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1日目-1

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眩い光が当たりを包み込み、美女もとい女神に別世界へと送られた。

ワクワクする高揚感に耐えて閉じた目を開けた。

そしてトンネルを抜けた先は雪国でした―……。

「寒っ」

見渡す限りの銀世界。

一歩足を踏み出せば膝上まで雪で埋もれた。

空を見あげれば重なり合う木の枝の奥にどんよりとした曇り空が見えた。
周りを見れば人よりも太い木々が数え切れずあり、
極めつけはハラハラと降り続ける雪、白い息。

「難易度高過ぎだろぉおおおおおおお」

外見と一緒に替えられた服装。
秋や春といった少し肌寒い時に着るような生地の薄い長袖のジャージ、
既に雪が入り込んだ運動靴と言った装いで生き残れるような場所ではなかった。

絶叫しても悲しいかな返答してくれる人もなし、
パニックに陥ったら駄目だと理解し、
現状を打開できるものはないかと手持ちの持ち物を確認する


現在の持ち物―――――――

・謎の袋
・食料(おにぎり9個)
・水入り皮袋
・塩
・ナイフ
・マジックバック(中)

―――――――――――――――――――――――――――――

ステータス
Lv1
HP 100/100 MP 100/100

火属性Lv1/水属性Lv1/風属性Lv1/土属性Lv1/光属性Lv1/闇属性Lv1

スキル
鑑定

ユニークスキル
世界地図/インベントリ/百科事典

加護
女神の加護(小)
――――――――――――――――――――――――――――――――

地図地図!世界地図!
現在地を把握しようと試みる。
心の中で世界地図と言ったら目の前にA4サイズの半透明の板状の地図らしきものが現れた。




――うん。だよね。


どうやら最初から全てマッピングされている訳では無いらしい。
この地図に表示されていたのは、木の生え具合からして、
今いる場所から半径10mほどの範囲だけだった。
とても不親切な設計だ。
当たり前だが町なんてない。

……落ち着け、次だ次。
まず魔法使ってみよう。
このままでは凍えてしまう。

とりあえず火属性唱えてみるか。


「ファイアー」


手に何かを集めるようなイメージをし火属性の魔法と思いついた名前を唱える。
すると直径20cm位の火の玉が出た。
そのまま重力に負けて落下した。
ジュッと雪の表面が少し溶けて火の玉は消えてしまった……。
火の玉が出て消えるまでこの間およそ1秒。
暖を取るどころではなかった。
そういやお約束だとMPを消費してるはずとステータスを見てみる。


MP 90/100


今ので10も消費したのか…。


……まてまてまてまて。

あと9回しか使えないじゃん!

移動するべき!?いや町どっちよ!!

………俺の異世界生活終了早かったなぁ。

タイミングよく風が吹く。

舞い上がる雪。

落ちてくる雪。

あまりの冷たさに我に返った。



……悲観にくれる前になんとかせねば。

せめて雪をしのげる場所があればいいのだが。

ここにいてもしょうがない。
正解かは分からないが歩いてみるかと歩き出した。



そうしてたどり着いたのは谷でした。

見上げれば雲まで届きそうな土の壁、
左右を見ても終わりのみえない土の壁。

休めそうな洞窟もなし。
かじかむ手足に心が折れそうになる。
最悪穴でも掘るかと涙目になりながら壁を見た。
そしたら、洞窟ではないが土壁が崩れ雪に当たらず座れそうな場所があった。

高さは腰よりも高く奥行は1mぐらい、
ただ奥に行くにつれ高さが低くなってるので、実際は80cmと言ったところか。
幅は足を伸ばしても少し余裕があるくらいだ。
立っては入れないが座ってならなんとか休めそうだ。
雪を手で除けて穴に潜り込む。
狭いがな腰を落ち着け改めてステータスを見た。

「あ……MPが回復している。」

さっきまで90/100だったのが96/100になっていた。

さっきはすぐに消えたけどもう一度魔法使って見るか。
入って右奥の土の壁を手で掘る。
爪に土が入るが気にせずに体感で10分ほど掘ってみた。
あ、またMPが回復して97/100になっていた。
おそらく10分位で1回復かな?厳しいな。


「ファイアー」


今度はさっきみたいに雪の上ではなく土の上に手をかざして唱える。
良かった消えない。
オレンジの火が揺れる。
……今度はどれくらい持つんだろう?


「……あったかい……」


びしょ濡れになった靴を脱ぎ逆さにして雪が溶けた水を出す。
火の前に置き足置きにする。
かじかんだ手と足を火にかざす。


ぐ―きゅるるるる―。


ホッとしたからかお腹がすいた。
取り敢えずおにぎり食べよう。
そう思ってふと手足を見た。
火を置く場所を掘ったから泥だらけだった。
おにぎり食べる前に綺麗にしたいな…と思ったら頭の中に呪文が浮かんだ。



「ピュリフィケイション」



呪文を唱えると周りが一瞬光ったような気がした。
爪に入った土の感触等さっきまで土が着いた違和感がキレイさっぱり消えていた。
見ると最初から汚れなんて着いてないような綺麗な手になっている。
こんな便利な呪文があるのかと感心すると同時にステ―タスを見る。
MPが87/100から10減って77/100になっていた。

便利だけど消費MPキツいな。
そんなことを思ったらぐ―きゅるるるる―と再びお腹が鳴った。
おにぎりおにぎりっと、
確かイベントリから取り出すんだよな、どうやって取り出すんだろう?

「インベントリ」

取り敢えず唱えてみた。そしたら目の前に黒い穴が空いた、何これ怖っ。

「インベントリ」

もう一回唱えたら消えた。やっぱりこれがインベントリなのか。

「インベントリ」

今度は意を決して黒い穴に手を突っ込んでみる。
なんだか不思議な気分だ。
何にも触れてないし感覚は黒い穴に手を入れる前と変わらない、
手を左右上下に振ってみるが何かにぶつかる感触も無い。
だからどうやって取り出すんだろう?
試しにおにぎりおにぎりおにぎりと頭の中で唱えてみる。

……ビンゴ!手に何かにが当たった。

黒い穴から手を引き抜くと海苔の巻いてない真っ白なおにぎりを持ってこれた。


「……ホカホカだ」


拳よりも大きめのおにぎりは、炊きたてのご飯を今握りましたと言わんばかりのいい香りがしていた。
たまらず一口齧る。
お米の良い香りが鼻を抜ける。
程よい塩加減によってお米の甘さが引き立っており絶品だった。
手についた米粒1つ残さずあっという間に平らげてインベントリから水を取り出し喉を潤す。

穴の外を見上げる。未だに降り続ける雪はまだまだ止みそうもない。これはもっと積もりそうだ。

今いる場所も休憩する分には良いが長時間滞在出来るような場所では無い。
もはや遭難だ。そんでもって歩いてすぐの場所に街があるとも分からない。
闇雲に歩きまわって体力を減らすよりも、応急的な拠点を作った方がいいかもしれないなと土壁を見渡してそう思った。



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