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アフタヌーンティーをどうぞ
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そしてクロード様のお邸につくと、執事やメイド達は大歓迎してくれた。
老いた執事は、クロード様がご令嬢をお連れするなんて、と感銘を受けているように涙ぐんでいた。
「お嬢様、アフタヌーンティーを準備しています。さぁ、こちらにどうぞ。」
「あの…」
ウェルカムムードの中、クロード様を見上げると、軽く頷いてくれた。
「早めに迎えに行ったから時間はあるんだ。軽くお茶をしようか。」
「はい、では頂きますね。」
邸には誰もいないと言っていたから、寂しい邸かと思ったが、使用人達の雰囲気は良かった。
お茶の好みを知らないからと色々な茶葉を用意しており、私が来ることに、主に執事の方だが、使用人達は一致団結して待っていたようだった。
「クロード様、歓迎して下さりありがとうございます。」
「お茶は好きか?」
「はい、こんなに良くして下さりありがとうございます。」
温かいお茶を飲むと、一息ついたようになり、来て良かったと思ってしまった。
「クロード様は騎士団にいますよね。」
「そうだが。」
「まだ何ヵ月も先ですが、騎士団の受付嬢の試験を受けようと思っているのです。今度騎士団のことを教えて下さい。」
「…」
そう言うと、クロード様は考え込んでしまった。
おかしなことを言ったつもりはないが、と思ってしまう。
「…騎士団は男ばかりだ。」
「はい、でも受付嬢は女ですよ。騎士様にも女性はいますし。」
「だが、男が多いのだ。」
「性別ではなくてですね…。」
「男の受付もいるのだ…。」
「いや、ですからね…」
騎士団が男性が多いのは知ってます!
しかも、無言で見つめないで欲しい。
私にも乙女心ぐらいありますよ。
その整った顔で見つめるのは、ちょっと反則ですよ。
思いの外照れるのですよ。
「…ラケル、騎士の中には受付嬢に声をかける者もいる。だから、受付嬢は止めた方がいいのではないか。」
「では、出会いがあると?」
声をかけてきた騎士様が将来有望なら、おいしいのでは?
軽い騎士様はお断りですが。
「出会いはダメだ。」
「彼女のフリをしている間は出会いはしませんよ。」
また、クロード様は無言で見つめていた。
今度は眉間にシワが少し寄っている。
しかし、そろそろ支度に取りかからないといけない。
「…ラケル、婚約のことなんだが、」
「はい、婚約破棄はちゃんとしてますよ。それよりクロード様、そろそろ支度に取りかからないと、遅くなりますよ。」
「…そ、そうだな。」
ガックシしたクロード様がよくわからない。
婚約破棄の話はしたはずなのに、今さら何を聞きたいのか。
…それとも、私が受付嬢になるのが、嫌なのか。
でも、それこそよくわからない。
もし、試験に合格して私が受付嬢になるとクロード様にとって何が悪いのか。
別に彼女のフリをしてました。なんて言いふらしたりしないのに。
クロード様に嫌われているとは思えないが…、後ろから視線を感じる。
まさか睨んでいるんじゃないでしょうね。
そして、クロード様の視線を後ろから感じながら、ドレスの準備してある部屋で支度を整えた。
老いた執事は、クロード様がご令嬢をお連れするなんて、と感銘を受けているように涙ぐんでいた。
「お嬢様、アフタヌーンティーを準備しています。さぁ、こちらにどうぞ。」
「あの…」
ウェルカムムードの中、クロード様を見上げると、軽く頷いてくれた。
「早めに迎えに行ったから時間はあるんだ。軽くお茶をしようか。」
「はい、では頂きますね。」
邸には誰もいないと言っていたから、寂しい邸かと思ったが、使用人達の雰囲気は良かった。
お茶の好みを知らないからと色々な茶葉を用意しており、私が来ることに、主に執事の方だが、使用人達は一致団結して待っていたようだった。
「クロード様、歓迎して下さりありがとうございます。」
「お茶は好きか?」
「はい、こんなに良くして下さりありがとうございます。」
温かいお茶を飲むと、一息ついたようになり、来て良かったと思ってしまった。
「クロード様は騎士団にいますよね。」
「そうだが。」
「まだ何ヵ月も先ですが、騎士団の受付嬢の試験を受けようと思っているのです。今度騎士団のことを教えて下さい。」
「…」
そう言うと、クロード様は考え込んでしまった。
おかしなことを言ったつもりはないが、と思ってしまう。
「…騎士団は男ばかりだ。」
「はい、でも受付嬢は女ですよ。騎士様にも女性はいますし。」
「だが、男が多いのだ。」
「性別ではなくてですね…。」
「男の受付もいるのだ…。」
「いや、ですからね…」
騎士団が男性が多いのは知ってます!
しかも、無言で見つめないで欲しい。
私にも乙女心ぐらいありますよ。
その整った顔で見つめるのは、ちょっと反則ですよ。
思いの外照れるのですよ。
「…ラケル、騎士の中には受付嬢に声をかける者もいる。だから、受付嬢は止めた方がいいのではないか。」
「では、出会いがあると?」
声をかけてきた騎士様が将来有望なら、おいしいのでは?
軽い騎士様はお断りですが。
「出会いはダメだ。」
「彼女のフリをしている間は出会いはしませんよ。」
また、クロード様は無言で見つめていた。
今度は眉間にシワが少し寄っている。
しかし、そろそろ支度に取りかからないといけない。
「…ラケル、婚約のことなんだが、」
「はい、婚約破棄はちゃんとしてますよ。それよりクロード様、そろそろ支度に取りかからないと、遅くなりますよ。」
「…そ、そうだな。」
ガックシしたクロード様がよくわからない。
婚約破棄の話はしたはずなのに、今さら何を聞きたいのか。
…それとも、私が受付嬢になるのが、嫌なのか。
でも、それこそよくわからない。
もし、試験に合格して私が受付嬢になるとクロード様にとって何が悪いのか。
別に彼女のフリをしてました。なんて言いふらしたりしないのに。
クロード様に嫌われているとは思えないが…、後ろから視線を感じる。
まさか睨んでいるんじゃないでしょうね。
そして、クロード様の視線を後ろから感じながら、ドレスの準備してある部屋で支度を整えた。
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