約者がっ、!?」
「婚約したのはいつだ?」

はぁ?
それを聞いてどうする!?

「オズワルド様、どうしたのですか?」
「…リディア、よく聞くんだ。」
「先に降ろして下さい!レオン様が見たら大変です!」

その時、きゃあ!と黄色い声が聞こえた。

声の方を振り向くと、シェリー様達が私達を見て黄色い声を上げていた。

「リディア様ったらいつの間に!」
「ち、違うんです!これはっ、!私っ、婚約者が!」

しまった!レオン様にバレたら何と言われるか!
婚約破棄の理由が私の不貞をでっち上げられるかも!?

焦りパニックになっていた。
そして、シェリー様の一言で固まってしまった。

「リディア様、婚約者が出来たんですの?早く言って下さい。」

はぁ??

婚約したの知ってますよね??

「ブラッドフォード公爵様、早く言って下さったら、すぐにお祝いをしましたのに。」

益々はぁ???となってしまった。

「後日正式に発表しようと思ってました。先に見つかってしまいましたね。」

笑顔で言わないで!?
こいつはこいつで何を言っているのかしら!?

そして、気付いてしまった。
まだ、あんまり目立たないけど。
シェリー様のお腹に!

「あの、シェリー様。お子は?」
「ええ、先程占いで元気な男の子を授かると言われました。」

それは、半年前ですよね??
確か、レオン様のパーティーの数日前に産まれてますよね?
いや、この立派な噴水に庭は確かに見覚えのあるシェリー様のお邸だ。

オズワルド様を見ると、なんとも言えない表情で目があった。

「まあ、見つめ合うなんて、お二人ともいつの間に」

見つめ合ってません!
というか、降ろして下さい。
皆様、ニコニコと見てますよ。

「オズワルド様、降ろして下さい。」

降ろして、というのにオズワルド様は全く離してくれない。

「リディアが少し疲れたようなので、申し訳ありませんが今日は連れて帰ります。」
「まあ、そうだったのですか。」

そう言うと、オズワルド様は、失礼、と言い私を抱えたままシェリー様の邸を後にした。


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